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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1905/1960

結界の練習

ブックマーク登録をしてくれた方々、評価を下さった方々、本当にありがとうございます。


あけましておめでとうございます!

2025年もよろしくお願いいたします!



「りっくんならできるって、自信を持っていいわ」

「まぁ、うん。でも、不安にさせるような事を言ったのは姉さん達なんだけどね?」

「そうだったかしら?」

「そんな事もあったかな?」


 空っとぼける姉さんとマティルデさん。

 ほんの少し前の自分達の言動、というより表情をを思い出して欲しい。

 女王様として、国の頂点に立つ姉さんと、あくまでアテトリア王国の中ではあるけど、冒険者ギルドを統括しているマティルデさん。


 この二人にあんな表情で色々言われたら、不安にならない方がおかしいくらいだ。

 それこそ、ナルシストと言われるくらい自分への自信が有り余ってありふれている人くらいだと思う。


「なんにせよ、クランの方で困った事があればこちらも協力するわ。りっくんのクランが活躍する事は、つまり国益にも繋がるし、唯一の肉親であるりっくんのためでもあるんだから」

「姉さんとは、肉親って今も言っていいのかわからないけど……うん、ありがとう」


 姉さんの前世では確かに姉弟だったけど、今は違うからなぁ。

 精神的にはともかくとして、血の繋がったという意味ではもう姉弟じゃない。

 それでも、リラックスモードの時は以前とほぼ変わらない姉さんだから、姉じゃないとかそういう事は一切思わないけど。


「あと、りっくんにこの言葉を送っておくわ」

「姉さん?」

「人が立場を作るんじゃなくて、立場が人を作り、変えるのよ。不安に思っても、なんだかんだとやっていく事で、その立場に相応しい人になれるって事。もちろん、そのために考えて、動いて、努力はしていかないといけないけどね」

「立場が人を……うん、そうだね。わかった。やれるだけやってみるよ。決意をするのは今更だけど」


 なんとかできそうかな? と思った俺を不安にさせたのは姉さん達だから、その言葉に感動まではしないけど、でも言っている事はもっともだと思う。

 これまで、重要な立場になる事がなかったけど……やれるように、そうなれるように頑張ろう。

 ……そうするしかない、という状況になっているとも言えるけど、それは自分で選んだ事でもあるわけだしね――。



 ――不安と安心、それから大袈裟だけど改めて決意というちょっとしたジェットコースター気分を味わった姉さん達との話から二日。

 とりあえず大きな問題もなく、訓練と並行してクラン員さんに依頼を割り振り、一応の運営ができ始めていた。


「リク様、こちらの依頼はトレジウスさん達にやってもらうのがよろしいかと」

「そうですね。この魔物なら、トレジウスさん達でなんとかできるでしょう。わかりました、お願いします。トレジウスさん達に受けてもらえるか、話して下さい」

「はい、通達して参ります」

「えーっと、あとは……」

「リク様、備品に関してなのですが、少々交換が早く予算がもう少し必要になりそうです」

「備品の交換ですか? どういった……」

「主に訓練場です。皆さん、やる気がみなぎっているようですが、少々やり過ぎてしまうのは変わらないようでして……」

「あー、成る程そうですか。うーん、木剣などの訓練用の武器とかも結構かかりますし、できるだけ節約はしたいですけど……でも、しっかり訓練できない事の方が危険ですから、できる限り融通するようにしましょう。今後を考えると、特に力を入れておいた方がいいでしょうし」

