皆から改めて感謝されるリク
「我らがここでこうしていられるのは、リク殿のご活躍あっての事。パレードへの協力を惜しまず、リク殿への協力をする事を約束致します」
「リク殿、貴族、陛下、そして国を救って頂き、ありがとうございました」
「……えーと、恐縮です」
立ち上がった貴族達が、フランクさんの言葉に始まり、男爵と呼ばれた腰の曲がったお爺さんや、他の貴族達が俺に言葉をかけて来る。
最後に、一斉に頭を下げてお礼をされ、俺にはどう返して良いかわからなかったけど、何とか一言返す事ができた。
こういう場に慣れて無い身としては、一言でも返せただけでも自分を褒めてあげたい……。
「ほっほっほ、英雄殿はあまりこういう場に慣れていないようですな……」
「いや、まぁ……はい」
「侯爵殿、年若い者を見るのが楽しいのはわかりますが、その辺りで……」
「ほっほっほ。わかりました」
「リク殿には、是非我ら同様、貴族になって頂きたかったのですが……」
「その話は、陛下を通してお断りされているはずですな。……残念な事です」
「ははは……まぁ、俺は貴族という柄ではありませんんから……」
貴族達は、見た目で結構年を取っている人達が相好を崩して色々言っている。
その中でも、姉さんに言われたように、貴族を勧めるような声もあったけど、俺には向いてないと思うんだよなぁ。
領地経営とかできるとは思えないし……。
貴族達は総勢16人、若い人もいるが、全員俺よりは年上なのは間違いないだろう。
ヘルサルからこっち、色んな人達が並んでお礼を言われるのには多少慣れて来たけど、国の偉い人達が勢揃いしてお礼を言われるのには、まだ慣れて無い。
というか、貴族達が並んでお礼って……慣れてる人はいるのかな……あぁ、姉さんはその上の女王陛下だから、慣れててもおかしくないか……。
「静粛に!」
「おっと、これは失礼しました」
「ほっほっほ、会議とは違って気楽な場とは言え、陛下の御前……これ以上はいけませんな」
貴族達が立ったまま、色々と話している事に対し、ハーロルトさんが声を上げて静かにさせた。
気楽な場とは言っても、姉さんだとか色んな人がいるんだから、好き勝手に話すのは……とも思ったけど、一番偉い姉さんがニコニコして俺を見てるから、良いのか……。
やっぱり、ちょっとこの国の行く末が心配になってしまう……。
「貴族方、お礼が済んだのであれば着席するよう、お願いします」
「ハーロルトは固いのぅ」
「はは、だからこその、情報部隊だろう?」
「そうですなぁ」
好きな事を言いながらも、ハーロルトさんに言われて貴族達が椅子に座る。
貴族って、こんなに自由で良いのかな?
それはともかく、ようやく俺も椅子に座って一息入れられるね。
「リク殿、次は我ら軍部からも、お礼を申し上げたいと思います」
「え、あ……はぁ」
ハーロルトさんの一言で、左側に立っていた軍関係の人達が全員立ち上がる。
……もうしばらく座れそうにないね。
「ヴェンツェル様」
「うむ。リク殿、不甲斐ない軍部に代わり、陛下や貴族を救うだけでなく、魔物達の襲撃に対する戦闘への参加、心より感謝する」
ハーロルトさんが示して、ヴェンツェルさんが俺に視線を向けて真面目な顔。
筋肉も相俟って、ちょっと部屋の暑苦しさが増した気がするけど、それに気を取られちゃいけないか。
真剣な顔で、言葉を続けるヴェンツェルさんへ注目する。
「ワイバーンの襲撃に始まり、魔物達の王都侵入。城への攻撃を退けられたのは、ひとえにリク殿あっての事。私をはじめ、不甲斐ない者達はバルテルの謀略により無力化されていた。その中でも獅子奮迅の働きをし、ワイバーンを退け、城門を越え城へと迫る魔物を退けた事、我ら軍部はリク殿に敬意を表する」
「リク殿がいなければ、軍は全滅……城は魔物達に占領……というあってはならない事も考えられます。それに、リク殿の仲間達も協力して下さいました」
「ハーロルト殿を使っての伝令の手際、兵を引かせて自分が前に出て戦う勇姿………どれも素晴らしい物です」
「我ら軍部は、リク殿への敬意と感謝を、ここに伝えるものとする!」
「……えーっと、恐縮です」
ヴェンツェルさんやハーロルトさん達が言葉を俺に掛け、全員で頭を下げた。
それに対し、俺はさっき貴族の方たちへ行った言葉と同じ言葉を返す。
これしか出なかったんだけど……これで良いのかな?
