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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1940/1960

獣人達のリクへの感謝は深い



 ユノとロジーナが話すには、俺がセンテを覆った時は内側の時間の流れが遅くなっていた。

 内部にいる人達に感じさせず、自然に受け止めさせるのも隔絶の効果の一つらしいけど、これは俺も経験のある『神の御所』とやらと同じ効果だろう……と思ったけど違うらしい。

 『神の御所』は、そもそもに現世と時の流れが同じ方向に流れているわけじゃない、とかなんとか。

 よくわからないけど、あの場所はまた別と考えた方がいいみたいだ。


 とまれ、ユノ達がやったのは結界内部の流れを早くする事。

 それだけならなんとなく時間が早く流れるだけで、無駄になるんじゃないか? という事になるけど、内部にいる者はその流れを受け入れ、沿って動けるらしい。

 要は普段通りに行動できるってわけだ……この時点で頭がパンクしそうになっているので、仕組みとかを詳しく聞かなくて良かったと思う。

 ちなみに例として、新幹線とか、それこそさらに早く光速で動くと時間が遅れるようなのと似ていると言っていた……うん、俺にはよくわからないね。


「早い話が、私やユノが働きかけた結界内は時間が引き延ばされるのよ」

「えーっと、って事は?」

「察しが悪いわね……」


 溜め息を吐くロジーナだけど、懇切丁寧に教えてくれた。

 割と最初から置いてきぼりで、新幹線が出てきた辺りで理解を放り出したモニカさん達、同じ部屋にいる人はともかくとして、一応はあの結界の効果がわかる。

 定員はあるみたいだけど、結界内で時間を引き延ばす事によってその内部では通常よりも長く行動ができるというわけだ。

 それによって、俺にさらに鍛錬をさせれば、結界外では短期間なのに内部で長期間過ごしたのと変わらない効果が得られるからとの事。


 ……これに似たようなのを聞いた事があるような?

 そうだ、なんとかと時の部屋っていう、あれの事だ。

 そういえばあっちも、神様が関わっていたっけ……だからユノ達ができる、というわけではないだろうけども。


「リクは魔力量から来る力と、自分の体、それに頭の中がちぐはぐでしょ?」

「頭の中がちぐはぐと言われると、なんか微妙だけど……」

「いいのよ、正しいんだから。それで、これからに備えるならもっと十分な期間が必要でしょって事なのよ」

「数日でできなくても、数か月、数年? もやればなんとかちぐはぐをまともに近づけるの!」


 数年も鍛錬をすれば、加減覚えられそうなのは確かにそうだけど、ユノにとってはそれでもまともに近づく程度なのか……。

 俺ってそんなにちぐはぐかなぁ? と思ったけど、これまで魔力量の関係で色々失敗したり、想像していた以上の事になったりしているので、仕方ないのか。


「というか、数年って……」

「どれだけの期間を稼げるかは、リクの結界の完成度次第なの」

「あぁ、だから俺に何度も練習しろって言っていたのか」

「そうなの。それで、リクもモニカ達も、皆パワーアップなの!」

「確かに、長い期間を稼げればそれだけ鍛錬にも打ち込めるし、パワーアップできるね。って……モニカさん達も? そういえば、モニカさんも了承しているって言っていたっけ」