「畏まりました。商店の者とも話しておきます」

「……あまり、値切り過ぎないようにしてくださいね?」

「いえいえ、ここは私の腕の見せ所ですから。もちろん、評判が悪くなる程の事はしません。適正より少しお得に、がモットーですので」

「ははは……」


 といった具合に、一応はクランの取りまとめとしては上手く回っている……と思うし思いたい。

 毎日事務関係の話や書類の確認などに追われるのは、大変だとは思うけど、これまでとは違って少し面白くも感じていた。


「さてさて、今日はまず結界の練習をして……それから訓練場かな。ユノ、いいかな?」

「うん。早くするのー」

「はいはい」


 訓練とは別に、結界が使えるようになるための練習は無理しない範囲で、毎日やっている。

 俺一人ではなく、その時にはいつもユノとロジーナ、それからレッタさんがいるんだけど……まぁレッタさんはただロジーナといたいだけなんだけどね。

 ともかく、結界が作れるようにという練習は場所を選ばないため、クランにある俺個人の部屋で行うようにしている。


 訓練場だと他の人の邪魔になるし、執務室だと事務員さん達が働いているうえ、つい気になって集中できないから、個人としての部屋があるのは良かった。

 いちいち王城の部屋に戻ってとかだと時間もかかってしまうしね。

 というわけで、急かすユノに苦笑しながら結界作りの練習を始めたんだけど……。


「もっと、イメージをおぼろげにするの! 意識を向け過ぎないようにしないと、魂から魔力が溢れすぎて、リクが苦しむだけなの!」

「魂の修復は順調だけど、リクの意識がダメダメね。はっきりイメージし過ぎないように、ほぼ無意識で構築しないといけないわ。体が覚えた仕草を意識しなくてもするように、覚えさせるのよ! じゃないと逆に魂の損傷が広がってしまうわ!」

「ロジーナ様の言う通りです。さすがロジーナ様……」

「……」


 動いているわけではないけど、魂の損傷とやらのせいで動いていないのに苦しさなどから流れる汗。

 少し鬱陶しいと思ってしまうくらいの汗と、痛みにも似た感覚の外から、ユノやロジーナの声が耳につんざくような感覚。

 レッタさんはとりあえずロジーナを褒められればいいから気にしないとしても、ユノとロジーナ……外野という程ではないかもしれないが、それでもちょっとうるさく感じてしまう。

 これまで、ちゃんとイメージして魔法を使う事ばかり意識してきたのに、今さらおぼろげだとか無意識だとか言われても、すぐにうまくできるわけがない。


 本来、ドラゴンの魔法というかエルサとの契約で使えるようになった魔法は、イメージを明確にすることで発動するものだ。

 その魔法を使うための魔力を生み出すのは魂らしいというのは聞いているし、損傷によって明確に魔力を引き出そうとすると、苦しい思いをするのは俺なんだけど……これまでと違う方法だとなかなかうまくいかない。

 魂は魔法を使おうとすると自動的に魂にも影響を与えるし、それを塞ぐ方法なんてないみたいだし、仕方ないのはわかっているんだけど……。


「くっ……はぁ、はぁ……ちょっとだけうまくいきそう、だったかな?」


 けど、ユノ達の声を聞きつつも、何度も練習をしているからコツとは言えないけど、多少なりとも感覚派掴んできている。

 とはいえ、ちょっと無理をしようとすると全身が痺れるような痛みや、息苦しさなどを感じてしまう。

 動いていないのに、息切れを起こした呼吸を整えつつ、結界にならず俺から放出された魔力が霧散していくのを感じた。


「形だけ魔力をそれっぽく放出してもダメなの。魔力があっても結界にならなければ意味がないの!」

「……そうかもしれないけど、なかなか難しいんだよ」


 ユノからのお叱りに、ちょっとだけイラッとしながら言い返す。

 頑張っているつもりで、少し惜しい気がしたけどそれでもユノにとってはまだまだらしい。

 ぐぬぬ……。


「とにかく、はっきりとしたイメージからおぼろげにする感覚を覚えなさい。そこから、魂を誤魔化すタイミングも重要よ」

「それは、何度も聞いてわかっているんだけどね……」

「わかっていないからできていないんでしょ」


 ユノ以上に、ロジーナが厳しい。

 まぁユノはともかくとして、ロジーナとしては俺にこうして協力している事すらイレギュラーな事だから、とげとげしくなるのも仕方ないのかもしれない。

 もうちょっとこう、優しく教えて欲しいと思う……いやまぁ、どう見ても小さな女の子に優しき教えてというのは、情けないと思うけどね。


「まったく、これをやり始めてどれくらい経っていると思っているの? リクは飲み込みが悪すぎるわ。もちろん、多少の小細工で魂の修復を速めたからと言って、数日程度で完全修復なんて絶対に無理だけど。それでもね……」


