子爵家の人達は驚愕しっぱなし
「リク殿一人で……? しかし、さすがに剣だけでは、ゴブリンが相手とはいえ、10万の軍勢を相手にするなんてできないだろう?」
「そうですね。でも、リクさんの怖い所は、身体的な強さだけじゃなくて、その魔法です」
「魔法……そういえば、さっきも魔法がとユノ殿がいっていたな。リク殿はどのような魔法が使えるのだ?」
「ん~……どんな魔法が使えるんだ、エルサ?」
俺が一人でゴブリン10万を相手に……と考えると、確かにとんでもないね。
剣一つで戦う事を考えてるんだろう、クレメン子爵は信じられないという表情だ。
魔法については、自分でもどれだけの魔法が使えるのか、あまり理解してない。
これまで使った魔法は覚えてるけど、これ以外にもどんな魔法が使えるのか……イメージ次第だしなぁ。
「何で私に聞くのだわ? はぁ……リクはドラゴンが使える魔法が使えるのだわ。しかも、恐ろしいまでの膨大な魔力でだわ。だから、どんな魔法も使えるし、どんな魔法も使えないとも言えるのだわ」
「ドラゴンの魔法……それは一体……」
「えっとですね……」
ドラゴンの魔法なんて言われても、どんなものなのか簡単には想像できないだろう。
俺はエルサの言葉を補足するように、クレメン子爵達にドラゴンの魔法というものを説明した。
「……まぁ、そういうわけで、普通に皆が使ってる魔法とは、別の魔法が使えるようです」
「成る程……ドラゴンの契約、か……」
「魔力が多いから、イメージ次第でどんな魔法も使えると言えるのだわ。ただし、イメージをしていないと魔法を発現できないし、人間が通常使っている魔法は使えないから、どんな魔法も使えないとも言えるのだわ」
だからエルサは、どんな魔法も使えるし、どんな魔法も使えないと言ったのか……。
要は俺のイメージ次第。
有用な魔法を使うのも、無駄な魔法を使うのも……全てはイメージ次第ってわけだね。
もっと、色々な勉強をしていれば、イメージもはっきりして失敗も少なくなったのかもなぁ。
「つまりは、そのドラゴンの魔法とやらで、ゴブリン隊の軍団を一人で……という事になるのか?」
「えぇまぁ……そうですね」
「……これは、勲章だけでは足りないのではないか……?」
「……そうですね、お爺様。貴族に取り立てられる事もありそうです。王都が、そこのところを考えないとは思わないのですが……」
「あ、貴族になるのは断りました。色々面倒そうだったので。それに、俺は冒険者なので貴族になりたいとは思ってませんし」
「「「「は!?」」」」
本日、何度目かの子爵家一同の驚愕。
あ、レナは椅子に座ったままほとんど寝てるから、参加してないね。
というかエフライム、固まったまま絶句してたのに、話は聞いてたんだな。
横では、俺があっさり貴族になる事を断ったと言ったのに対し、モニカさんが苦笑してた。
まぁ、この世界では普通、貴族に取り立てられるとなったら、飛びつく人が多いみたいだからね。
その後は、俺が貴族になりたくないという事と、王都での襲撃の話。
特に、まだ話してなかった戦闘がどのようにして行われたのか、という部分に対して話をした。
そこらの事は、外から情報が入って来てなかったみたいだから、クレメン子爵達はほとんど知らないみたいだしね。
そこでまたクレメン子爵達は、色々と驚き、愕然とし、呆然としていて、ちょっと見ていて楽しかった……皆、大袈裟だなぁ。
最終的に、姉さん……女王陛下から直接貴族になって欲しい、と言われても断った事に、クレメン子爵はめまいすら感じていたようだった。
「はぁ、ちょっと遅くなっちゃったな」
部屋に戻り、エルサを撫でながら一息吐く。
結局、食事が終わっても俺の事を話し続けてたから、もう夜も大分遅い。
時間で言うと、もう日付が変わった頃なんじゃないかな?
