表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/71

18.脳筋少女、引きこもり魔女に依頼される。

「誰よコレ」



 盗賊Cが叫んだ後、魔女が言いました。

 盗賊Cは正気に返ります。慌てて自己紹介しようとしますが……。


「下僕よ」

「下僕!?」

「違うから!」


 少女がさっくりと説明してしまいます。

 盗賊Cは“何回目だよ?”と思いつつも自分は荷物持ちだと説明します。

 どうやら魔女は少女の言葉が足りないのには慣れているのか、すぐに納得の表情になります。


「成る程ね……。苦労するわね」


 “何に”とは言いませんが、お互いに通じあいました。



***



 とりあえずここじゃなんだから、と言って魔女は家の中に2人を招きます。

 ソファーに座り、魔女が入れてくれたお茶を飲みながら、少女は口を開きます。


「それで、ちょうどよかったって言ってたけど、薬の素材が足りないの?」

「そうなのよ。いつもこの町から西にある村から、定期的に素材を買い取っているんだけど、今回はほとんど手に入れられなかったのよね」

「? なんで? 採り尽くしたってこと?」


 少女は首を傾げます。

 しかし、魔女は少女の言葉に否と言います。


「どうやら素材の採れる山頂付近に、魔獣が出たらしくて、いつも採取してくれていた人が怪我したみたいなの」

「魔獣!?」


 不穏な言葉に盗賊Cはつい口を挟んでしまいます。

 だけど魔女は気にせずに話を続けます。


「そうよ。村人ではどうにもならなかったそうよ。素材を届けられないって謝罪の手紙がきたわ」


 そこで魔女はお茶で口を潤し、一呼吸置いてから、また喋りだします。


「アナタにお願いしたいのは、その村に行って、可能そうなら素材を採取してほしいの」

「何だって!?」


 盗賊Cはガタリと席を立ちます。

 そんな危ない場所に、いくら強くても、ただの村人の少女を向かわせるなんて、と思ったのです。

 魔女は少し目を伏せながら、なお言い募ります。


「もちろん、危険なのはわかっているわ。だから断ってくれてもいいわ」



 しかし、少女は即答しました。



「行くわ」

「お嬢!?」


 盗賊Cはびっくりしました。少女が全く躊躇しなかったからです。


「……いいの?」


 魔女は少し不安そうです。自分でも無茶なことを頼んでいる自覚があるのでしょう。

 だけど、少女はあっけらかんと言います。



「だって、薬に必要なんでしょ?」

「!」

「!!」



 そうです。少女はわかっていました。

 この魔女が作る薬は人を生かす薬。しかも市販の薬とは比べ物にならないくらいよく効きます。

 特に重病人に対して優先的に薬を作っていることを、少女は知っているのです。

 盗賊Cも少女の言葉で悟りました。


「もし、危なそうなら帰ってくるわ。だから、大丈夫よ」

「……ありがとう。お願いするわ」




 こうして、少女は魔女からの依頼を受けました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