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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1894/1960

扉の奥へ踏み込む



「分厚い、鉄の扉?」

「うむ。フィリーナ殿?」

「扉自体には、何も仕掛けがないみたいです。少なくとも魔力的な事は」

「罠は仕掛けられていない可能性が高いか。ふむ……こちら側から見る限りは、他にも何もなさそうだな。どれ……やはり、カギは掛けられているか」


 扉自体何も仕掛けがない事を確認し、ドアノブを掴むヴェンツェルさんだが、鍵がかかっているらしく和えける事はできなかったみたいだ。

 この奥にいる人達は籠城とばかりに閉じこもっているのだろうか……まぁ、こちらを積極的に襲う意思があまり感じられないし、通さないよう鍵を閉めるのは当然か。


「この奥が、フィリーナの言っていた広い部屋で合ってる?」

「えぇ。分厚い扉……扉以外の壁も厚くてなっているから異様で、ここに何かあると言っているようなものね。遮られて、あまり魔力の動きが捉えずらいけど、いるわ。少なくとも十……二人ってところかしら。複数の魔力を持つ人間らしき魔力も、一つあるわね。気を付けて」

「成る程……もし何かあれば爆発させられる可能性もあるってわけか。どうするか……」

「ここで考えていても、向こうに備えさせてしまう可能性もあるな。ただ、どれほどの事が扉の奥でできるかはわからんが」

「いえ、そうとは限りません。爆発するにはきっかけ……何かの仕掛けを行う必要があるようなのですけど、それを準備されているという可能性もあります」


 前に確か、普段は強い刺激ならまだしも、少しくらいの刺激で爆発するような事は内容になっているとか、フィリーナが言っていたっけ。

 鍵を閉めて時間を稼いでいるうちに、爆発させるための準備をしている可能性、というのは否定できないからこのまま考えていたら向こうに猶予を与えてしまうか。

 まぁそもそもに、頑丈な扉で阻まれているから諦める、なんて事はないんだけどね。


「エルサ、もしもの際には頼むよ。要領は、ブハギムノングとかでエクスブロジオンオーガ相手にやってようにね」

「了解したのだわ。備えておくのだわー」


 段々と激しい音が少なくなってきている後方、通って来た廊下の方からモニカさん達に付いていたエルサが、立ち止まっている俺達の方に来た……というか、俺の頭に乗っかったのを受け止めてお願いしておく。

 元々そういう流れにするとは突入前にエルサと少し話していたけど、途中にいた人たちの捕縛などは、問題なく進んでいるという報告と、もしもに備えてこちらへ来てくれたんだろう。

 ともあれ、いくら奥が広い部屋だからって、外で爆発したら複数の建物を破壊する程の爆炎を撒き散らす。

 そんな事が屋内で起きれば、俺はともかくヴェンツェルさんやフィリーナ、それに突入している兵士さんやモニカさん達が危険だからね。


 奥にいる人達が、そんあ自分を犠牲にしてまで破壊をもたらそうとするかはわからないけど……いざという時はエクスブロジオンオーガんしていた、相手を結界で包み込んで爆発そのものを抑え込むというか、周囲に広がらせないようにするって手段だ。

