11.脳筋少女、宿へ行く。
町の中は、結構にぎわっています。
煉瓦造りの家が建ち並び、大通りには露店が並んでいます。
食べ物を売っている露店からは、とてもいい匂いが漂ってきます。
食欲をそそる美味しそうな匂いに、少女はふらふらと吸い寄せられます。
「美味しそうね。お腹空いたわ」
「おいおい、買い食いもいいが、宿をとる方が先じゃないか?」
「少しくらいいいと思うわ」
少女は串焼きを5本買って、1本を盗賊Cにあげました。
すぐに食べ終え、もう5本買います。
盗賊Cは、早くも少女にお金を持たせておくとヤバいのでは?と思いました。
さらに買おうとするのをなんとか説得して宿屋街に来ます。
「そういえば、お嬢はこの町で稼ぐっていってたが、アテはあるのか?」
「大丈夫よ。何回か稼ぎに来てるし。あ、宿はここね。この町に来るときはいつもここに泊まっているのよ」
「ふーん、“踊る筋肉亭”ねぇ。……お嬢が好きそうな名前だな」
「素敵な名前よね」
盗賊Cはあまりのネーミングセンスの無さにドン引きです。
少女は目をキラキラさせながら宿の扉に手をかけます。
ガッ!
しかし扉は開きません。
ガッ!
しかし扉は開きません。
ガッ!
しかし扉は開きません。
「開かないわね……」
「お、お嬢?」
盗賊Cは嫌な予感がします。
少女はさらに扉を押します。
「ちょ──」
「ふんっ!」
バキャァァ!!!
少女は全力で扉を押しました。
そしたら、なんということでしょう!
扉が外れてしまいました。
「おいぃぃぃぃぃ!!?」
盗賊Cは叫びます。
嫌な予感はしました。嫌な予感はしましたが、本当に扉を壊すとは思っていませんでした。
盗賊Cは呆然としました。




