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追いかける

「凛、ありがとうね」


「うん、何かあったらいつでもいってよ。夏美は忘れてるだろうけど……、やっぱり何もない」


「うん」


「教室戻ろう?」


凛は、私に手を差し伸べる。


「うん」


久しぶりに凛と手を繋いだ。


ひーくんと違って冷たかった。


***


あー、胸が苦しい。


「なんでこうなんだよ……」


小さくつぶやいた。


「相川さん」


「なに?赤石さん」


俺は笑顔を作る。


「顔、怖いよ」


「私?なんで顔、怖いかわかる?」


「わからん」


「相川さんの泣き顔が綺麗だったから」


泣き顔が綺麗?こいつおかしいんじゃない?


「俺、泣いてる?」


質問したのに答えてくれなくて、その代わり赤石は俺を抱きしめた。


離れようとしても離れてくれなくて、自分自身もこのままでいたいって気持ちがあった。


でも、ここは周りにみんないてこんなこと直ぐに噂になる。


それがまた夏美の耳に入ると思うと。


夏美といられなくなる。


段々、気持ちがわからなくなってきて。


あーってなる。


頭おかしくなっちゃった。


「夏美」


「……」


「ごめん、赤石さん、離して」


赤石さんはそっと離した。


俺が夏美に寄ったとき。


夏美は走って逃げた。


俺は直ぐに追いかける。

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