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第10章 剣王試験

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第10章 二学期 第317話 剣王試験編ー㉟ 第三次試験、開始



午前四時―――――王都から少し離れた郊外にある詰所。


そこに、6人の剣士が、並んで歩き向かっていた。


「まったく。引退したワシも引っ張りおって、剣王どもめ……ワシも暇じゃないんじゃがのう。剣王を決める試験くらい、あやつらだけでもできぬものか」


 髭を撫でて、杖を付き、ハインラインはため息を吐く。


 そんな彼に、隣を歩いていた、お菓子が入った紙袋を抱えて棒付きの飴を舐めていた獣人族(ビスレル)の少女―――ジャストラムは、ペロペロと飴を舐めがら言葉を返す。


「……ハインライン。後輩育成は、年長者の役目。参加するべきだと、ジャストラムさんはそう助言をする」


「お前が言うな、お前が!! 今までこういう行事に参加したことなかったじゃろうが!! というか、剣神になってから初なんじゃないのか!? こんの常時行方不明娘が!!!!」


「……ハインライン。今後も私の代わりにこういう行事に参加すると良い。ジャストラムさんは、大変に忙しい。だけど今回は……少しだけ、剣を教えた子がいたから。気になって来てみた。きまぐれジャストラムさん」


「お主も、アーノイックみたいにワシを良いように使いおって……というか、剣を教えた子がいるじゃと? 珍しいこともあるもんじゃ。お前、弟子取るのは、絶対に嫌だと言っておったじゃろ」


「弟子じゃない。勝手に向こうが弟子と名乗ってるだけだよ。でも……不思議な子。時折、まるでアレスのことを知っているような様子を見せるんだ」


「ほーん? 師匠のファンかの? ……それよりも。お前、その菓子食べて歩くのやめんか。ガキみたいじゃぞ。良い歳したババアの癖して」


 ジャストラムはビクリと肩を震わせると、口をへの字に曲げ、ハインラインを睨み付ける。


「黙れ、ジジイ」


 ジャストラムの鋭い眼光を受けても、ハインラインは髭を撫で、ホッホッホッと笑みを浮かべていた。


 そんな二人のやり取りに対して、ヴィンセントは困った様子で口を開く。


「お二人とも。剣王は、剣聖・剣神に次ぐ、この国において第三の実力者。その剣王の人員不足に、彼らは試験という新しいスタイルを使って新たな剣王を募ったのです。その記念すべき第一回目に、我ら剣聖・剣神を呼びたいというのは、当然の流れなのではないのでしょうか?」


「至極真っ当なことを言うておるが……お主、何を企んでいる?」


「は? 何も企んでなどいませんが……?」


「嘘。君、とても怖い顔をして笑っている。そういう顔をするバルトシュタインの一族は、いつもろくなことを考えていなかった。ゴルドヴァークもそうだった。ジャストラムさんの目は、誤魔化せないよ。ジャストラムさんの観察眼は、ものすごいから」


「…………これは…………ただ、笑みを浮かべているだけだったのですが………」


 肩を落とし、どんよりと落ち込むヴィンセント。


 そんな彼を無視して、ジェネディクトが、ハインラインとジャストラムに声を掛ける。


「フフフフ……そういえば、ハインライン、貴方には、弟子である孫娘がいたわねぇ」


「今度はこっちのバルトシュタインか。で、なんじゃ? 孫娘? ジェシカちゃんのことか? てめぇ、ワシの孫娘に手を出したら許さねぇぞ、このグラサン半・森妖精族(ハーフ・エルフ)


「クスクス。孫娘を攫って、貴方を怒らせて本気を出させるのも面白そうだけど……腕を無くした貴方に興味はないわ。そんなことよりも、貴方の孫娘、剣王試験に出ているのよね?」


「あぁ。出とるが……それが何じゃ?」


 ジェネディクトは次に、ジャストラムに視線を向ける。


「さっきの口ぶりからするに、貴方の弟子も、剣王試験に出ているのよね?」


「……弟子じゃないけど。何。何が言いたいのオカマ」


「クスクス……私が少し剣を教えた子も参加していてねぇ。剣神の教え子同士が戦ったらどうなるのかが、気になったのよ」


「そういうことか……はん。お主のような奴がこういう行事に参加するのは珍しいと思っておったんじゃ。ジェネディクト、お前……誰の弟子が一番優秀か見るために、この場に来おったな?」


