休憩所建設中
「リク様、ご到着お待ちしておりました! 中隊長、お疲れ様です!」
「……はぁ」
「ご苦労。しかし、何故お前達が……?」
数分後、馬車は休憩所の前に止まり、数人の兵士さん達が整列と敬礼をして、俺達を迎えてくれた。
警戒、する必要なかったみたいだ。
探査魔法……広い範囲を調べられるからといっても、精度をあげたりしないと、する必要のない警戒をしてしまうから、もう少し考えた方がいいなぁ。
というか、整列した兵士さん達、マルクスさんの事を中隊長って……?
「この森の一部を、リク様が切り開いたとの事でしたので、王都との中継地として整備するために参りました。隊長や皆様と合流するのにも丁度良かったので」
「そうか……ヴェンツェル様か、ハーロルト様の采配なのだろう。わかった。……えぇと……リク様、この者達は私の中隊に所属している者達です。全員ではありませんが、私の部下です。この者は小隊長ですね」
「そうなんですか。えっと、リクです。よろしくお願いします」
「はっ! リク様、お会いできて光栄であります!」
整列した兵士さん達の中から、一人の兵士さんが進み出て、マルクスさんに事情を説明した。
マルクスさんはそれを聞いて、周囲に散らばっている兵士さん達を見渡しながら、改めて俺に説明。
どうやらここにいる人達のほとんどは、マルクスさんの部隊の人達らしい。
そういえば、初めて会った時に中隊長とか言ってたっけ。
進み出た人は小隊長という事だから、マルクスさんが中隊長を務める部隊の一部がここに来たんだろう。
俺が御者台から降りながら、小隊長さんに挨拶すると、整列していた人達だけでなく、周囲を警戒したり、木材を運んでいる人達もこちらへ体を向け、敬礼して応えてくれた。
……ちょっと大げさな気がするけど。
マルクスさんの部下や、王都の兵士さん達なら安全だと安心して、馬車の中にいるモニカさんやエフライム達に声をかけ、馬車から降りてもらう事にする。
「了解しました。子爵家のエフライム様、レナーテ様でございますね。リク様が護衛に付くのであれば、私共は不要かと思いますが、我々も王都までの護衛に加わります」
小隊長さんを始め、この場にいる兵士さん達は王都の人達だから、俺やモニカさん、ソフィーやユノの事は当然知ってる。
城の中で見かけた顔もいるしね……あ、あの人はヴェンツェルさんとの合同訓練の時にいた気がするな……。
ともかく、エフライムとレナを知らない人たちに紹介、王都へ帰るついでに、護衛をしていると伝える。
エフライム達が王都へ来ると知って、一緒に護衛してくれるみたいだ。
帰り道が安全になって、嬉しい事なんだけど……俺達が来たからと、王都へすぐ帰ってもいいものなんだろうか?