「えぇ。どういう事なのかは、はっきり言って理解できない部分が多いのだけど。事前にユノちゃん達から聞いて、私達もお願いする事になっているわ」

「達って事はもしかして……?」

「もちろん、ソフィーとフィネさんもよ。リクさんの結界次第らしいけど、他にも希望者がいれば、だったかしら?」

「及第点のリクの結界を考えると、他にあと二人から三人くらいなの。それ以上は、リクの鍛錬がおろそかになるの」


 というわけらしい。

 俺やモニカさんを含めて、数人が集中的に長期間の鍛錬をこなせる事で、パワーアップを図ると。

 でもそれって……。


「結界内で長期間の鍛錬ってのはいいし、そんな事ができるんだと驚いたけど……でもそれって、それだけ歳を取るのと同じ事なんじゃない?」


 時間を引き延ばすとか、実際にはどういう事なのかよくわからない部分も多いけど、俺達はその分だけ生きる事には違いない。

 年も取らず、ただただ鍛錬する時間を稼げるなんて事はないだろう。

 なんとかの部屋でも、中に入った人が出てきた時は歳を取っていたわけだしね。


「歳を取るとは言っても、気にする程じゃないの。さっきは数年って言ったけど、実際は良くて数か月くらいなの」

「期間を引き延ばすと言っても、限界があるわ。一日で一年なんて事はできないと考えなさい」

「数か月かぁ……それならまぁ」


 例の部屋程の事はないってわけか。

 それにあちらは空気が薄いだとか色々と他にも条件があったと思うけど、こちらはただ少し時間を引き延ばすというだけと考えれば良さそうだ。

 というか、ロジーナは例の部屋の事を知っているのか。


「まぁ結局は、どれだけ猶予があるかによるの」

「戦争までの、か」

「大体十倍と少しくらいかしら? そのくらい引き延ばすのが限界だと考えておきなさい。『神の御所』だと、流れが速いと数百倍になるけどね」


 それこそ、『神の御所』の方が例の部屋に近い時間の流れっぽいね。

 ともかく十倍程度という事は、一日で十日か……。


「訓練自体はまだまだ不十分だと考えていたし、戦争までに少しでも多く訓練ができるのなら、特にいう事はないかな。いやまぁ、結界を作るって事になるわけだけど、その辛さは無視できないかも?」