食堂を出る頃には、クレメン子爵達は驚き疲れでヨロヨロとしながら、部屋に戻って行った。
そこまで驚いて疲れなくても……モニカさんは終始苦笑してたけど。
「皆驚いてたなぁ……」
「そりゃそうなのだわ。普通の人間だと、同じ事はできないのだわ」
俺やユノの事を聞いた子爵家の面々は、眠くて話を聞いていないレナを除き、全員が驚いてた。
その時の様子を思い出しながら、呟いていると、ソファーに座ってる俺の膝に乗っていたエルサが顔を上げて、声を出した。
俺も一応、普通の人間なんだけどな……多分。
最近少し、自信がなくなって来てるけどね。
「エルサとの契約のおかげだな。でも、ユノは?」
「私とリクのおかしい魔力が、合わさった結果なのだわぁ。ユノは、元々人間ではないから、例外なのだわ」
「そういうもんか」
「そういうものなのだわ」
俺とエルサの契約というと、エルサは嬉しそうだ……エルサというより、ドラゴンを褒めたように感じるのかな?
ユノの見た目や、それに合わせるような行動と言動で、錯覚してしまいそうになるけど、元は神様なんだよなぁ。
人間離れした技術とかは、それが原因なのかもな。
エルサの言い分に納得して、話を終えた。
今日はもう遅いし、お風呂に入って寝るとしようか。
訓練で、多少汗を掻いたし……その場で拭きはしたけど。
埃とかも被ってるだろうしね、さっぱりしたい。
すっかり俺に洗われる事が、エルサの憩いとなったお風呂へ向かい、汚れを落とし、温まって就寝した。
エルサは相変わらず、モフモフを乾かしてるうちに、寝てしまった。
よく寝るドラゴンだこと。
――――――――――――――――――――
「クレメン子爵、俺達は昼あたりにこの街を出発しますね」
翌日の食堂にて、皆一緒に朝食を頂きながら、ここを発つ予定を話す。
モニカさんは、ちゃんと冒険者ギルドに報告したようだし、クレメン子爵達の様子もちゃんと見た。
特に用がないから、後はオシグ村に寄ってソフィーと合流して、王都へ帰るだけだね。
「そうか? あまり持て成してはやれんかったが……」
「いえいえ、十分歓迎してもらえましたよ」
子爵邸で、部屋を用意してもらったうえ、ちゃんとした物を食べさせてもらってる。
量はまだしも、ちゃんとした料理人が作ってくれてるみたいだしね。
街の方に滞在する事になってたら、宿を探したり、美味しい料理屋を探したりする手間がかかってしまうから、それがないだけでも助かってる。
まぁ、探す楽しみというのもあるだろうけどね。
ただ、バルテル配下によって、ならず者が入って来たり、一部封鎖されていた事もあって治安が悪くなってしまってるらしいから、そういった心配をしないでいいだけでも、子爵邸に留まらせてもらったのは良かったと思う。
変な連中に絡まれたり、いざこざなんて起こしたくないからね。
「ふむ……そうか? 今日か……リク殿、急ぐ事はあるのか?」
「いえ、急ぐ事はありません。まぁ、仲間が一人オシグ村にいるので、あまり放っておいてもな……と」
「ソフィーなら、楽しくロータの訓練をしてると思うけどね」
「成る程、オシグ村か……」
クレメン子爵は、今日俺達が発つと何か不都合があるのか、少し考えるように聞かれる。
俺達に今、急ぐ用事はないから、どうしても今日出発しないといけないわけじゃない。
モニカさんは、ソフィーとロータの様子を思い浮かべて、苦笑してる。
確かに、ソフィーなら楽しそうにロータに厳しい訓練をさせてそうだね。
とりあえず王都に帰って、何かをしないといけないわけじゃないし、ソフィーの方も急いで合流しなければ……という事もない。
1日2日程度なら、滞在が伸びても問題はないと思う。
……少しだけ、遅くなればなるほど、帰った時に姉さんに何か言われそうな気もするけどね。
あと、置いて来たフィリーナ達も気になる。
あっちは、適当に王都でのんびりしてる……といいなぁ……。
王都へ帰ったら、フィリーナ達に置いて行ったことを怒られそうです。
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