 ツヴァイの地下研究室への突入時にも、同じような事はしているからエルサも心得ているはず。

 これで、もしもの対処は安心だけど……さて、扉をどうするか……。


「私が斬って、突入するか? 次善の一手ならば可能だろう。フィリーナ殿、扉の近くには誰かいるか?」

「えーっと、そうですね。扉を開けてすぐ……というより、横と言った方がいいのかしら。左右に二人がいます。おそらく待ち構えているのかと」

「成る程。ここでようやく私達の方もご対面というわけだ。ならば……」

「ヴェンツェルさん、扉を斬るのは俺に任せてくれませんか?」

「む? リク殿がか?」

「はい。えっと……」


 とりあえず、既に悠長にしているとも言えるかもしれないけど、簡単に扉を破ったその後の話などをヴェンツェルさんに提案。

 戦力的な意味はともあれ、俺が扉を斬った直後にヴェンツェルさんが飛び込む方が、向こうに圧力をかけられるだろう。

 大柄なヴェンツェルさんと違って、俺は白いモフモフを頭にくっ付けただけで、体格がいいとは言えないしね。


「フォローは任せて下さい」

「わかった。ではリク殿、頼んだ」

「はい」


 俺の提案が採用され、先程まで構えていた錆びている剣を鞘にしまい、代わりに白い剣を抜く。

 フィリーナが魔法を使う準備に取り掛かり、いつでも飛び込めるよう備えるヴェンツェルさんを視線で確認し、剣を構える。


「ふっ!」


 強い呼気と共に、数度分厚い金属の扉に対して振るう白い剣。

 キンッ! と甲高い音がしたから間違いなく金属だったんだろうけど、まるでバターを切っているかのような手応えと共に、崩れる扉。

 魔力開放モードではあっても、次善の一手みたいに魔力を多く流して込めている程ではないのに……さすが、頼りになる剣だ……頼りになり過ぎて、扱いには注意しないといけないけど。


 細かいかはわからないけど、周囲に必要以上の被害を出さずに目的を達成する、エアラハールさんとの訓練の成果が出せた。

 と、剣を振り終わった俺がすぐ横に体をどけつつ、再び剣を取り換える動作に入った瞬間、大きな影というか、ヴェンツェルさんが邪魔な金属の扉、その残骸を蹴り飛ばしながら部屋の中へと突入した。


「っ!」

「せっ!」

「甘いっ! ふん!」


 それと同時、ヴェンツェルさんに躍りかかる二人の人間。

 扉の奥、その左右にいたんだろう……同時に剣で斬りかかって来たけど、ヴェンツェルさんは左からきた方の剣を振り下ろす手を掴み、そのまま右側から来る方へと投げ飛ばした。

 二人重なって飛んで行くのが、ヴェンツェルさんの後ろから見えたけど、腕を掴まれて投げ飛ばされた方は右から来る方の剣に斬られているようだったね。


 痛そう、なんて同情をするつもりはないけど……ヴェンツェルさん、片方を盾に使ったのか。

 こういう戦い方もあるんだね。


「抵抗をすれば容赦はせん! おとなしく捕縛された方が身のた……」

「エアプレス!」

「ぐぁっ!?」

「ご、ふっ!!」


 部屋の中にいる人達に叫ぶヴェンツェルさんだけど、奥の方から氷の魔法が放たれて向かってくるのが見えた。

 それと同時にフィリーナが魔法を発動、氷の魔法を弾き飛ばすと共に、奥にいた数人が飛んで行った。

 よくフィリーナが使う風の刃の魔法ではなく、ただ単に風の圧力で押すだけの魔法のようだ……威力はさすがエルフといったところだけど。

 いや、空気の圧力の方が近いかな? どっちもでいいか。


「……くそがぁっ!」

「抵抗を辞めるつもりは、ないみたいだな。ふん!」

「がっ!」

「まぁ、鍵をかけて閉じこもっている時点で、おとなしくするつもりはなかったのでしょうね。ウィンドウィップ……バインド!」


 ヴェンツェルさんが持っている剣で、別方向から飛び出してくる男の武器を叩き落し、顔面を殴り飛ばしたと思ったら、さっきの魔法を発動直後に準備していたフィリーナがさらに魔法を発動。

 目には見えないけど、二人の男が足をもつれさせて転んだ。

 よく見てみると、その二人は足を固められているというか、縛られているような恰好だ……魔法名から考えると、鞭のようなった空気が足に絡みついたとかそういうところだろうか。