「お前達が? 自分の部下だから、不足とは思いたくないが……それでいいのか? ここでの仕事はどうした?」
「ここにいる者達の一部は、元々隊長やリク様達と合流するために、ここで待機するようにと命令されています。なので、その者達と王都へ向かうのは何も問題はありません。それに、ここに中継地を作るための資材の運搬もあります。丁度、王都から資材を運ばなければいけないのです」
「そうか。なら、その命令を受けた一部と、資材の運搬で往復する者達が、王都へ向かうのだな? お前はどうするのだ?」
「はっ、そうなります。私は、ここに残る部隊の指揮がありますので、ここに」
「そうか……野盗をリク様が捕まえたとて、魔物もいる森だ。油断はするなよ」
「はっ!」
「……そういう事だそうです、リク様。リク様の護衛と比べれば、物足りないものとなるでしょうけど……」
「いえいえ、兵士さん達もいてくれるのなら、安心ですよ。よろしくお願いします」
マルクスさんが小隊長さんと話し、兵士さん達が俺達と一緒に王都へ戻っても問題がない事を確認する。
元々俺達と合流して、王都へ向かう兵士さんと、運搬作業をする兵士さんがいるみたいで、その人達が合流するとの事だから、問題はないらしい。
そう言われればと、周囲を見てみると、俺が魔法で開いた森の中、いくつかのテントと一緒に木材が積まれてる。
それを使って、休憩所や宿となる建物を建設するんだろう。
その資材がまだ不十分だから、王都に取りに帰る必要があるみたいだね。
こういうのは、何度も往復して運ばないといけないものなんだろう……人手とか、運ぶための馬車とかも必要だしね。
建設中に、足りない資材が出たりする事もあるだろうし。
ハーロルトさんがここを確認してから、10日前後くらいだから、それで資材を運び込む段階になってるだけで十分早いから、王都側で資材が間に合わなかった可能性もあるし、それを順次運んでる段階なのかも、とも思う。
「本当に、ここを中継地にするのか……リクが魔法で切り開いたとは聞いたが、ここまで広いとは」
「リク様の魔法って、凄いんですね!」
「ははは、まぁ、ここまでの話になるとは思ってなかったんだけどね。単純に、人が多かったからまとまって休憩する場所が欲しいと考えただけだったし」
兵士さん達との挨拶を終えて、兵士さん達が野営をしている場所に混ざり、モニカさんが手早く料理をしてくれた物を食べながら、皆と話す。
感心したような様子で、エフライムが周囲を見ながら話す。
レナは周囲の状況よりも、俺が魔法を使ってという事だけに反応してるみたいだ。
「この森は、王都と子爵領を繋ぐ道になっているからな。だが、子爵領から外れている事と、森の中という事で、野盗や魔物が出没する危険な場所でもあるという認識だ。よくお爺様が頭を痛めていたよ」
「ここって、子爵領じゃなかったの?」
「この森を出て、少し行ったあたりからが、子爵領だな。ここはまだ王都の直轄領となっている。まぁ、王都から距離がある事もあって、野盗達が潜伏するには丁度いいのだろう。バルテルの事がなければ、王都へお爺様が行った時、お爺様が陛下へ進言するつもりだったようだ」
「そうだったんだ……」
てっきり、俺がこの森も子爵領だと考えてたんだけど、違ったようだ。
そういえば、子爵領がどこからどこまでとか、聞いてなかったっけ。
ともあれ、確かにエフライムの言う通り、ここは王都からも離れてる。
馬車で半日……多分、ゆっくりと移動するのであれば、1日かかるくらいだろう。
安全を優先するなら、森に入る前で1泊し、明るい昼とかに森を通過しようとするだろうから、この中継地に来るまで1日半といったところかな。
離れ過ぎているとまでは思わないけど、王都から厳しく森を監視するには、行き届きにくい場所になるわけだ。
そうなると、王都や他の街から追い出された野盗が集まりやすくなってしまい、魔物もいることからカモフラージュにもなる……と。
子爵領ではないから、クレメン子爵が直接どうにかするわけにもいかず、しかもクレメン子爵のいる街からも遠いから、悩みの種だったのかもしれない。
「ここが中継地となり、王都が管理されるなら、森自体が安全な場所に近付くだろう。子爵家の者としては良い事ばかりだ。子爵領と王都との間で、行き来する者も増えるだろうしな」
「人の行き来が多くなるのは、いい事だね」
「うむ。ここから近いオシグ村を始め、他の村も発展する可能性があるな。リク、ありがとう」
エフライムは、ここに中継地ができる事で、子爵領としては良い事ばかりだと顔を綻ばせている。
その中で、俺に向かって頭を下げたけど、お礼を言われるほどの事じゃない。
ただ、皆が休憩できる場所をと思っただけだからなぁ……子爵領の発展とか、中継地としてとか、森の安全とか考えてなかったし……。
むしろ、ハーロルトさんがここを見て、宿場のようにと言い出した時は、仕事を増やして申し訳ないとすら思ったくらいだからね。
結果として皆の役に立ったんなら、良かったと思う。
安全に森を通る事ができるのなら、人の往来に良い影響を与えたのかもしれません。
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