17.脳筋少女、引きこもり魔女に歓迎される。
「着いたわ」
「……」
少女が立ち止まったのは、控えめにいっても廃墟のような家でした。
家を這う蔦、屋根の上にはカラス、オドロオドロしい雰囲気です。
盗賊Cは顔がひきつりました。
「まさか……ここか!?」
「? そうよ。行くわよ」
少女は首をコテリと傾げましたが、気にしないことにしたのか家の扉に近づきます。
扉には、紙が貼ってありました。盗賊Cは何て書いてあるのか読んでみます。
『我が眠りを邪魔するモノよ、呪われよ』
「コワッ!!」
顔を青ざめさせた盗賊Cが後退ります。
「ふむ……今、寝てるのね」
「なんでだよ!?」
「だって、眠りを邪魔するなってことは、今睡眠中ですよってことよ!」
盗賊Cはポカンとします。“え、そういう話なの?”と首を傾げます。
少女は気にせずに扉をノックします。
ドカン、ドゴン!
扉がギシギシと軋んだ悲鳴を上げます。
「ちょぉぉぉ!! お嬢!待とうか! それ、ノックじゃねぇから! なに、壊す気!?」
「なに言ってるのよ? 軽くノックしただけじゃない」
「いやいやいやいや! 以前から思ってたけど、お嬢って扉に恨みでもあるわけ?!」
盗賊Cはドキドキしながら聞いてみました。
しかし少女は笑い飛ばします。
「ぷっ…なにそれ。扉に恨みとか! …………ないわよ?」
「その間が怖いわ!!」
「まるで私が毎回扉を壊しているみたいじゃない。そんなわけ無いでしょ」
「……そうか? いや、でもな……」
扉の前でぎゃあぎゃあ騒いでいると、家の中からバタバタと音がして、扉が開きました。
バタン!
「うるさいわね!呪うわよ!? あら、誰かと思えば……久しぶりね! ちょうどいい時に来たわ!」
「久しぶりね」
「アナタが扉を壊さないなんて……成長したわね」
扉から出てきたのは、少女と同じ年頃の女の子です。
真綿のような白い髪にルビーのような赤い瞳をしています。
盗賊Cはびっくりしました。白い髪も赤い瞳も初めてみたのです。
でも1番びっくりしたのは……
「やっぱ扉壊してるんじゃねぇか!!!」
そこでした。




