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53.脳筋少女、迷子を連れていくことにする。


「まぁ性格が合わないのは仕方のないことだわ。無理に合わせる必要はないわね」


 少女はあっさりと言いました。なんだかもの凄く説得力があります。

 盗賊C、クロ、火竜の長はうんうん頷きました。

 緑髪の少女はその言葉を聞き、ほんの少し目を見張ります。先程から驚きの連続のようです。

 緑髪の少女は何かを考えるように首を傾げました。


「いいの……でしょうかね?」

「問題ないわ」


 きっぱりと言う少女を見て、緑髪の少女は何かが吹っ切れたみたいにフフッと笑いました。自分で性格が合わなくても問題ないと言ってはいましたが、どうやら少しは気にしていたようです。


「そうですか」

「そうよ」


 少女の力強い返答を聞いて安堵したのでしょう。緑髪の少女は「フフフフフッ!」と笑い出しました。

 その様子を見ていた少女もつられるように笑います。

 盗賊Cは“え、どういう展開?”と思いながらも黙って少女たちを見ていました。クロと火竜の長はお座りで待機です。

 このあと、お腹が空いていることを思い出すまで、緑髪の少女は笑い続けました。



***



 緑髪の少女に食べる物を分けてあげることにした少女一行。そのついでに少女たちもご飯にすることにしました。

 食料袋の担当は盗賊Cです。少女に任せるとすぐに無くなってしまうので盗賊Cが管理しているのですが、緑髪の少女が増えたことにより消費が予想以上に早くなりました。

 少女たちによってドンドン減っていく食料に、盗賊Cは“次の国まで持たないかもしれない”と胃が痛くなってきます。盗賊Cの胃痛と頭髪が心配です。しかし少女たちは気にせず食事を続行しました。ちなみに食料が無くなった場合は少女が狩りに行くので問題はありません。

 そして人心地ついた後で少女は緑髪の少女に訊きました。


「あなたはこれからどうするの?」

「そうですねぇ。……えーっと…………その前に、ここはどこでしょう?」


 そういえば緑髪の少女は迷子でした。

 訊かれた少女は即座に盗賊Cを見ます。正しい選択です。少女も盗賊Cに地図を任せているからです。

 盗賊Cは慣れたものです。余計なことは言わず、懐から地図を取り出しました。それを全員で覗き込みます。


「えー、今いるのがここ。で、俺たちが出発した町がここで目的地がここ。……アンタはどこまで行くんだ?」


 少女たちを交互に見ながら盗賊Cは地図を指差しました。

 緑髪の少女はパッと顔を輝かせます。


「次の国までは目的地が同じです!」

「あら、そうなの。じゃあ一緒に行く?」

「いいんですかっ!? すっごく助かります!」

「え、はぐれた仲間たちはどうするんだ?!」


 目的地が同じだと言う緑髪の少女をあっさりと誘う少女。しかし盗賊Cが待ったをかけました。

 盗賊Cの真っ当な疑問に、緑髪の少女はさらりと返答します。


「大丈夫です。私が迷子になることは向こうも想定しています。ニ日会えなかったら次の目的地に向かってもらうことになっています」

「え、いいのかそれ」

「いいんです。むしろ急ぐ旅なのに私が度々迷子になってしまって申し訳なく思っています」


 緑髪の少女には旅を急ぐ理由があるようでした。


ここまで読んでいただきありがとうございました。



今回でなんと7万字を超えました!

自分でもビックリです。ここまで来たら10万字までいってみたいですね~。

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