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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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キューの価格高騰と不足



「とりあえず、キューの漬物を作るのが先決ね。エルサちゃんのために……私も食べたいし」

「そうだね。大量に食べるから……エルサも、姉さんも……」

「ヒルダ、料理人に伝えて。漬物類の増産……特にキューの浅漬けを多くね」

「はい、畏まりました。ですが……」

「うん? 何か問題でもあるの?」


 姉さんがヒルダさんに指示を出し、頷いたヒルダさんだけど、何か問題がある様子。

 キューの浅漬けくらいは、作るのが簡単で、あまり料理人さんの手間を増やす事じゃないから、問題はなさそうだけど……?


「現在、王都でのキューの価格が上がっているようなのです」

「キューの?」

「はい。原因は、生産量の不足という事で……王都で売られているキューが、不足しているために価格が上がっているとの事です」

「それはどのくらいなの?」


 キューの価格が上がっているというヒルダさん。

 キューが不足かぁ……どこかの畑で作ってるキューが、不作になったとかかな?

 オシグ村でも作ってたのは見たけど、魔物が荒らした分の収穫が減っているのは間違いない。

 とは言え、それだけでヒルダさんが報告するような、価格の上昇にはならないと思う……。


 センテでも作ってたし、日本で見られるキュウリと同じなら、家庭菜園でもできるくらいだし、他でも作ってるはずだ。

 ヒルダさんの報告に、姉さんが詳しく聞くため身を乗り出す。

 それに俺や他の皆も、食事をしながらの雑談を止め、聞く体制だ。

 エルサ用のキューが不足するのが心配だからね。

 そのエルサは、漬物に夢中で話を聞いていないのか、片手に普通のキューを持ち、左手で漬物のキューを掴んで齧ってご満悦だ……相変わらず暢気だなぁ……食いしん坊なだけかな?


「先程、厨房で聞いて来た料理人たちの話によれば、キュー一本が銅貨四枚に価格が上がったとの事です。また、王城で仕入れている店のキューが不足しているため、エルサ様用のキューを複数の店から買い入れたようです」

「銅貨四枚……ほとんど倍近くになってるじゃない」

「はい。王都でのキューは、多少上下する事があっても、銅貨二枚程度……これでは一般の民にも影響を及ぼします」

「そうね……何故キューが不足しているかわかる?」

「いえ……それはなんとも」

「そうよね。ヒルダがそこまでわかるわけないか……」

「ね……陛下、どこかの畑が不作だったとかは、考えられないの?」


 ヒルダさんが聞いたのは、王城に務めている料理人さん達かららしい。

 今食べてる料理も、その人たちが作った物だし、料理をするために仕入れをする必要もあるから、直接取引している人からの情報というのは、信憑背が高い。

 エルサのために、幾つかの店を回ってキューを買ってくれたみたいだしね。


「今年の国内での生産で、不作だった所はないとの報告だったけど……魔物が畑を荒らす事もあるし、絶対ないとは言い切れないわね。とにかく、今はまだ銅貨二枚から四枚への価格上昇だけど、放っておいたらもっと値上がりしてしまうかもしれないわ。調べる必要があるわね……。もちろん、他の作物も」

「そうだね……何か理由があるのなら、調べてみた方がいいよね。銅貨四枚以上か……」


 確か、センテではキュー一本を、銅貨一枚で買ったのを覚えてるけど、あれは産地から近かったからだろうね。

 収穫して、離れた王都へ輸送する事を考えると、銅貨二枚が妥当なんだろう。

 それが二倍かぁ……お金に余裕がある人は、あまり気にしないかもしれないけど、そうじゃない人は買うのを躊躇うようになってしまう。

 値段が上がって需要が減れば、数が行き渡って、自然と価格も下がるかもしれないけど……その間エルサのキューをどうするか少し心配だ。

 ……エルサが食べ過ぎたから、数が少なくなった……なんて事は、さすがにないとは思う。


 ともかく、原因を調べて、何故不足し始めたのかを突き止めないと、町の人達が困ってしまう。

 魔物が原因だとしたら、キューだけに留まらず、他の作物にも影響が出るだろうしね。


「城で食料に充てている予算にも限りがあるから、キューを買う量を減らさなきゃいけない可能性もあるわね」

「キューのほとんどを、エルサが食べてるから、そこは俺がお金を出してもいいけど……」

「それはありがたい申し出だけど、さすがに受け入れられないわ。城で歓待しているはずの者に、予算が足りないとお金を出させたら、面目丸つぶれだもの」

「そう、なんだ……」

「陛下の言う通りですね。リク、子爵家の屋敷でも、滞在費や食費を求める事はなかっただろう? もちろん、私達を救ってくれたリクへの礼も含まれているが、それだけではない。貴族や王城が認め、客として歓待する場合、その間の費用は全て歓待する側が持つものだ。歓待される側が出すものではない。他の者にそれが知られたら、面目どころか、貴族として侮られる事になる」


 エルサが食べるキューや、俺達が今食べている分の食費くらい、自分で出しても……と思って提案したんだけど、それは拒否された。

 お金には困っていないし、使いどころがなくてどうしようかと思ってるくらいだったんだけど、それは貴族や王城としては受け取れないらしい。

 エフライムも加わって説明してくれた事によると、滞在費や食費を、客側が支払うと言うのは、貴族にとって恥となるとの事。

 確かに、お客として迎えながら、これで自分を歓待してくれとお金を渡すのは、おかしな話になるのか。


 貴族としてはそれが恥となり、ひいては領地運営に問題があるなど、いらぬ誤解を受ける事になるんだろう。

 考えて見れば、貴族としてだけでなく、一般でも当然の事かもしれないね。


「エフライムの言う通りよ。だからリクの申し出はありがたいけど、受けるわけにはいかないの。とにかく、早急にキューの価格上昇について、調べる必要はあるわね。……はぁ、リクが帰って来たばかりなのに、忙しいわ」


 エフライムに同意し、俺からの提案を断る姉さん。

 少し申し訳なさそうにしているけど、むしろこれは、何も知らずに提案した俺が悪かったと思う。

 キューの事を調べると決めた姉さんはしかし、すぐに溜め息を吐いた。

 新しい仕事ができて、大変なのはわかるけど……女王様なんだから仕方ないんじゃないかな?


「それは、仕方ないんじゃない? 城だけじゃなく、王都に暮らす人たちへの影響もあるだろうし」

「そうね、それはわかってるわ。まぁ、実際は町に出て調べる者達の方が大変だろうし、頑張るわ」


 姉さんが実際に町へ出て調べるわけじゃないから、一番大変なのは、臣下の人達だろうね。


「それに、もし城で買うキューが少なくなったら……」

「そうだね……」


 姉さんの言葉に、俺や他の皆が一斉にキューを食べてご満悦のエルサへと、視線を向ける。

 エルサを除いたら、一番量を食べるユノも同じくだけど、こちらはキューにこだわらず色んな物を食べるからね。

 キューがなくとも代わりの物があれば、満足してくれるだろう。

 問題は、やっぱりエルサだな。

 キューの事になると、理性を失うに近い部分があるから、少し心配だ……。




キューが不足すると聞いて、エルサがどんな反応をするか心配です。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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