「ええ。あの試験には……ロザレナ・ウェス・レティキュラータスとグレイレウス・ローゼン・アレクサンドロスも来ているようだしねぇ。クスクス……面白くなりそうだわ。最高の剣士たちが育て上げた素材が戦い合う、楽しい舞台になりそうねぇ」


「は? ロザレナ? グレイレウス? 誰じゃ、それ。聞いたことがあるような……って……あ、思い出したわい。ジェシカちゃんのお友達と、いつぞやか冒険者ギルドでワシに喧嘩を売ってきた、威勢の良いガキか。何故、お前がその二人を知っているのじゃ、ジェネディクト。というか、その二人が出ると、何が面白いんじゃい」


「さぁねぇ」


 クスクスと笑い声を溢すジェネディクト。


 ジャストラムは話についていけず「誰」と首を傾げる。


 その会話を聞いて、先頭を歩いていたリトリシアが、足を止めた。


「……ロザレナ」


 リトリシアは振り返り、ジェネディクトに視線を向ける。


 その視線に気付いたジェネディクトは、馬鹿にするように首を傾げた。


「何かしら? 剣聖様?」


「ジェネディクト。貴方、奴隷商団に在籍していた頃……五年前、私に捕まった時、傍にロザレナという少女と、アネットというメイドがいましたよね?」


 その言葉に一瞬真顔になるジェネディクトだったが、すぐに微笑を浮かべる。


「……攫ったガキのこと? いちいち覚えていないわねぇ。私にとって、奴隷なんて、ひとつの商売でしかなかったし」


「ジェネディクト。もう一度、聞きます。貴方はいったい……あの時、誰にやられたのですか?」


「何度も言っているじゃない。私は、アジトの崩落に巻き込まれた、って」


「……」


 目を細め、ジェネディクトを睨み付けるリトリシア。


 険悪な雰囲気が漂う中。


 まだ日が昇っていないというのに日傘を差しているフランエッテが、口を開く。


「貴様ら。さっさと歩みを進めぬか。妾は、疾く、このくだらぬ催しを終わらせたい」


 ジェネディクトはリトリシアから視線を外し、フランエッテへと目を向ける。


「フランエッテ・フォン・ブラックアリア。貴方、弟子はいるの? 剣王試験に参加していたりは?」


「そ、それは、ど、どうじゃろうなぁ。いるかもしれぬし、おらんかもしれぬ。妾は秘密主義なのじゃ」


「つまらない答えね。剣聖、貴方は?」


「いるわけがありません。私が教わったアーノイック・ブルシュトロームの剣は、私の代で終わりです。私以外に、あの人の剣を教わる人間がいては困りますから。強き力は、正しい者が使わねば身を滅ぼすものです。下手に弟子を取って脅威となる存在を産み出すよりも……私がこの長命を以ってして人々を守る。その方が、ノーリスクです。なので、私は弟子を取りません」


「さらに、つまらない答えね」


 興味を失ったと言わんばかりに、ジェネディクトは、歩みを進めていく。


「はぁ……」


 ハインラインは、リトリシアの相変わらずの妄信っぷりに、ため息を吐いた。


「まったく、あやつは……」


「ハインラインとアーノイックのせい」


「やかましいわい、ジャストラム。ワシだって分かっておるが、アーノイック以外にどうしようもできんだろ、アレは」


 歩みを再会し、詰所へと向かっていく剣聖・剣神たち。


 そんな中、ジャストラムは足を止めた。


 そんな彼女に、ハインラインは肩越しに振り返り、声を掛ける。


「どうしたんじゃ、お前」


「……今、第二次試験が行われている場所って、どこ?」


「知らん。ワシに聞くな」


「フィアレンスの森の、一番高い山ですよ、ジャストラム殿」


 ヴィンセントのその答えに、ジャストラムはコクリと頷く。


「ちょっと、どれくらいの粒がいるか、見てくる」


「はぁ? お前、見てくるって、まさか……」


「すぐ、戻ってくる。――――【瞬閃脚】」


 ジャストラムはその場から、瞬く間に消えていった。







 30分後。オフィアーヌ領・フィアレンスの森に辿り着いたジャストラムは、森の中央に聳え立つ巨大な山を見上げ、驚きの声を上げる。


「……なに、これ」


 山に刻み込まれた、大きな斬撃痕。


 その光景を見て、ジャストラムは、身体をカタカタと震わせる。


「……アーノイック……?」


 そして彼女は、地面を蹴り上げて【瞬閃脚】を発動させ……一気に、山頂へと上り詰めていった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





