問題無くオシグ村へ到着
「リザードマンとかはどうなんですか? 知能が低いというようには、感じませんでしたけど」
オシグ村付近で討伐したリザードマン。
あれは、多少なりとも知能を持っているように見えた。
グリーンタートルを使って盾にしたり、甲羅を割られて無防備になっても、躍起になって襲って来るのではなく、逃げようとしたりしてたしね。
「リザードマンは、知能のある魔物と認識されていますね。まぁ、ビッグフロッグの餌にもなるのですが……ただ、あちらは武器を使う知能がある分、人間の方には近づいて来る傾向があるようです。戦える者でなければ、対処も難しいですからね」
「成る程……リザードマンにとって、人間は戦って勝てる者……という認識なんですね。なら、街道付近や、畑にいてもおかしくないのか……」
リザードマンがビッグフロッグの餌と言われるのはともかく、あの場では一緒にいたのは間違いない。
しかもビッグフロッグは、リザードマンを食べる事なく、俺達が近付いたら俺達だけを目標に襲い掛かって来た。
色々とわからない事は多いけど、オシグ村で討伐した魔物達は、人間に近付いて来てもおかしくはないという事か。
街道付近に散らばっている魔物達とは、別という事だろうね。
「リク様、そろそろオシグ村に到着します」
「あぁ、本当ですね。よく知らない事を話していると、楽しくて時間が経つのも早く感じます」
「リク様の知識の助けになれたのなら、光栄です」
考えに耽っていると、隣からマルクスさんの声をかけられる。
顔を上げて遠くを見てみると、かすかにオシグ村が見え始めていた……1時間もしないうちに、到着できそうな距離だね。
わからない事を聞きながら移動していると、楽しい事もあって、時間が経つのを忘れてしまうね。
まぁ、相変わらずお尻は痛いんだけど……。
「でも、全然何事もなかったですね」
「何事もないのが一番だと思いますが」
「まぁ、そうなんですけどね。いや、街を出る前にちょっとした事がありましたけど……それだけでしたし」
「確かにそうですね。ですが、リク様が周囲を魔法で警戒して下さるおかげで、楽ができました」
「そうなんですか?」
「はい。通常、馬車や馬の速度にもよりますが、護衛を担当する者達が周囲を警戒します。いつ何者かが襲って来るかもわからない……そんな状況で移動となると、休憩をしていても、神経が磨り減るものですからね。その点、今回はリク様が周辺を調べてくれていたので、余裕を持って移動ができてます」
「言われてみると、そうですね。確かに、ずっと警戒しながらというのは辛そうです。……けど、クレメン子爵の騎士さん達は、俺が探査魔法を使っていると聞いても、周囲を警戒していようですよ?」
「そうでしょうね。さすがに、リク様がいると言えど、全てを任せる気にはならないのでしょう。ですが、それでも通常より神経を尖らせてはいないようです。楽になってるのは間違いないでしょうね」
そんなもんかな。
確かに、休憩の時に俺が探査魔法で周囲の警戒をしている……と皆に伝えてから、騎士さんからは余裕が見え隠れしているような気がする。
街での事があったからか、街を出てから休憩までの間は、先導する馬車に乗っていながらも、クレメン子爵の乗った馬車の周囲を固めてる騎士さん達からは、ピリピリした空気を感じられた。
気を緩めすぎたりはしないんだろうけど、俺の魔法が役に立って、騎士さん達が楽になってくれてたのなら、探査魔法を使って良かったと思う。
「さて、そろそろ到着ですよ」
「そうですね。ソフィーやロータは元気かなぁ……?」
「訓練と称して、村の中を走り回ってそうですね」
マルクスさんと話しているうちに、オシグ村がかなり近くなっていた。
村に残したソフィーと、剣を習っているロータの事を考え、マルクスさんと笑いながら村の入り口へと向かった。
「到着か。……この村に来るのも久しく感じるな」
「お爺様、領内を見回っていた時なので……以前は、数カ月前でしたか? 王都への行き帰りの時にでも、様子を見ようとしていたんですよね?」
「うむ、そうだな。少なくとも、年に1度は領内の村や街を見る事にしているが……王都からの招聘があったため、その時にしようと後回しにしていた。バルテルの事があったとは言え、そのために犠牲を出してしまったが……」
「そうですね……」
「クレメン子爵、エフライム、村の中に入りましょう。馬車はここで、騎士さんとマルクスさんが馬の事は、やっておいてくれるみたいです」
「お兄様、早くしないとリク様と二人で行きますよ!」
「いや、レナーテ……他にもモニカ殿やユノ殿がいるのだから、二人にはなれないだろう」
馬車を村の入り口で止め、マルクスさんに任せた後、同じく馬車から降りて来ていたクレメン子爵とエフライムの所へ行く。
途中、レナに腕を掴まれて一緒に行く事になったけど、子供がじゃれついて来ているようで、少し微笑ましい。
村を見ながら、何やら話していたクレメン子爵達に話し掛け、皆揃って村へと入る事にする。
付いて来ていた護衛の騎士さんは、一人が馬車と馬の世話をマルクスさんと一緒に、残り二人の騎士はクレメン子爵の近くで、一緒に来るようだ。
「おぉ、おぉ……リクさん! お待ちしておりました! それに子爵様方も……村への訪問、ありがたく思います」
「イオニスさん」
「うむ、村長だったな。リク殿から事情は聞いた。苦労をかけさせてしまったな……」
村に入ると、村長さんと村の人達が並んでいて、出迎えられた。
クレメン子爵が、先に兵士さんを使ってここに来る事と伝えていたらしいから、待っていたんだろう。
先を歩く俺に気付いたイオニスさんが、俺を見つけて声をかけるのと一緒に、後ろにいたクレメン子爵達に頭を下げる。
クレメン子爵は、イオニスさんの言葉に頷きつつ、魔物の対処が遅れた事を謝るように、頭を下げた。
「顔をお上げ下さい! 子爵様にそのようにされてしまうと、困ってしまいます!」
真っ先にクレメン子爵が謝った事に対し、焦り始めるイオニスさんと周りにいる人達。
まぁ、領主が来たと思ったら、急に謝り始めたりするんだから、驚いたり焦ったりしても仕方ないか。
「だがな、村長。ワシが魔物への対処を遅らせてしまった事で、村に犠牲が出てしまったのであろう? 全てを救う事ができないとはわかっているが……それでもな……」
「いえ……いいのです。リクさんが来てくれました。魔物は討伐されましたし、村はこの通り無事です。それに何より、子爵様がそう考えて下さっているとわかっただけでも、報われるというものです。ありがとうございます」
俯き加減で、手を握りしめ、悔しそうにするクレメン子爵を見て、イオニスさんは涙を流して感謝する。
領主であるクレメン子爵が、こうして村の事を考えてくれて、頭まで下げてくれた。
それだけでイオニスさんは、感動してしまったんだろうな。
さすがに、全ての問題を解決できるとは思わないけど、それでも領民一人一人の事を考えてくれる領主であるクレメン子爵は、素晴らしい貴族なんだろう。
その分、大変そうだけど……涙を流しながら笑ってるイオニスさんや、村の人達を見ていると、領民を大切にする領主……貴族というのも悪くないと思えて来る。
……俺にできるとは思えないから、貴族になりたいとはやっぱり思わないけどね。
リクにはやっぱり、領主貴族になる気は無いようです。
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