 そんな風に、中の様子を見つつ、俺も扉だった残骸を乗り越えて部屋に侵入。


 フィリーナが言っていた通り、部屋は広い。

 どこかのお屋敷にある大広間と言っても不足ないだろうと思えるくらいで、十人そこらの男達……いや、一人は女性のようだけど、それらが集まっても狭い感覚はない。

 家具とかはほぼなく、ただぽっかりと広い部屋があるというだけの場所のようだ。


「くのっ、やろうっ!!」


 剣を構えて、中にいる人達をにらみつけるヴェンツェルさんの横、見た目としては御しやすいと思ったのか俺に掴みかかって来るのは、鼻血を出している男……つい今しがた、ヴェンツェルさんに殴り飛ばされた男だね、もう復活したんだ。

 武器がなくなっても素手で掴みかかって来るのは、それだけ俺達を排除しようと強く思っているからだろうけど、遅い。

 殴られたダメージもあるからかもしれないけど、ユノやロジーナを相手にする訓練をしている俺にとっては、だけど。


「おっと! んっ!」

「ぐべっ!?」


 俺を掴もうとやみくもにかかって来る男の手を避け、錆びた剣の腹部分で男を打ち付ける。

 ゴキッ! という、小気味いいを通り越して気持ち悪さすら感じる音と共に、男はよくわからない声を漏らして、ヴェンツェルさんが殴るどころか、その前に投げ飛ばした人よりもさらに勢いよく飛んで行き、壁に激突した……あれぇ?


「……抵抗するのだから仕方ないとは思うが、生け捕りにして後から情報を引き出そうと思っているのだがな?」

「え、えーと……すみません、加減はしたつもりだったんですけど、不十分だったみたいで」


 パラパラ……と天井から埃と、男が激突した壁の表面が割れ、床に落ちるのと共に男も崩れ落ちる。

 なんとなく、静寂が訪れた大部屋の中で、ヴェンツェルさんがなんとも言えない表情で俺を見るけど……かなり加減したつもりだったんだけどなぁ。

 うーむ……魔力開放をしていないし、最近は訓練や結界を作る練習以外で魔力を使っていなかったから、充実し過ぎているのかもしれない。

 えーっと、生きてるかな? 戦争とかなら出しも、捕り物でさすがに殺すつもりはないし、それは避けたいんだけど……あ、生きてそうだ。


「ピクピクしているから、大丈夫……かな?」

「間際の痙攣かもしれないけど。とにかくやり過ぎないように気を付けるのと、こいつら程度なら私達で十分だから、あっちを見てて!」

「う……わかった」


 フィリーナに強く言われ、これ以上大きな被害を出さないように部屋の奥でこちらを睨みつけている二人組の方へ行く事にした。

 いや、睨んでいるのは男一人で、もう一人は女性だけどそちらは怯えたように体を震わせているだけか。

 うーむ、帝国の工作を仕掛けている人達だろうし、こちらから見ると悪人は向こうなのになんというか、俺の方が悪くなった気分。


 悪人を捕まえるのに大きな被害を出さないような配慮というのも、妙な気分だね。

 まぁ捕まえた後どうなるかはともかくとして、その過程で積極的に命を刈り取るような事は避けたいから、仕方ないんだろうけど。


「さて……えーっと、そちらが人間爆弾っていうのは人聞きが悪すぎるけどその通りだし……とにかく、人道を無視して仕掛けを施された人、でいいですか? あと、ここが王都に破壊工作をするための拠点ってのも合ってますかね?」


 周囲で、ヴェンツェルさんの呼気や動く音、さらにフィリーナが使う魔法の音、それに部屋にいた人たちの怒号が響く中、男女二人組へとゆっくり近づいて話しかける。

 何を話したらいいのかわからなかったので、とりあえず確認だ。

 フィリーナがこちらに俺を差し向けたという事などから、女性の方が爆発する仕掛けをされているんだと思う。

 その女性だけは、こちらに敵意というよりもただ怯えるだけで、しかも武器なども持っていないようだからね。


「て、てめぇ、なんでそれを!?」

「なんでって言われても、お仲間さん達が教えてくれたらしいですよ? あと、仕掛けをされた人に関しては調べる手段がありまして。それで知ったってわけです。あぁ、とぼけても無駄ですよ? 見分ける方法は確立されているので、今更とぼけてもすぐにわかりますから」


