21.脳筋少女、第2の村の村長に怒られる。
「な、な、なんじゃこりゃぁぁあああ!?!?!?」
夜の静寂に村の門を破壊した音が響いたあと、急いで村人が駆けつけてきました。
しかし、みんな遠巻きに門の残骸を見て、呆然としています。
ざわざわと「何があった」「魔獣の襲撃か!?」と話している村人に、盗賊Cは全力で土下座をしたい気分になりました。
一方、破壊した張本人の少女は、堂々としたものです。
門を破壊された原因を探していた村人の一人が、門の傍で仁王立ちしている少女を発見します。
「なんだ、あんたたち……あ、まさか門を破壊したのはあんたたちか!!?」
「なんだと!? まさか、襲撃か!」
不安気にざわりとゆれる村人たち。
しかし、少女は堂々と言い切りました。
「この門、壊れてたわよ?」
「はぁぁ!!?」
少女のあまりの発言に村人たちはあっけにとられます。「門が壊れていた?」「いや、まさかそんな……」先ほどよりもざわめきが大きくなりました。
その時です。
「皆のもの、静まれい!!」
「村長!」
「村長!!」
枯れ木のように痩せ細った、しかし瞳は未だに強い光を放つ老人が登場しました。村人の様子から、この人物が村長なのでしょう。
村長が登場し、徐々にざわめきは鎮まっていきました。
それを確認してから、村長は少女に向き直ります。
「壊れていた……ということじゃが、どういうことかな?」
威厳たっぷりに問いかけます。
少女も、厳かに答えました。
「この門、老朽化してたのね。ちょっと押したら、壊れてしまったのよ」
「…………」
少女の言った言葉をうまく理解出来なかったのでしょう。
周囲の村人はぽかんとしています。
一番早く我に返ったのは、村長でした。
「ばっかもーん!! それじゃ、やっぱりお主が壊したんじゃないか!!!」
村長の一喝が、夜の闇に響きました。