「それくらい、我慢しなさい。魂の損傷なんて本来我慢でどうこうできるものでもないけど。それでもよ。この成果によって、戦争の結果すら変わるかもしれないわ」

「そう言われたら、頑張るしかないけど……」


 我慢できるものじゃないのに我慢しなさいと言うのは、矛盾しているんじゃないか? と思ったけど、戦争の結果にも関わるようなら、やるしかない。

 俺自身もそうだけど、モニカさんやソフィー達も協力してくれるんだし、結界を作るための苦労くらい、なんとかね。


「まぁもっとも、リクにとっては数か月が数年になったところで、大きく変わらないだろうけど……」

「……え?」


 とにもかくにも、やるしかないと内心で決意していたら、ボソッとロジーナの呟く声が耳に入った。


「それってどういう……?」

「なんでもないわ。気にしないで」

「気にしないのー」

「気にしない方が心のためなのだわ。今は……」

「エ、エルサまで気になる事を言ってるし!」


 朝食を食べて満腹で転がっていたエルサまで、ふわふわと俺の頭にドッキングしながら、気になる事を呟く。

 どういう意味なのかわからないけど、俺の事なのに教えてくれないとは……。 


「ちょ、ちょっと……」

「失礼いたします」


 どういう事かと問い質そうとしているところで、獣人のメイドさんが数人、ノックと共に部屋に入ってきた。

 俺はそれどころじゃなかったけど、ロジーナの目配せでレッタさん入室を許可してしまったからだけど。

 メイドさんによると、見送りの準備ができたとの事で俺達を呼びに来たらしい。

 フラッドさん達冒険者さん、ヴァルドさん達アテトリア王国兵士さんは、すでに準備を終えて揃っているとか。


「ほらほら、どうでもいい事を気にしないで、さっさと行くわよ」


 話す気はないようで、俺の背中を押すロジーナ。


「どんどん期限が迫ってきているの。だから、早く戻って早く精神とと……じゃなかった。引き延ばし結界で訓練をするのー」


 同じく俺の背中を押しながら、部屋の外へと促すユノは危うく例の部屋の事を口にしそうになっちた。

 言い直したって事は、神様的に何か言えない事情があるんだろうか? あと、引き延ばし結界って名称はちょっとどうかと思う。

 時間を引き延ばすって意味だと思うけど、この世界には時計がなく時間と言う言葉すらないために省略したんだろうけど。

 それだと、内部にいる人、もしくは結界に触れた人を無理矢理引き延ばしそうでなんか嫌だ……アテトリア王国に戻るまでに、もう少し良さそうな名称を考えておかないと。


「早く空を飛びたいのだわー」


 エルサはエルサで、多次元に繋がっているポケットから取り出す道具を使いそうな事を言っているし……はぁ。

 俺が気になっていても、教えてくれる気は一切ないようなので、諦めてユノやロジーナに背中を押されるのに任せて、獣王国を発つ事にした――。



 獣王国の王城がある敷地内の、広い庭で大きくなったエルサに荷物などを積み、連れてきた皆がめいめいに乗り込んでいく。

 とはいえ荷物はアテトリア王国を出発する時と違い、多くはない。

 魔物達相手に、エルサとヴァルドさん達が盛大にミスリルの矢を打ち込んだからね。

 使い果たしたわけじゃないけど、七割方消費している……魔物に打ち込んだミスリルの矢は、マギシュヴァンピーレが周囲の魔力を吸収したせいなのか、ほとんどがただの土の塊になっていたようだから、回収もできていないから。


 俺はそれを眺めながら、見送りに出てきてくれたハルさん達獣王国王族との挨拶だ。

 そのハルさんの後ろには、昨日広間に集まっていた獣人さん以上の……千人近いと見える獣人さん達が集まっていた。


「リク様、この度は獣王国を救っていただき、ありがとうございました」

「いえいえ」


 昨日も言われたお礼に加えて、ハルさんだけでなく集まっている獣人さん達が一斉に頭を下げた。


「現在、避難をした者達を呼び戻し、急いで戦備を進めさせています」


 そう言って、チラリとすぐ後ろにいるレオルさんに視線をやるハルさん。


「レオルさんは、大丈夫ですか?」

「なんとか、と言ったところですね。ただまぁ、私は実際の戦闘ではあまりお役に立てませんので、無理をするのは今のうちです」

「そ、そうですか」


 レオルさんは幽鬼のようにふらふらと体を揺らして目をうつろ気味にさせつつ、くっきり隈が浮き出た顔で力なく笑う。

 話を聞くと、レオルさんは戦闘ができるタイプではなく、内政向きの能力だとかで前準備なんかに活躍するんだとか。

 昨日の今日で、魔物の脅威が去ったと思ったら戦争の準備だもんなぁ……王都の復興に避難民を戻したりとか、やる事がいっぱいあるんだろう。

 前線に出るタイプじゃないのなら、後方として今が一番忙しいんだろうけど、無理はしすぎないで欲しい。


 ちなみに、幽鬼みたいになっているのはレオルさんだけでなく、他にもいる。

 王族の中でも、戦えるのは半数くらいらしいので、他の人達はレオルさんみたいに後方で色々頑張っているんだろう。


「リク様、こちらを」

「あ、はい。これは?」


 レオルさん達の様子を窺っている俺に、ハルさんが封書のようなものを差し出した。

 ようなもの、ではなく封書だなこれは。

 分厚く、裏には封蝋がしてあって、いかにも重要な物ですと主張しているようだ。


「そちらは、アテトリア王国女王殿への書状になります。こちらの状況、リク様との出会いの感謝、戦争への協力を約束、そして獣王国を救って下さったリク様への感謝等々になりますな」

「……俺への感謝、二つありませんでしたか?」


 というか、姉さんへの書状に俺への感謝ってどうなんだろう?

 国家間でのやり取りのはずなのに……協力に関する内容もちゃんとあるみたいなので、重要じゃない物だとも言いにくい。


「そこが一番、その書状が厚くなった理由ですな。大半がリク様への感謝と素晴らしさ、讃える内容となっています」

「……」


 ハルさんの晴れ晴れとした笑顔で発せられる言葉を聞いて、書状にしては分厚く重めだったのが、さらに重く感じる気がした。

 レオルさんも疲労が濃い中で誇らしげにしている。

 もしかしてこれを徹夜で綴っていたから、幽鬼みたいになっているとかじゃないよね?