《アネット 視点》



「よし。では、今からここに集まった合格者9人を、次の試験会場に――――」


 ルクスがそう受験者全員に向けて口を開いた、その時だった。


「ここが……剣王試験、第二次試験会場?」


 突如、狼耳の少女が、剣王試験会場に現れる。


 その姿を見た俺は、思わず、口をあんぐりと開けてしまった。


「ジャ、ジャストラム……!? あの引きこもり女が、何で、ここに……!?」


「? アネット、どうしたの? あのガキンチョの知り合い?」


「ガキンチョじゃない。言っておくけど、ジャストラムさんは超地獄耳。言葉には気を付けた方が良い」


 飴を犬歯で噛み千切り、バリバリとかみ砕くジャストラム。


 俺は思わず、彼女から隠れるようにしてロザレナの影に隠れてしまった。


 この女は色々と鋭いから、ハインラインより苦手だ……。


 ジャストラムさんは辺りをキョロキョロと見渡した後、箒星3人(+ロザレナの後ろに隠れる俺)の前に立ち、飴を片手に声を掛けてくる。


「君たち3人が、今の剣王? 聞きたいことがあるんだけど」


「はぁ……? 剣王……?」


「ふーん。闘気石を両手、片足に付けて……随分と古臭い修行をしているね。そういう身体に負担をかける修行方法を取るのは、もう、ハインラインみたいな古株だけだと思ってたけど。やるね。それ付けて普通に話すことができるって、君、相当剛剣型を極めているってことだね。いいね」


「あの……あたしたち、別に剣王じゃないんだけど……」


「【剣神】ジャ、ジャストラム・グリムガルド様……ですよね?」


 その時。ルクスが慌てて、ジャストラムに駆け寄り、声を掛ける。


 ジャストラムは無表情でルクスを見つめると、首を傾げた。


「誰」


「キュリエール様の弟子……【剣王】『聖剣』ルクス・アークライト・メリリアナです。ジャストラム様のご活躍は、祖母から聞いておりまして……」


「あ、君が剣王? へぇ……そうなんだ」


「は、はい。私と……あちらにいる6人が、現剣王でございます」


「ふーん」


 ジャストラムは、奥にいる剣王たちを数秒間見つめ、再び、ルクスへと目を戻す。


「あのさ。聞きたいことがあるんだけど」


「はっ。何でしょうか?」


「この山を斬ったの……誰?」


「は……? 山を……斬った……?」


 意味が分からないと言った様子を見せる剣王たち。


 俺は内心で「ひぇぇぇ~」と悲鳴を上げると、ロザレナの背後から移動し、今度はルナティエの背後で縮こまった。


「ちょ……な、何をやってるんですの……ししょ……アネットさん! お尻を触らないでくださいまし!」


「絶体絶命のピンチですわ~~!! 助けてくださいまし~!!」


「わたくしの真似をしないでください!!!!」


 慌てふためく俺を見て、状況を察したのか、ルナティエはため息を吐く。


 そして彼女は、ジャストラムから俺を庇うようにして、俺を背中に隠してくれた。きゅん……ルナティエったら、男らしい……惚れちゃいそう。


「なんか、アネットが、お尻引っ付き虫になってるんだけど……ルナティエのお尻がそんなに良いと言うの!! あ、あたしのお尻だって……!!」


 お、おおおおお嬢様……!! 今は、目立たず、静かにして……!!


「黙っていろ、ロザレナ」


 グレイ……!! ま、まさか、お前がロザレナを止めてくれるなんて……!! いつもはロザレナと一緒で暴走していた奴だったのに……成長したな……!!


