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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1879/1960

国と冒険者ギルドの関係



 あれこれと、姉さん達との話を終えて執務室を出た後は、本格的に寝入ったエルサがよだれを垂らさないよう気を付けつつ、モニカさんの待つ部屋へ向かう。

 ちなみに俺が執務室を出ようとする少し前、ヴェンツェルさんとマルクスさんが獣王国やアマリエーレ王女、という話の内容についていけなかったらしく、首をしきりに傾げて疑問顔になっていた。

 けどそれは、姉さんや宰相さんが話してくれるだろう。

 俺が退室した後は、センテでの事や戻って来るまでの報告になるだろうし、その後にでもね――。



「結構、王城から離れているんですね」

「まぁ、冒険者ギルドもそうなのだけど、戦力が集まる場所になるわけだから。権力が集中する王城とは良い関係を築けているとしても、あまり近づけすぎるのは良くないの」

「そういうものなんですねぇ」


 姉さんとの話を終えた後、一旦部屋に戻ってモニカさん達と合流し、リーバーとも話して王城敷地内にある冒険者ギルドを訪問。

 そこでマティルデさんといくつか話をしてからクランの建物に向かったんだけど……建物への案内役を、マティルデさんが買って出たため、一緒にいる。

 マティルデさんが簡易的な冒険者ギルドの建物を出る時、後ろから疲れ切ってゾンビのようになった職員さん達が、助けを求めていたような気がするけど……気にしない方がいいんだろう。

 爆発するような、特殊な状態にされていなくても、人間ってあんなにゾンビを彷彿とさせるような様相になるんだなぁ……。


 まぁそのマティルデさんも、目の下のクマはくっきりとあって、疲れているのは明白なんだけど。

 だったら案内役をしてもいいのか、と思ったんだけど本人曰く、ずっと部屋の中にこもりきりで寝られず仕事をしているよりは、外に出て体を動かした方が疲れも取れると言っていた。

 そういうものなのかな? ずっと引きこもっていたら息が詰まりそうになる、とかはわからなくもないけど。

 ともあれ、魔物の集団に関しては落ち着き始めているようなので、俺達の案内が終わったらゆっくり休んで欲しい。


 職員さんもマティルデさんも、倒れてしまったらそっちの方が大変そうだし。

 ちなみにちなみに、マティルデさんの前に話に行ったリーバーの方では、連絡役を快く引き受けてくれた。

 戦う事よりも、長く空を飛んでいるのが好きなワイバーンが何体かいるらしく、そちらに連絡役を任せるらしい。

 隊長さんはいなかったけど、その場にいた騎竜隊の人達も連絡が行っていたらしく、引き受けてくれたし、あちらは任せて良さそうだ。


「ここ数年……いや、現女王陛下になってからだからもっとかな。冒険者ギルドとこの国は盤石な協力関係を築いている。だがそれまでは、お互い睨み合いをするような事もあったらしい。まぁ、その頃の私はまだギルド職員にすらなっていなかったから、内情はわからないが」

「あんまりいい関係じゃなかったんですね」


 王城からクランの建物に行く間、この国における冒険者ギルドと国との協力関係について、マティルデさんにあれこれ聞く。

 要は、戦力とみなされる冒険者が集うギルドは、もしもに備えて国の中枢である王城からは物理的に離れた場所にしか作れなかったと。

 今は改善されているけど、それでも慣習のようなもので、基本的に冒険者ギルドに関連する建物などは王城から離れた場所に作られるようになっているとか。

 例外的に、機能が停止しないための措置として、今現在中央冒険者ギルドの簡易的な支部が王城敷地内にあるのは、姉さんが女王になってから協力関係を強固にしたからできているとも。


「冒険者ギルドは、一定の訓練をされているわけではないが、実際に魔物と戦って鍛えられた者達だから。逆に国、ひいては国に所属する兵士は訓練されていて平均的な戦力にはなっていた。数では当然国側が多いのだが、局地的には冒険者が勝る事もある」

「それで、警戒されていたと。でも、国からすると魔物を討伐を請け負ってくれる冒険者はありがたかったんじゃないですか?」

「そうとも限らん。魔物は原資と考えるのもいる。冒険者ギルドはそれを適正に市場へ流すが、国としてはそれが面白くないと思うのもいるわけだ。まぁ、荒くれ者の多い冒険者がいざこざを起こす、という理由もあったのだけど」

「ランクによっては確かにそういう人もいますからね」

「一応の試験さえ通れば、誰でも冒険者になれる。他に働き口がない者や、身寄りがなく頼れる誰かがいないため自分の身一つで生きて行くための者の、受け皿ともなっているし、冒険者ギルドの設立理念の一つだ。けどだからこそ、ならず者が冒険者になるのも往々にしてあるわ。冒険者になるための試験は、然程難しいものではないし」


 冒険者の試験というのは、一応筆記と実技……基礎知識と基礎的な戦闘技術などが試される。

 俺は基礎知識をマックスさんに教えてもらったうえで、現ヘルサル支部のギルドマスターになっているヤンさんと模擬戦をして、結果的にCランクという評価で通過したわけだけど。

 ただ基礎知識は識字率はそれなりに高いらしいこの国でも、読めない人もいるので、そこまで重視されず、戦闘技術も一応武器を握って触れる程度でも通れるらしい。

 とはいえ、その場合は最低ランクからのスタートになるわけだけど……それは、マティルデさんが言ったような人の受け皿になっているからと言うのがあるみたいだ。


 逆に言えば、国の兵士になれないような人間的に問題がある人も冒険者になれるわけで。

 まぁさすがに犯罪歴とかがあるような人は、裏ギルドとかでない限り弾かれる。

 ただ冒険者ランクを上げるには、信頼度とも言われる人間的に信用できるか、以来の達成度や普段の活動などを通して審査しているため、問題がある人は高いランクにはなれないんだけどね。

 だから結果的に、低ランクにならず者が集まるのも仕方ない事らしい。


 そして、それもあって国とのいざこざというか、ちょっとした諍いと言うべきか……取り締まる側と取り締まられる側にで別れる事もあって、どちらも諸手を上げて受け入れるわけにもいかない状況だったとか。

 国にもよるけど、結構冒険者ギルドは扱いが難しいとみなされているらしいしね。

 ……そりゃ、戦争も含めてそこの国にあって国民の一部が冒険者になっているのに、国に寄らない組織というのは面白くなかったりするんだろうし、仕方ないか。

 ただそれを、現女王陛下、つまり姉さんが歩み寄る事で脅威力関係を作ったらしい。


 冒険者だけでは対処できそうにない、人数が必要な時は軍の兵士が、逆に小規模の魔物に対してわざわざ兵を派遣するのではなく冒険者がなどなど、住み分けをはっきりさせたのが良かったと。

 もちろん兵士さんが魔物と遭遇してその場で討伐なんて事もあるけど、基本的には国からも冒険者ギルドに依頼を出すなどして、街や村、そしてその周辺の治安は兵士さんが守る、という事みたいだね。

 ウィンウィンな関係を築いて、協力できるように調整したんだろう――。




冒険者ギルドとアテトリア王国は、現在かなりいい関係を築けていると言っていいのかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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