 正式な書状のはずなのに、これでいいのかと思う俺とは違い、獣王国としてはそれが正しいのだという事だった。

 そういえばアマリーラさんが、アテトリア王国から獣王国に書状を出す際、俺の事を色々書きすぎているのを宰相さんが苦労して修正していたっけ。

 ちなみにその時の書状で、俺の事が書かれている量が少なく、実際に俺を見たハルさん達がアマリーラさんに文句を言っていた……獣人さんって……。


「あーっと……そ、そういえば、国境の関所の事なんですけど……」


 なんとなく、これ以上のこの話を続けるのはいけない気がしたので、強引ながら話を変える。

 もう書かれてしまっているし、出発前のこの時に俺の関する部分だけ削除や訂正などをする余裕はないだろうからね。

 ……持って帰って、姉さんに笑われるのは覚悟しておこう。


「関所ですかな?」

「ここに来る前、獣王国側の関所でお世話になったんですけど、その際に――」


 さっきレオルさんの話で避難民の事があったけど、関所にも結構な数の獣人さんが避難してきていた。

 あのまま国境を越えてアテトリア王国にいた人もいるかもしれないけど、多くは関所周辺にとどまっているはずだ。

 その事を思い出し、ハルさんに提案。


「どうせ通るわけですし、途中関所に寄ってもう避難する必要はないって伝えようと思うんですけど、いいですか?」


 今回は関所に泊まるつもりはないけど、ちょっと寄るくらいならすぐ済むからね。

 それに、国境にある関所を何もせず空を飛ぶエルサで、そのまま通り過ぎるのもどうかと思うし。

 一応、アテトリア王国側の関所の方にも話をしておきたいのもある。

 要はついでってわけだ。


「それは助かりますな。エルサ様なら簡単にアテトリア王国とここを行き来する事が出来ても、我々では短くとも数日はかかります。リク様から伝えてもらえるのならば、それだけ避難民が戻って来るのも早くなります」

「避難民が戻って来た際、迅速に元の生活へと戻れるよう、手配を早めておきましょう。すると――」


 何やらブツブツと、これからする事を整理するように呟き始めたレオルさん。

 予定よりも避難民の戻りが早くなるって事は、レオルさん達の仕事も増やしてしまったのかもしれない。

 無理しすぎて倒れない事を祈る。


「わかりました。関所の方には伝えておきますね。アマリーラさんがいてくれれば、話も通しやすいですし」

「……関所での事はアマリエーレちゃんから聞きましたが、リク様とエルサ様だけで、獣人は話を疑う事をほぼしないはずですが……わかりました。――マニグレット」


 頷いて、第二王妃のマニグレットさんを呼ぶハルさん。

 そのマニグレットさんも、レオルさんと同じく戦闘よりも内政官に近い役割を持っているらしいと聞いた。

 戦闘もできなくはないらしいけど。


「あ、はい。ん! 承知いたしました。――リク様、こちらを」


 そのマニグレットさんも、レオルさんのように頭をふらふらさせて、王妃様というのが言われないとわからなくなるくらい、目の下に隈をこしらえている。

 けど、ハルさんに声をかけられて首を振って意識をはっきりさせたのか、すぐに懐から何やら取り出し、羊皮紙にサラサラと何かを書いて俺に渡してきた。

 ただ、取り出すのが内ポケットとか服の間とかではなく、胸の間からというのは、目のやり場に困るからやめて欲しいなぁ……。

 変に見ていたらモニカさんの目が怖いし……というか王妃様なわけで人妻なんだから、単純に失礼だろう――。



マニグレットさんは豊かな持ち主のようです、何かが。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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