10.脳筋少女、第1の町に着く。
ひとまず一件落着したので、5人は町に向かいます。
少女は途中で採った薬草と獣を商人に見てもらいます。
どれも状態が良かったので、商人は少し相場より高く買い取ってあげました。
少女も商人もほくほく顔です。
その様子を見て、盗賊Cはふと問いかけました。
「そういえば、お嬢は町に何の用があるんだ?」
「お金を稼ぐためね。家の扉を壊しちゃって」
「え、それで町まで稼ぎに行かなきゃいけないのか?」
「さすがに今月5回……だったかな? あと村の門も壊したわ」
「なにやってんだ!?」
盗賊Cはツッコミました。
そんなに扉を壊す状況がまず想像できません。
しかし、少女は自信満々です。
「まぁ、仕方ないわよ。扉の立て付けが悪かったの」
「絶対違うだろ」
「で、怒った父さんにお金を稼いでこいって言われたの。村では、働く分物も壊す女ってことで雇ってもらえないのよね」
「どんだけだよ。壊しすぎだろ」
そんな話をしているうちに、一行は町へ到着しました。
町へ入る前にお別れの挨拶をします。
商人はニコニコしながら少女に声をかけます。
「この度はどうもありがとうございました。またお会いした時は、是非商品も買って下さいね」
「えぇ、またね。お金があったら買うわ」
少女と商人はここでお別れです。
2人は握手をしました。
「頑張れよ」
「風邪なんか引くなよ」
「あぁ、わかってる。お頭とアニキも頑張ってな」
盗賊たちもお別れです。
お互い心配は尽きませんが、言葉にはせずに軽く挨拶をします。
「さ、行くわよ」
「あぁ、行くか」
2人は町の門をくぐりました。




