アルネは男性エルフです
「アルネさんは、男性……なのですか?」
「む? いや、見てわかるだろう?」
「いえ……すみません、フィリーナさんと同じ女性だとばかり……」
「……くっ」
「うふふふ、レナちゃん。アルネはれっきとした男で、私の兄よ?」
「兄妹……だったんですね。似ている雰囲気がありましたので、姉妹とばかり。……すみません!」
どうやらアルネは、レナには女性として見えていたようだ。
確かに、フィリーナと似た雰囲気があって、美形で線が細いから、女性に見えなくもない。
髪も、背中に届きそうなくらいの長さをしているからね。
うん、言われてみると確かに女性に見える。
フィリーナと似ているのは兄妹だからだし、美形なのはエルフ特有なんだけどね。
体を鍛えていないから、細身なのもそう見られる原因か……フィリーナもそうだしね。
レナはアルネが男性とわかって、全力で謝る。
俺の後ろでは、メイさんが驚いてる気配もするね……貴女もか!
ちなみに、がっくりとしたアルネに対し、遠慮なしに笑ってるフィリーナと同じく、俺も笑いを堪えてる。
さすがに、俺まで笑うのはかわいそうだしね。
「まぁ、人間から見ると、そう見られる事もあるのかもしれんな」
「そうねぇ。それに、こんな小さい子だから、見間違えるのも仕方ないんじゃない? えっと、いくつだったっけ?」
「十一歳になりました! フィリーナさん達はいくつなんですか?」
「それくらいなら子供の考える事と思って、許してあげなさいよ、アルネ? ――私は……年齢の事は内緒よ?」
「さすがに怒ったりはしないから、安心してくれ。ともあれ十一歳か……大人と子供、というには年月の差が激しいな。人間とエルフ、わかってはいた事だが。あぁ、俺は三百十六歳だ」
「三百十六歳ですかぁ!?」
「っ!」
年齢を聞いたレナは驚くよりも、年齢としてよくわからない数字だったらしく、首を傾げてる。
それはいいんだけど、何故かアルネの年齢を聞いて、俺の後ろにいたメイさんが叫んだ。
いきなりの事で驚いたし……距離が近かったから、ちょっと耳が痛い。
しかしフィリーナ、自分から年齢の話にしてレナに聞いたのに、自分は内緒で済まるのはどうなんだろう?
はっきりとはわからないけど、エヴァルトさんやアルネと話した事で、なんとなく想像できる。
まぁ、女性に年齢の話はデリケートだし、あまり知られたくない気持ちもわからなくもないけどね……。
「どうしたら、そんなご高齢なのに……失礼しました。えっと、見る限り若く見えますが……」
「ははっ、まぁそこらは人間とエルフの違いだな。あまり気にしていないから、大丈夫だ。だが……どうしたらと聞かれると困るな……」
「エルフの年齢と、人間の年齢の差は、あまり気にしない方がいいんじゃないかしら? ほら、寿命がそもそも違うんだし……」
「そうなのですか?」
「それは、確かに……」
数字だけだと、確かにメイさんの言うように高齢と思えるけど、そもそもの寿命や年齢への感覚が違うから、人間と比べて考えるのは間違いなんだろうね。
年齢の部分は数字が大きくて実感がない代わりに、寿命が……という部分でレナも興味を持ったようだ。
まだ子供だから、年齢とかよりも、人間とエルフの違いの方が興味を持ちやすいのかもね。
それにしても、メイさんの食いつきは凄いね……何か、年齢に対して思う事があるのかもしれない。
そういえば、メイさんは何歳なんだろう?
見た感じだと、二十代に見えるけど……こういう事を気にしてる女性に聞くのは、危険そうだから、止めておこう。
「人間とエルフの寿命の差は……十倍から十五倍になるのだったな。なので、私は人間で考えると、二十代と言えるかもな」
十倍から二十倍……そんなに差があったんだ。
人間が百歳まで生きるとしたら、エルフは千から千五百歳まで生きる……ものすごい長生きだ。
あ、いや……この世界の人間が、どれくらい生きるかわからないな。
日本でも平均寿命は百歳じゃないし……詳しくないけど、医療が発達していないように思うから、五十歳が平均とすると、五百から七百五十歳か……それでも十分過ぎる程長いね。
平均して考えて計算すると、大体アルネが二十代前半から後半くらいで……フィリーナは……まぁ、計算するのは止めておこう。
とにかく、人間で例えるとそこまで俺達と年齢が離れていない……という事だね。
「寿命の差で考えると、確かに珍しいとは言えないのは確かですが……それにしても数百年、若さを維持できるというのは……」
「エルフってすごく長生きなんですねぇ……」
メイさんは寿命の差で納得しつつも、長年若さを保つという部分にひっかかり、レナはただただ長く生きる事に感心しているようだ。
ここで俺が発言して話に混ざると、フィリーナあたりに睨まれそうな事を言いそうなので、少しだけ距離を取る。
とは言え、同じ部屋の同じソファーに座ってるから、あまり離れてないけど。
メイさんのお尻から、ようやく俺の頭に戻って来たエルサを相手に、モフモフしつつ話を聞き流しておこう。
あ、ヒルダさんがいるから、話し相手になってもらおうかな……?
と思ったけど、無理そうだ。
いつも静かに佇んで待機している場所より、フィリーナ達に近付いており、皆の話を聞く事に集中してたから……。
やっぱり、女性にとって年齢や若さの話は、大きな関心なんだろうなぁ……。
なんて、少々肩身が狭く感じながら、エルサを撫でてゆっくりしていた。
「ただいま。帰ったわよ、リクさん」
「帰ったのー。お腹減ったのー」
「お帰り。町の方はどうだった?」
「言われていた通り、問題無かったな。私達を見ても、特に何も大きな反応はなかったぞ。まぁ、中には顔を覚えていて、指を差してくる者がいたくらいだな」
夕食前くらいの時間になると、モニカさんとソフィー、ユノが部屋へと戻って来た。
三人を迎えつつ、町に出てどうだったかを聞く。
ソフィーによると、特に問題はなかったらしい。
指を差されるくらいはあったみたいだけど、以前の人が集まって来る事に比べたら、全然マシだね……失礼だとは思うけど。
いいなぁ、俺も町に出て色々見て回りたい……。
「冒険者ギルドへの報告も、終わらせて来たわ。ロータの事や、オシグ村の事も含めてね。あっちの方は、既に依頼報告は終わってるけど、事情を知る人には詳しく説明しておいたから」
「ありがとう、モニカさん」
事情を知る人というのは、マティルデさんやミルダさんの事だろう。
依頼の達成報告はしても、ロータや村がどうなったのかは、ちゃんと説明しないとね。
ミルダさんには、ロータのお世話もしてもらってたし……ちょっと危険な香りもしたけど。
「それじゃ、報酬を……」
「あっちは、何を話しているんだ?」
「あぁ、あれは……」
モニカさんが、依頼報告で受け取った報酬が入っているであろう革袋を取り出す。
この場で、皆と分けるんだね……報酬は、さっさと分けないと後でもめる原因になるからと、受け取ったらできるだけ早く分けるようにしてる。
まぁ、モニカさんやソフィーさんが、多少の事で問題にするとは思えないけど、お金の事はしっかりしておかないとね。
冒険者や、パーティとしての鉄則だ。
お金で揉めないよう、しっかり分けました。
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