護衛依頼受諾
「リクさん、ちゃんと依頼を受けて来たわよ」
「帰ったのー」
「モニカさん、ユノも、ありがとう」
「依頼の受付をしている途中で、子爵からの使いが来て、レナちゃんが護衛対象に加わったみたいだけど……しかも王都までって、何かあったの?」
あの後、エフライムと適当に雑談をして、お昼を食べた後、部屋でエルサと一緒にゆっくりしていると、モニカさんが帰って来て、依頼を受けた事を報告しに来てくれた。
部屋に入って来てすぐ、モニカさんから依頼の内容に追加があった事を聞かれた。
受付にいる時に、クレメン子爵からの使いが来て、レナが護衛対象に加わったり、オシグ村までだったのが王都までになったという事らしい。
ユノは、ソファーで寛いでいたエルサに駆け寄り、モフモフをつつき始めた。
「朝食の後、レナと話しててね。攫われる事がなければ、本来は王都へ行くはずだったと聞いたんだ」
「確か、リクさんの勲章授与式に、参加するつもりだったのよね? クレメン子爵だけじゃなかったの?」
「うん。なんでも、レナの見聞を広げるために、王都へ連れて行ってもらう予定だったって言ってた。レナは、王都に行った事がなかったらしくてね」
「成る程ね。貴族家の人だから、箱入りとまでは言わなくとも、気安く外へ出られるわけじゃないから、王都までは行けなかったのでしょうね」
レナが王都へ行った事がない事や、邪魔が入らなければ本来は王都へ、クレメン子爵と一緒に来ていた事をモニカさんに教える。
モニカさんは頷いて納得しながら、レナが王都に行った事がない理由を考えて、納得してた。
貴族だから、気軽に遠くへ行けるわけじゃない。
かといって、子供ながら一度は国一番に栄えている場所へ行ってみたかったんだろうね。
「そうみたいだね。それで、レナがクレメン子爵達に王都へ行けるように、お願いしに行ったんだ。そうしたら、許可が出たのとエフライムも一緒に王都へってなったわけ。まぁ、護衛の事や、俺達が王都へ帰る事も考えると、丁度良かったんだと思う」
「そうね。オシグ村に行ってソフィーと合流した後は、王都に帰るんだから、丁度いいわね。……ただ、リクさん」
「ん、どうしたんだい?」
レナが護衛対象に加わった事と、王都まで護衛となった事を説明すると、モニカさんは合点がいったように頷いた。
実際、王都に帰るついでだから丁度いい事は確かだしね。
これが別方向だったりすると、レナやエフライムを護衛した後、そこから王都に向かわないといけなくて、時間が取られてしまってたからなぁ。
まぁ、急ぐ要はないから、護衛や依頼を頼まれたらそれでも良かったんだけど。
俺の説明に、一度は納得したはずのモニカさんだけど、何故か納得のいかない表情に変わり、俺へ視線を向ける。
気になる事でもあるんだろうか?
「依頼を受けたのはいいわ。二人を王都まで護衛するのも、ちゃんとした依頼だし、問題ないわ。けれど……何故か依頼のランクがBランクになってるのよ」
「Bランク?」
そういえば、どんなランクの依頼になるのか一切考えてなかった。
確かランクは、報酬や難易度によって、冒険者ギルドが割り振る事になってるんだっけ。
「……それだけ、クレメン子爵が出す報酬が多いのかな?」
「それもあるんでしょうね。依頼書には、Aランクとしても遜色がない報酬が出るように書かれてたわ。あとは、貴族との関係なのかもしれないけど……私、Cランクなんだけどなぁ……」
「そんなに報酬があるんだ……。それはともかく、CランクならBランクの依頼も受けられるでしょ?」
モニカさんの説明では、Aランクとも言えるくらいの報酬が出るとの事。
貴族であるエフライムや、レナを護衛するとなったら、冒険者ギルドとしても信頼のおける冒険者を紹介したいから、Cランクではなく、Bランクにしたんだろうと思う。
……まさか、クレメン子爵側からの働きがけがあったりは……ないと信じたい。
俺のAランクはまだしも、モニカさんとソフィーはCランク。
冒険者ギルドでは、一つ上のランクまでの依頼であれば受ける事はできるから、CランクであってもBランクの依頼を受ける事自体は問題がないはずだ。
それに、俺と同じパーティだし、Bランクを受ける事を注意される事もないだろうと思う。
通常は、上のランクである事と、依頼達成率の低い冒険者だったりすると、色々とギルド側から何か言われるらしいけどね。
「そうなんだけど……リクさんと一緒にいると、実力に見合わないランクの依頼ばかりこなしているように思えるわ」
「あ~、それは多分、考え過ぎじゃないかな?」
「はぁ……そういう事にしておくわ。まぁ実際、自分のランク査定だとかを考えると、受けておいて損はないしね。王都へ行くだけだし、道中に何か必ずあるってわけでもない……バルテルももういないから、特別狙われる事もない。難易度は実際Cランク以下でしょうしね」
「そうそう。それに護衛の経験も初めてだから、いい機会だよ、きっと」
「そうね。そう考える事にしておくわ」
モニカさんとしては、自分のランクに見合った依頼を受けたいらしい。
キマイラ討伐とか、勝手にAランクの依頼を受けたりした時、怒られたからなぁ……。
結局あれは俺とユノが片付けたし。
ともあれ、モニカさんが言っているように、実際の護衛依頼としては、難易度はあまり高くないと思う。
オシグ村から王都までの道は、来る途中で野盗を排除したし、森まではヴェンツェルさん達が来てたから、道中はクリアになってるだろう。
オシグ村と子爵邸の間は、開けている場所だし、移動中に魔法探査をした限りでは、魔物が大量にいたわけでもなく、街道付近は安全だった。
唯一警戒すべきは、バルテル配下の者達だけだけど、そっちも騎士団長さん達が頑張って排除している最中だし、そもそも指示を出していたバルテルがもういない。
それを考えると、改めてエフライム達を狙うような指示はしないだろうしね。
こうして安全面を考えて見ると、道中本当に護衛が必要なのか首を傾げたくなってしまうけど、貴族として何も付けないというのは、避けたいんだろうね。
面目というのもあるだろうし、予想外の事が起きてもいけないから。
「それじゃ、私はマルクスさんに護衛依頼の事を伝えて来るわ。色々と、決めておかないといけない事もあるだろうしね」
「あ、俺も行くよ。……エルサとユノは、このまま部屋でゆっくりしておくか?」
「私も行くのー。エルサも!」
「はいはいだわ。リクにくっ付いておくのだわぁ」
護衛の事があるから、マルクスさんと話しておかないといけないだろう。
馬車を扱うのはマルクスさんだし、あの人は兵士さんだしね。
俺も一緒に話をしていた方がいいと考え、モニカさんと一緒にマルクスさんの所へ行く事にする。
ソファーで丸まって、尻尾でユノの手を叩き落としていたエルサにも、どうするかを聞いた。
ゆっくりしてるのに、ユノにつつかれて少し面倒だったらしいな。
エルサが答えるよりも早く、ユノが手を挙げて一緒に来る事を決め、さらにエルサが来る事も決めた。
仕方なさそうに顔を上げて答えたエルサは、ユノの手を逃れて俺の頭にドッキング。
ようやくリラックスする事ができて、ちょっとホッとした雰囲気を出していた。
……頭にくっ付いてリラックスって、今更ながらにおかしい気もするけど……エルサだからいいか。
リクの頭は、エルサにとってモフモフに近い効果効能があるのかもしれません。
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