「オレの尻だって、敗けてはいない」


 何処に対抗してんだこのマフラー野郎はぁぁぁぁぁぁぁ!! 野郎の尻なんて、興味ねぇんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!! やっぱりこいつ、成長したと思っても変わらずアホだわ。アホレウスくんだわ。


「……んっ! ちょ、ししょ……アネットさん!! お尻を握らないでくださいまし!!」


 いかんいかん。ついうっかり弟子にセクハラをしてしまうところだった。俺はそういう不埒な師ではないからな。俺は、漢として曲がったことはしないと、シエルとアレスに誓ったんだ。


 俺はルナ尻に隠れ、ロザレナの「ぐぎぎぎぎ」と訳の分からない唸り声を無視して、ジャストラムと剣王の会話に耳を傾ける。


「山を……斬った……? いったい何を言っているのですか、ジャストラム様? 山崩れは、確かに起きましたが……」


「山崩れ? 君たちはアレを本当に山崩れだと思っているの?」


 剣王たちは困惑したように、お互いの顔を見つめ合う。


 その光景を見て、ジャストラムは誰にも気付かれないように、短く息を吐いた。


「私は、あの山に刻み付けられた斬撃痕は、人為的なものだと考えている」


「人為的なもの? 山を、人が傷付けられるわけないじゃないですか」


「……私は知っている。【覇王剣】という、世界の一部を削り取る剣技を」


 ジャストラムの言葉に、三弟子は緊張した面持ちを浮かべる。


 反対に、ルクスは、笑い声を上げた。


「は……ははははは! 冗談がお上手ですね、ジャストラム様は! かのアーノイック・ブルシュトローム様の剣技を、我々剣王たちが、使用したとでも? だとしたらその者は、とっくの昔に剣聖になっていますよ!」


「この場にいたのは、貴方たちだけではなかったはず」


 チラリと、ジャストラムは受験者に視線を向ける。


 そんなジャストラムに対して、ルクスは一瞬、不愉快そうに眉を顰めた。


「それは……笑えない冗談ですね。受験生の中に、剣聖相当の実力者がいるとでも?」


「……」


 ジャストラムはルクスの顔を見つめた後、踵を返す。


「なんでもない。今のは忘れていい」


 そう言って、話は終わりだとばかりに、ジャストラムは剣王たちとの会話を打ち切ると、【瞬閃脚】を使用してその場から消え去った。


 ジャストラムが完全にいなくなった後。ルクスはフンと鼻を鳴らした。


「剣神の中でも、随一の変わり者だという話だったが……噂は本当のようだな。山を割った者が受験生の中にいるだと? そんな奴が、剣王以下の存在にいるわけないだろう」


「まぁ、今の話は、ちょっとよく分からなかったよねー。……っと、早く、第三次試験の準備を進めようよ、ルクスくん」


「そうだな、ラピス。良し。受験生諸君、よく聞くが良い! 今から諸君らには、転移の魔道具(マジックアイテム)を使って、第一次試験の時に使った詰所に戻ってもらう! 第三次試験の会場は、詰所だ! 戻ったらすぐに小休憩を挟み、そのまま、試験を開始させてもらう!」


 その言葉に、表情を引き締める受験生たち。


 ジャストラムの話を、よく分からないものとして片付けた剣王たちだったが……その中に、一人、ジャストラムの話を真顔で聞いていた奴がいた。


 それは、剣王、キリシュタット。


 どうやらあいつは、山が割れた件を、ただの山崩れとして片付けてはいない様子だった。


「……まぁ、俺は第二次試験で脱落した身。これ以上、実力を露見させる危険性はないだろう」


(ジャストラムにキリシュタットに……何人か、俺の存在に訝しむ奴が出てきたか……あと、学園ではルイーザもか。身から出た錆とはいえ、面倒くせぇな、おい)


