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ちんちくりん魔法使いと黄金の天使  作者: ななぽよん
黄金の天使編っぽい
39/66

[3-11]馬車の中の女(?)三人

前回までのあらすじ:ジョバーニがいなくなって、豪華な馬車が迎えに来た。

 さてここからは馬車の旅だ。

 なんかものすごく豪華な馬車がきた。VIP待遇である。

 そこへ私とエルシュとゾルトが乗り込んだ。

 ゴンズがいなくなって、私とエルシュのイチャラブ旅!

 と、思ったら、なんでこの魔法騎士が付いてくるのだろうか。

 護衛よりも、必要なのはかわいいメイドなのでは。

 あっ、今メイドなのは私だった。


「黄金の天使さま、暇ですね」


 私は奴隷メイドのペリエッタ。いつもどおり黄金の天使の膝の上に座っている。

 膝クッションは素晴らしいぞ。


「そうですね。外の様子も見られないですし」


 馬車は窓の閉められた薄暗い閉鎖空間。

 窓は鋼鉄製で鍵が閉まっている。

 天井にはほんのり薄暗く輝く魔法水晶が取り付けられている。


「…………」


 ゾルトは何も話さない。


「えっと、ゾルトさんはずっと同行されるんですか?」


 黄金の天使が私をぎゅっとしながら尋ねた。


「ああ」


 とだけ答えて、目をつむりじっとしている。

 なんだこいつコミュ障か。馴れ合い禁止か。


 そう思いながらじーっと見てると、ゾルトから話しかけてきた。


「ところでそこのチビメイドは……えっと」


「ペリエッタ」


「そう、ペリエッタは……何者なんだ?」


「奴隷メイドですわ」


 見ての通りですわ。


「誘拐犯をしめていた時が本性なのだろう?」


 なんと!? バレていたとは!


「本性とはなんのことかしら。おほほ」


「ペリエッタはいつもこんな感じですよ」


 そうそうこんな感じですのよ。

 ゾルトの眼光が輝く。


「二人はどんな関係なのだ? ただの主人と奴隷ではあるまい」


「黄金の天使さまは私の嫁ですよ。言いませんでした?」


「言ったが……奴隷と主人では婚姻にはなるまい」


「なるほど」


 なるほど。盲点だった!

 つまりエルシュは私の嫁と言っていたのは勘違いだったのか!

 そんなまさか……嫁ではなくただの奴隷と主人の関係なだけだったなんて……。


 私は泣いた。人生五度目の涙だ。

 今日という日を忘れないだろう。


「くすん」


「ペリエッタを泣かせないでください」


 黄金の天使が私の頭をなでなでした。

 いっぱい悲しい。


「えっとつまり、愛玩奴隷ということでいいのか?」


「いいです」


 たしかエルシュは雑用を目的とした奴隷だったはずだが、愛玩という部分もあったはず。

 だから嘘ではない。


「その……女同士でも……あるんだな」


「?」


 何を言っているのだろう……。

 もしかしてあれか?

 えっちなことを聞いているのか!? やはりこいつは変態か!


「ペリエッタとは一緒に寝ているだけですよ」


 あれ? そうだっけ?

 なんかもっと色々楽しんでいたような……。

 うっ記憶が……記憶が失われている……。

 なでなでとかなめなめとかしたような……。

 いやないか? なかったな。

 勘違いだった。


「私は抱きまくらにされてるだけです。変な想像でもしましたか?」


「へ? 抱きまくら? あ、そういう……。あはは」


 ゾルトは顔を赤くして頭をかいた。

 珍しく油断した表情だ。


「ところで女性にそういうこと聞くのは男としてどうなんだ。セクハラだぞ」


 私はビシッとセクハラ男に指をさした。


「おと……ああそれなんだが、俺は女だぞ」


「え?」


 何そのカミングアウト。

 男の格好をしているのに女?

 いや待てよ。騎士だから?

 騎士だから男の格好に見えるだけ?

 そういえばおっぱいがあったな。

 おっぱいがある男じゃなかったのか?


「おっぱいがある男じゃなかったのか?」


「うん? ああいや、そういう病気の男もいるようだが、俺は元から女だ」


 いやでも『俺』とか男言葉を使っているぞ。

 まあ私も一人称以外はほとんど男言葉だけど。

 これはこう意識してるだけで、本当は違いますのよ?


「実は私も女の子ですのよ」


 間違われるかもしれないから言っておこう。

 口調で生意気ショタっ子と思われてしまうかもしれないからな。


「そ、そうか」


 黄金の天使がなぜかもぞもぞしている。


「あのわたくしは――」


「わかっている二人は女性だ。だからこそ女の俺が同乗しているのだが」


「あ、はい」


 本来は別の人が乗る予定だったということか。

 だから王城から来た人が外で馬に乗ってるのね。


「それで話しは変わるが、気づいていたと思うが俺はペリエッタを警戒していた」


「ぷるぷる」


 とりあえずぷるぷるしておいた。


「君は魔力の欠片も感じられない。隠しているのだろう?」


「魔法が使えないだけです。ぷるぷる」


「いいや、使っていたではないか。髪の色を変えていただろう?」


 なに!? バレてた!


「あの……わたくしはどう見えるのですか?」


「黄金の天使様は治癒魔法を使った時だけ見えた」


 ほう……そう見えるのか……。私からはいつでも金ぴかキラッキラだけどな!


「それですぐに信じて貰えたのですね」


「ああ。幻術の類ではないと判断した」


 ゾルトがまた私の方を見ている。ぷるぷる。


「さて本題だ。ペリエッタは水魔法の幻術、黄金の天使様は治癒魔法と怪力の力だろう?」


 あら、エルシュの怪力もバレてる。片手で人間ぶら下げてたからか。


「俺は火魔法と剣が使える。これが私達の戦力だ。それを確認しておきたかった」


「つまり?」


「率直に聞こう。君たちはこの馬車が真っ直ぐ都に着くと思うか?」

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