ちらりと姉さんの方を見ると、笑いを堪えてるようだった。
……あとでからかわれそうだなぁ。
こういう場に慣れて無いんだから、仕方ないと思うんだけど……。
「……皆の者、謝辞は終えたか? では、打ち合わせの続きと参ろう。……まずは座れ」
「はっ」
「……はい」
笑いを堪えてた姉さんが立ち上がり、皆に声をかける。
軍関係の人達が一斉に座り、それに倣って俺も椅子へと座った。
……ようやく一息付けた……何か緊張する事ばかりで、精神的に疲れたよ。
「ではまず、順路の確認だな……」
「はっ。パレードで行進するのは、城下町の中央……大通りから……」
姉さんの合図で、後ろに控えていた豪奢な衣装を着た人が横に立ち、説明を開始する。
執事とか、そういう人よりも着ている物がしっかりしてるから……もしかして大臣とかそういう役職の人……かな?
その後しばらく、大臣さんっぽい人の説明で順路の確認をしていく。
時折、警備の関係なのか、ハーロルトさん達と細々とした事の確認をしつつ、話は進んだ。
パレードは、昼から始まり、夕方まで続くようだ。
城下町で一番大きな大通りを出発点に、各場所の主要通りを馬でゆっくりと移動。
その後、最後にまた大通りを通り、城門へと向かって城へ入る……という流れだね。
通る道筋や、場所ごとの兵士の配置、予想される観客の数を確認しながら、打ち合わせは進んでいった。
「……これが、パレードの進行順となります。皆様、お判り頂けましたでしょうか? ご質問などがあれば、なんなりと」
「ほっほっほ、年寄りには、一度に全部覚えるのは難しいのう」
「そうですなぁ……」
「決定された事に関しましては、明日、関係各所へ書類にてお知らせ致します。もう一度確認されたい場合は、その書類を見て頂けたらと思います」
「成る程、それなら覚えられなくとも安心ですな」
「伯爵殿、パレードまでにはしっかり覚えないといけませんよ」
「わかていますよ、子爵殿」
「……ハーロルト、覚える事は苦手なんだが……」
「ヴェンツェル様。これは陛下を始め貴族、軍部と協力して推進する行事です。将軍が流れを覚えていないといけないので、しっかり記憶して下さい」
「むぅ……」
大臣っぽい人の説明が終わり、質疑応答へと移る。
その中で、貴族達は書類が回って来るのを待って、もう一度確認する事にしたようだ。
ヴェンツェルさんは……まぁ、頭を使う事は苦手って言ってたしなぁ……。
ハーロルトさんに小声で注意されてるけど、頑張って覚えて欲しい。
俺やモニカさん達も、一度の説明で全てを覚える事は難しかったので、後で書類を確認しておこう。
王都の地理が完璧じゃないからなぁ……マックスさん達に、多少でも教えてもらっていて良かった。
何も知らないよりは、覚えやすいだろうからね。
書類が来たら、しっかり覚えておこう。
「皆様、よろしいですかな?」
細々としたことを確認し、質疑応答を終えた大臣ぽい人が皆に確認の言葉。
それに俺達も含めて全員頷いた。
口頭の説明だけでなく、ちゃんと書類を見て覚えられるのならと安心するリクです。
読んで下さった方、皆様に感謝を。
別作品も連載投稿しております。
作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。
面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。
作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。