 俺はルナティエの背後から出た後、がしがしと頭を搔いた。


「まぁ、あとは、第三次試験を見守るだけだ。何も問題はないだろう」


 この身体になってから、初めてジャストラムの姿を見たが……。


 あいつ、昔はショートヘアーだったのに、髪、伸ばしたんだな。








「では、全員、先ほど配った転移の魔道具を使用せよ。向かう場所は、王都郊外にある詰所だ。忘れるな」


 その後。俺たちは配られた転移の魔道具を使用し、山頂から移動した。


「王都郊外にある詰所へ―――【転移(テレポート)】」 


 ペンダントを掲げ詠唱を唱えると、ぐにゃりと視界が歪み……気付けば、俺たち受験生は全員、詰所の前に立っていた。


 同時に転移してきた剣王たちは、全員が揃っていることを確認すると、受験生たちを先導するように、そのまま、詰所の中へと向かって歩いて行く。


 アレフレッドは、敗者としてフィアレンスの森に取り残された受験生を回収するべく、この場にはいなかった。


 ジャストラムがいなくなった後にルクスに聞いてみたが、基本、敗退者はアレフレッドが回収して詰所に届けた後、解散の流れらしいが……別に、第三次試験の見学をしても良いとのことだった。


 俺はその言葉に甘え、三弟子の最後の戦いを見守るべく、受験生たちと共に詰所の中へと入って行った。


 そうして、詰所の中を歩いて行き、ルクスは、俺たちをある扉の前へと連れて行く。


「この先だ。この先にある会場で……諸君ら9名のうち、4名が、剣王となる」


 そう言って、ルクスは、扉を開く。


 その先に広がっていたのは―――――中庭に造られた、巨大な闘技場だった。


 その光景に、驚く受験生たち。


 そんな彼らに対して、ルクスは振り返ると、こう声を放った。


「これから始まる第三次試験のルールは、今までとは異なり、とてもシンプルなものだ。九名全員でトーナメントを行い、上位四名を決めてもらう。その名も……『バトルトーナメント』」


 ルール通り、そのまんまな名前だな、おい。


 まぁ……こういう形式の方が、見学者としては分かりやすくて良いか。


 ただ、くじ運によっては、箒星の3人が早々のうちに戦い、敗退する可能性もゼロじゃねぇな……。俺としては、全員、剣王になって欲しいところなのだが……。


「トーナメントね。分かりやすくていいじゃない。誰であろうとも、あたしの前に塞がるのなら、斬って捨てるのみよ」


「フン。ようやく……オレたちの中で誰が一番優秀なのか、白黒付ける時がやってきたようだな。フフフフフ……」


「オーホッホッホッホッ!! わたくしが全員、蹴散らしてさしあげますわ!! 暴れてやりますわよ、アルファルド!!」


「キヒャヒャヒャ!! 楽しくなりそうだな!! ……げほっ、げほっ!!」


 三弟子+アルファルドも、やる気は十分なようだ。


 アルファルドは、ダメージがなかなか深刻そうな様子だが……今のこいつに参加はやめろ、なんて言えないよな。


 アルファルドはアルファルドなりに、覚悟を決めてここにいる。それを、奴の主人でも師でもない俺が止めるなんて、できはしない。


「……ついに、第三次試験……どの試験もダメダメだったけど、今度は、私だって……!」


 ジェシカは頬をパチンと叩き、覚悟を決めた表情を浮かべる。


「……亜人の立場を良くするためにも……アレスの意志を継ぐ者としても。私は、敗けない」


 メリアは鋭い眼光で、闘技場を睨み付ける。


「ベアトリっちゃん、ミホっち……見ててね。あーし、絶対に、【剣王】になってみせるから」


 ヒルデガルトはサーベル剣の柄をギュッと握りしめ、今までの彼女とは思えない、覚悟のこもった目で闘技場を見つめる。


「はぁ。まさか、キールケちゃんの苦手な剛剣型がこんなに生き残るなんて。ついてなーい。まっ、全員、ぶち殺すけど」


 キールケは熊の人形を抱きながら、耳から垂れている髪の毛を撫でて、つまらなさそうに目線を逸らす。


「姫様……もうすぐです。もうすぐ、貴方様の名を騙る不届き者を、成敗してみせますよ……フフフフフフフ」


 クラウザーは、相変わらず、訳の分からないことを言っている。


 ついに迎えた、最終試験。生き残った9名の剣王受験者。

 

 ここから――――――新たな剣王が、産まれる……!

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