 うぅ、ロジーナが本当に厳しい。

 ユノ以上に、容赦のない言葉をかけられて落ち込んでしまうよ?

 傍から見たら、年端も行かない女の子に叱られているという情けない構図だし、俺の心には中々響いてしまうものがある。

 ……大人に叱られる方がいいとか、そういう事じゃないけど。


「ふぅ……よし、もう少しやってみる」


 ともかく、息の整ったので気を取り直して汗を拭い、結界作りの練習を再開。

 この後にもまだやる事はあるし、練習できる時間は限られれている。

 そもそも、魂の損傷もあって長時間練習するのは危険だとユノ達から言われているため、何もなくてもずっと続ける事はできないんだけど、それでもね。

 毎日付き合ってくれているユノ達にも、ずっと成果を見せられないのは申し訳ないし。


 集中していても、外からの声がうるさかったりはするけど、それだけ真剣って事なんだろうし……。

 とはいえ、集中が乱されるなぁ……って、ん?

 集中が乱される、イメージは最初はともかくすぐに明確ではなくおぼろげにしないといけない。

 魔力の操作などもあるから、集中しておかないといけない部分はあるけど。


 でもロジーナからは無意識に、覚えた動作を体が勝手に動くような感覚みたいな事を言われたし、正しくは違うかもしれないけど。

 という事は……。


「リクが胡乱な目になったの!?」

「ついに、精神が異常をきたしたのね。大きな力、魔力は精神を壊すのかしら」

「リクはもともと、どこかおかしかったの。精神的というよりも魔力のせいとも言えるけど、今は魂の損傷のせい?」

「どちらにしても、あまりこの状態のリクには近付きたくないわね」

「……」


 なんか失礼な事を言われている気がする。

 確かに、今の自分の状態は鏡がないのでわからないけど、不審な状態、表情になっているような自覚はあるけど……。

 目をうつろに、焦点を合わさないようにしつつ、意識を保つのではなくぼんやりとさせるのを意識しつつ、それでいて結界のイメージの開放は続ける。

 言葉にすると中々難しい事のように思えるけど、先程考えていたように、無意識に近い意識でイメージの展開をしていく。


 少しずつ、設定したい範囲に魔力を広げ、おぼろげになった意識とイメージを固定してしまわないように、注意をするのではなく意識を薄くさせる。

 明鏡止水……だっけ? 無駄な事を考えないような境地とは違い、むしろ無駄な事をかんがえつつ、イメージなどを阻害させ魂を誤魔化す。

 本当にこれで誤魔化せているのか、そもそも自分の魂を誤魔化すとかよくわからないけど、これまでよりも体などへの負担はかかっていない気がする。

 それが、意識を薄く引き伸ばしているせいで感じないだけかはわからないけど……。


 そうして、俺やユノ達を包むようなドーム状に魔力を放出し、解放されたイメージで魔力が変換されていく。

 体への負荷、精神への負担の限界近くまで引き延ばし、意識をし過ぎないよう邪念を取り込み、だけどそれが魔法の形にならないように意識の中に取り込んでいく。

 驚くようなユノ達の声が聞こえてくるのは気にせず、そのまま少しずつ形を作り、保ち……そして。


「……今!! 結界!!」


 魔法名としての結界を発して、発動する瞬間にバチン! と魔力を途切れさせて魔法としての失敗をさせる。


「ぐっ……!」


 途端、激しい頭痛と脳が揺れる感覚。

 視界や聴覚、あらゆる感覚がほんの一瞬だけ遮断され、全身から汗が噴き出た。


「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……」


 全身から汗を流し、きている服までびしょびしょになりながら、取り戻した感覚。

