47.脳筋少女、火竜の事情を聞く。
『事情とは何だ?』
クロが首を傾げながら火竜の長に聞きました。
少女たちも火竜の長を見つめます。
火竜の長は考えをまとめるためか、少し考え込んだあとで口を開きました。
『実はね、ワタシがここにいるのには二つの事情があるのヨォ。あ、質問があったら最後にシテちょうだい?』
「二つもあるの?」
少女は早くも質問しました。
早いです。火竜の長は少し顔が引き攣りました。
『そう、二つあるの。……まず一つ目の理由はこの火山の噴火を抑えるタメよ。偶然ワタシがこの辺りを通りかかったときに、ちょうどこの火山が噴火しそうだったのを見つけたの。爆発寸前でアセっちゃったワ。それでね、見つけたのに放っておくのもアレだから抑えるためにここにいたのヨ』
いきなりの爆弾発言です。
火竜の長は少女が話の途中で口を開きそうになったのを見て、早口で一気に爆弾を投下しました。
「なっ、なんだって!!? ここ噴火しそうなのか!?」
「ここの火山が噴火したら町への被害が凄いことになるよっ!!!」
「へぇ、そうなの。大変ね」
この爆弾発言に対する反応は上から盗賊C、天才剣士の少年、少女です。この中で明らかに少女の反応はオカシイですが、それはいつものことなので他のメンバーは特に気にしませんでした。
『そうなのよォ。噴火しかかっていた力を抑えながら徐々に安全な力に転換するのって大変だったワァ』
火竜の長の言葉に少年たちはゴクリと唾を飲み込みます。少年が真剣な面持ちで一番気になることを問いました。
「……では、もうこの火山は噴火しないのでしょうか?」
『えぇ。力の転換はもうすぐ終了するワヨ。これであと五百年くらいは噴火しないんじゃナイかしら?』
「五百年も!! ……火竜の長様、ありがとうございました」
少年は真摯な態度で頭を下げました。
ここの火山が噴火したら近くにある町や村は逃げることも叶わずに甚大な被害を出したことでしょう。火竜の長の話を聞いた少年は安堵に胸を撫で下ろしました。
火竜の長は片手で頬を押さえながら『そんな、イイのよ~』ともう片方の手を振っています。元から赤いのでわかりにくいですが、どうやら照れているようです。
『ふむ、そうだったのか。火竜の長が居なければこの辺り一帯は火の海だったかもな……。それで、二つ目の理由はなんなのだ?』
一つ目の理由に納得したクロが二つ目の理由について尋ねます。火竜の長は『二つ目はァ』と言いながら答えました。
『ちょっと四天王の一人を勢いでヤっちゃったのよね』
二つ目の爆弾発言でした。
「えっ!?」
『なんだって?』
「?」
「はい、アウトォォオオオ!!!!!」
盗賊Cの絶叫が洞窟内を木霊しました。