 まぁ、包囲している兵士さん達はともかく、俺達は魔法具を持ってきていないので調べるのはフィリーナに任せっきりになってしまうけど。

 でも近くで見れば確実にわかるだろうからね。


「ぐっ……! くそっくそっ! こんなはずでは……! ただ、こいつらに言う事を聞かせて、外に出せばいいってだけのはずなのにっ! なんでこんな!」

「なんでって、悪い事をしたら捕まる。いずれバレるし逃げおおせるだなんて思わない方がいいですよ? 俺はともかく、この国の人達は優秀ですからね」


 この場所がバレた事、自分達がやろうとしているのが知られた事など、俺の前にいる男は考えてもいなかったようだ。

 取り乱した様子で、俺を睨みながらも焦りが前面に出ている。

 というか……。


「そちらの言い分を聞く限りでは、誰かの命令を受けてやっているって事ですかね?」

「誰が、お前なんぞに教えるかっ!」

「ふーん、そうですか。誰かに無理矢理従わせられているって言うなら、仕方ない部分もあるかもしれませんし、捕まっても罪が軽くなるようお願いしてもいいかなって思ったんですけど……」


 なんて男に対して言うけど、実際は俺にそんな権限はない……と思う。

 捕まえた後は俺ではなく、ヴェンツェルさんや姉さん、要は国にお任せだからね。

 事情聴取というか、情報を引き出すためのあれこれはあるだろうし、その後どうなるかは俺が関与する事じゃない。


「んな事、信じられっかよっ!!」

「そりゃごもっともで、っと……」


 男が叫びながら懐に手を入れる、次の瞬間、引き抜いた手から光る物が俺へと投げられるが、剣で軽くたたき落した。

 正面切って対峙している状態で、懐に手を入れたら何かあるって言っているようなものだし、対処は簡単だよね。

 投げられた光る物……叩き落してから見るとナイフだったけど、それもユノの踏み込みよりよっぽど遅かったし。

 ……まぁ投げられる物より早く踏み込んでくるユノがおかしいというのは置いておこう。


「ちぃっ!」

「うーん、抵抗は無駄だっていうのが、周囲の状況からわからないかなぁ? 俺だったら諦めていると思いますよ?」


 俺一人なら向こうも諦めないってのも考えられるけど、周囲ではもうほぼヴェンツェルさんとフィリーナが、大広間を制圧しつつある。

 男達の側で無事なのは、俺の目の前にいる二人以外にはもう三人……あ、今ヴェンツェルさんに蹴り飛ばされて動かなくなった人がいるから、二人になったね。

 さらに、切り崩した扉の向こうから、徐々に兵士さん達もこちらへ入ってきている。


 要は、逃げられないし、状況を打破する方法ももうないだろうってところだ。

 ……最終手段を除いては。

 その最終手段も、エルサが対応可能だし男の方は知らなくても状況を覆せないんだよね……とはいえ、むざむざと目の前で爆発されるのは夢見が悪いから、させたくはないけど。


「てめぇの事なんか知ったこっちゃねぇ! こっちは、もう後がねえんだよ!」

「へぇ~、そうなんだ」


 飛び掛かって来る男、そちらも剣を持っていたけど、それを横に避け、翻って来る剣を弾く。

 さっきフィリーナに言われたばかりだから、こちらから何かして加減が上手くいかなかったらちょっと面倒だなぁ……。

 と思って受け流すか避けるかに注力して男と会話を試みているけど、実際あまり会話を発展させる気もなかったりする。


 だって、ここで事情を聞かなくても、どうせ捕まえた後に聴取されるんだろうし、俺が聞きだす必要もないからね。

 ただ爆発という手段を避けるには、こうして相手をした方が良さそうだとも思うから、やっている部分もあるだけだね――。




訓練の成果か、のらりくらりと襲い掛かる男をいなすのはお手の物になっているようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

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