 続く痛みをこらえるように歯を食いしばりながら、額に手を当てる。

 いくら息を吐きだし、吸い込もうとも乱れた呼吸が整わない。

 だけど……。


「はぁ、ふぅ……! で、でき、た……? ぐっ、げほ! ごほごほ!」


 少しずつ収まってきた頭痛をこらえながら、周囲を見てみるとほぼ透明な何かが俺達を覆っているのがわかった。

 荒い呼吸をしつつ呟くと、喉がカラカラで思わず激しくせき込む。

 完全な透明ではないのは、不完全な魔法の発動のせいだろうか……。

 ただそれでも、感覚的にはそれが結界なのだという事がわかった。


「んー……」


 ペタペタと、ユノが自分達を覆う薄い膜のようなものを触って確かめる。

 ロジーナも続いて同じように触れていた。

 なんというか、試験の結果を待つようなまんじりともしない感覚だなぁ。


「……ん! もう少し強度が欲しいけど、これはれっきとした結界なの!」

「結界、という魔法自体、リク達が勝手に作った魔法で特殊な性質ではないけど、確かにこれはその結界と同様なもののようね」

「ふぅ、はぁ……や、やった……げほごほ!」


 ユノ達に認められ、ようやく成し遂げたと喜ぶのもつかの間、再び咳き込む。

 喉が乾燥して、声を出そうとしてもかすれてしまうし、すぐ咳き込んでしまうな……。

 頭から水をかぶったのかというくらい、噴き出した汗で全身が濡れているくらいだから、水分が足りなくなるのも当然か。

 とりあえず水を……。


「んく……はぁ……ふぅ」


 近くに用意していた水を飲んで、まだ荒い呼吸を繰り返しながらも、少しだけ落ち着いた。

 気付けば、先程まで強く感じていた頭痛なども引いている。


「よ、ようやく少し落ち着いた、かな……はぁ、ふぅ」


 まだ完全に息は整っていないけど。

 その段階でようやく気付いたけど、俺自身から流れる汗、顔などからぽたぽたと落ちるそれで床もぐっしょりと濡れていた、まるで長時間サウナに入ったみたいだ。

 瞬間的にこれだけの量の汗が出るなんて、俺の体は大丈夫? と思ってしまうけど、多少体の重さなどを感じる程度で済んでいるから大丈夫だろう。


「……確かに、硬さはこれまで使っていた結界よりない気がするかな? 触った質感は同じだけど」


 ペタペタと触れているユノ達のように、ようやくまともに動けるようになった俺も、自分が作った結界に触れてみる。

 相変わらず、ガラスのような硬質な感触だけど、少しだけ柔らかいというか……ノックをするように軽く叩くと、返ってくる音は以前よりも少しだけ軽いように聞こえた。


「それが、リクの結界へのイメージだから質とかは変わらないの」

「まぁ、最初はエルサが使っていてそこからなんだけどね」


 俺の結界のイメージは、エルサが使っていたのを見てそれを真似たのが始まりだからね。

 それをそのまま特に深く考えずに使っていたから、質感とかも以前と変わらないんだろう。

 というか、そういうのも変えられるのかな? いや、イメージをして創造とも言える現象を魔法として発生させるのだから、できるのかもしれない。

 そういえば、ロジーナと戦った時には形を自由に変えたりしていたし、ガラスっぽい感触とかも変えられそうだ。


 フィリーナが作ったぷにぷに結界なども、やろうとすればできるんだろう。

 まぁ、今は以前と同じような結界をようやく一度成功させただけなので、変に応用とか考えない方がいいのかもしれないけど――。



結界を変化させるのは、今は考えない方が良さそうです。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

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