休憩所に異変を感知
「はぁ、少し食べ過ぎたか……寝そうだな」
「お兄様、食べてすぐ寝ると、オークになってしまいますよ?」
昼食を食べ終え、後片付けをした後、しばらくのんびりと休憩した後、森へ向かって再出発。
満腹になったお腹を抱え、御者台で探査魔法で周囲を窺いながら、馬車内の会話を聞くともなしに聞く。
御者台から離れた場所に座っている、モニカさんやソフィーの会話は聞き取れないが、御者台側のエフライムとレナの会話は聞こえて来た。
エフライムは、モニカさんの料理に満足して、ちょっと食べ過ぎたみたいだな。
あれくらいで太るとかはないだろうけど、少し眠そうな声をしている。
こんなに揺れる馬車で寝れるなんて、これも慣れだろうか……お尻が痛いのとか、気にならないのかな?
眠そうなエフライムに対し、レナが注意するような一言。
日本では、食べてすぐ横になると牛や豚になるとは聞いた事があるけど……オークか……。
この世界での豚の例がオークなのかもしれないな……二足歩行とか、武器を持ってる事以外は、見た目豚だし。
魔物でも、食材としてありふれた物らしいしね。
「……んー……ぷっ」
「ん? どうされました、リク様?」
「あ、いえ。なんでもないです」
食べてすぐ横になり、お腹がでっぷりとしたエフライムを想像。
さらに美形な顔のうち、鼻を豚鼻に置き換えて思い浮かべてしまい、思わず噴き出した。
隣に座ってるマルクスさんに、訝しげな顔をさせてしまった。
頭に浮かんだ絵を追い出しつつ、マルクスさんになんでもないと誤魔化して、エフライムに失礼な想像を止めた。
……ドラゴンの魔法はイメージが大事だから、こんな想像も簡単にできてしまうようになったのかもね。
頭の中で、勝手な想像をされて、オークになってしまったエフライムには、かなり失礼かもしれないけど……。
「リク様、もう少しで、予定の休憩所に到着です」
「はい。んー……マルクスさん?」
「はい、何かありましたか?」
エフライム達が、満腹感から来る眠気に負けて、馬車の中にいるほとんどが寝ている状況の中、森の中を走る馬車は、もう1時間足らずくらいで、休憩所に到着できるくらいまで来た。
ほんと、がたがたと揺れてお尻が痛いくらいなのに、よく寝られるなぁ……起きてるのは、ソフィーくらいか。
エフライムに注意していたレナも、結局寝てるし。
エルサは、モフモフをつつかれる事がなくなったからか、モニカさんに抱かれてよだれを垂らしながら寝てるし……。
小窓から馬車内の様子を見つつ、マルクスさんに話し掛ける。
探査魔法の端っこに、魔物とは違う反応があるんだよなぁ。
相変わらず、森の中の魔物は辺りに散らばってるけど、道にまで近づいて来る気配はない。
ただ、この端っこの反応は人間っぽいし、俺達が今向かってる休憩所の近くにいる。
「探査魔法に反応ありです。多分、今向かってる休憩所付近に、人間の反応がいくつかあります」
「……ふむ。怪しいですか?」
「怪しいかどうかは、まだなんとも。ですけど、まとまって動いてるみたいですね」
「そうですか……」
探査魔法に、人間の反応があった事をマルクスさんに報告。
どうするか考えるように、眉を寄せた。
「リク様、街を出る時に使った魔法……結界でしたか。あれは移動中でも使えますか?」
「結界ですか? えぇと、探査魔法を使いながらだと、少し難しいですが……結界だけなら、問題無く使えると思います」
移動しながらの結界というのは、エルサがワイバーンを持って王都へ飛んだ時に使った。
最初は結界の特性がわからず、エルサを激突させてしまったけどね。
あの時経験しているから、エルサが飛ぶよりも速度が遅い馬車なら、失敗する事もなく使えると思う。
さすがに、探査魔法と両方を維持するのは、少し難しいと思うけど。
「では、その結界を使い、休憩所を走り抜けましょう。その後に、相手の動きを見て、どう対処するのか決める……という事でどうでしょうか?」
「そうですね、その方が時間もかからなくて済みそうです」
反応のあった人間がどう動くかとか、どんな事をしているのかを調べるのは、少し時間がかかる。
だったら、結界で遮断して、一気に走り抜けながら様子を見ようと考えたんだろう。
確実に進むなら、様子を窺った方がいいのかもしれないけど、薄暗くなってきているから、時間を短縮させる事を優先だ。
「では、リク様が魔法を使ったら、馬車の中にいる皆を起こします」
「はい、お願いします……結界!」
マルクスさんに頷き、少しだけ集中して、結界を発動。
エルサの時のような間違いをしないよう、ちゃんと馬が走るのに合わせて動くようにしてある。
馬の方は風の抵抗がなくなったからか、ほんの少しだけ走りやすそうで、若干速度が上がった。
これなら、駆け抜けるのも問題なさそうだ。
「リク様、こちらは準備できております」
「……メイさん、起きてたんですね」
結界を張り終わって安心していると、馬車の中から声がかけられ、そちらを向く。
馬車の中では、マルクスさんが声をかけるまでもなく、メイさんが皆を起こしていたようで、警戒態勢になっていた。
それぞれ、戦える人は武器を持ち、エフライムはいつでも動き出せるように構えている。
メイさんは、レナを庇うように抱き締めながら、手にはナイフと言うにはゴツイ武器を持っていた……薄暗いから、ちょっと怖い。
というか、メイさん起きてたんだな……静かでほとんど動かないから、寝てると思ってた。
「……準備はできているようです。では、駆け抜けます!」
「はい、お願いします」
馬車の中で、皆に警戒してもらい、俺は結界を操りながら、マルクスさんは馬車を走らせる。
速度が上がった事もあり、想定よりも少しだけ早く休憩所が近付き、それと共に周囲に集まっている人達の様子も見えて来た。
向こうがこちらを発見して、何かをしようとする前に、走り抜ける……!
もし何かして来たとしても、結界で防御しているから、安心だ。
「……ん、あれ?」
「武装していますね……あれは、兵士? というより、見た事があるような……?」
「そう、みたいですね。マルクスさん?」
「はい、速度を落とします」
「こちらも、結界を解きますね。一応、何かあれば対処できるよう、警戒はしておきます」
「お願いします」
段々と見えて来た休憩所の周囲にいる人間。
遠目で、馬車を走らせてるから、まだはっきりとは見えないが、どうやら全員鎧を着ていたり、武器を持って武装しているようだ。
それだけなら、バルテルの者の事があったから、怪しい者達の可能性は否定しきれないのだけど、その鎧に見覚えがあった。
というか、マルクスさんが来ている鎧と一緒だ……確か、野盗をヴェンツェルさん達に引き渡した時も、同じ鎧を着た人達がいた。
マルクスさんに確認をし、馬車の速度を落としてもらう。
近づいて来る馬車に、向こうも気付いたのか、数人が集まってこちらを見てる。
一応警戒はしているけど、向こうは武器を構える事もなく、攻撃して来る意志は感じられない。
というよりあれ、間違いなく王都の兵士さん達だよね?
なんで、あんなところに集まってるんだろうか……。
休憩所では、王都からの兵士が集まって何かをしているようでした。
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