村での歓待は辞退の方向
「お、戻って来た。おーい、こっちこっちー!」
背中にモニカさん達を乗せたエルサが来るのが見えて、手を振る。
あれから、デュラホースやオークの片付けをしていると、村の人達が異変に気付いたらしく数人がこちらに来た。
その村の人達に近くに魔物が来ていた事や冒険者だと伝え、村の危機を救ってくれたと感謝されつつも、魔物の片付けを手伝ってもらう。
ちなみに、冒険者だという証拠として冒険者カードを見せたんだけど、俺の場合暫定的にSランクカードを渡されているため、見せると騒ぎになりそうな気がしたので、出したのはアマリーラさんだったりする。
手伝ってもらっている間に、村の近くの魔物を発見する前、魔物と戦っている人達の話を聞いたけど、それはここからさらに西の街から派遣された冒険者という事も聞いた。
王都周辺に魔物の集団が点在している事、全てを離れている街や村が把握しているわけではないけど、自分達の近くに通常では見られない量の魔物が出ているのはわかったという事で、支援要請などが各地で出ているらしい。
そしてその派遣された冒険者の人達が他の魔物と戦いに出ている状況で、別の魔物がきていたら村はひとたまりもなかったと、さらに感謝されたけど。
「驚いていたわね。リクさんの事を知っていたみたいで、今すぐ村長を呼んでくるとか、村で歓待を! とか言っていたけど」
「あはは……噂を知っていたみたいだからねぇ。エルサを見て気付いたんだろうけど……」
フォレストウルフとの戦いを終えたモニカさん達を乗せたエルサと合流し、王都へと向かって空を移動しながら、村の方を見ているモニカさん。
エルサを見た村の人達が驚くのはまぁ予想通りだったんだけど、巨大な毛玉……もとい白い毛並みのドラゴンを従える英雄、みたいな噂が村の方にも広まっていて、魔物の片付けを手伝ってくれた村の人達は俺の事に気付いたようだった。
慌てた村の人達は、村を上げてのお祭り騒ぎに発展しそうな様子を見せたので、片付けが終わって簡単な挨拶をしてすぐエルサに乗って王都への帰路に就いたってわけだ。
感謝してもらうためにデュラウルフなどを討伐したわけじゃない……というのもあるけど、それだけではなくて村の歓待を受けていたら今日中に王都に戻れなさそうだったからね。
……逃げたとも言う。
それはともかく、村の人達からは手伝ってもらったし感謝も受け取っているので、それでいいとして、話はデュラホースなど魔物と戦った時の話になる。
「リクさん、また無茶をしたのねぇ……」
「いや、俺がというより発案はユノだからね?」
モニカさん達はフォレストウルフ討伐の準備や作戦会議をしていて、別で俺はユノ達とデュラホース討伐法を話し合っていたため、アマリーラさんの力を使った射出法については知らなかった。
まぁなんとなくは聞こえていたんだろうけど……ともかく、その事を話したら溜め息混じりにジト目で見られた。
むぅ、考えたのは俺じゃないんだけどなぁ。
「まぁデュラホースって魔物が、人を襲うとかよりも単純に真っ直ぐ走る魔物だからこその方法なんでしょうけど……」
「もっと対処できる人数とか、別れて行動できるうえに追いかけられるワイバーンがいるとか、村の近くじゃなかったら、他にも色々とやり方は会ったんだろうけどねぇ」
例えば、空からワイバーンで追いかけながら魔法で攻撃するとか、人数に任せて抜けられる前に一気に倒すとか……。
今回は北から迫るフォレストウルフもいたし、少人数で対処するためにはあぁするしかなかったと思っている。
いや、よく考えれば他にも対処法はあったんだろうけど、ユノがあの射出法を気に入ってやりたかったんだろうなぁ。
今思い出してみると、少し楽しかったかもしれないし……いや、やっぱりあれはできるだけやらない方向で考えるのがいいか。
胃から酸っぱい物がこみあげて来る感覚もあったし、エルサから落下するよりもかなり勢いがあったから。
地面に小さなクレーターもできちゃうしね。
「モニカさん達の方はどうだったの? まぁ、見る限り大きな怪我もなさそうだけど」
「そうね、私達の方はこれと言った事はなかったわね。ちょっと、集団行動をするフォレストウルフが面倒ではあったけど……――フォレストウルフは少し前にも戦っていたから、森の中での戦いもあれでだいぶ慣れていたしね」
「それにこちらも、連携した集団行動。そして敵対する相手の連携などの対処も、慣れてきているからな」
「フォレストウルフ自体、少々厄介な事もあるが、慣れれば大した魔物でもないからの。落ち着いて戦えば今のモニカ達の敵じゃなかろうて。数が多いのは厄介じゃが……これで満足するでないぞ?」
「もちろん、わかっています」
釘を刺すエアラハールさんに、頷くモニカさん達。
センテ近くの森で、俺と一緒にモニカさんがフォレストウルフや他の魔物と戦った経験は、生きているみたいだ。
とくにチームの司令塔として育っているモニカさんだから、そういった経験は特に重要なんだろう。
俺も、今回は得難い経験をしたし……いやまぁ、振り抜かれる剣を受けて空を飛ぶとか、よく考えるとそれでいいのか? と思うような経験だけどね。
ともあれ、村を助けるというのが一番の目的だったけど、その目的を達成して被害も出さず、魔物を討伐できたというのは俺達としてもいい経験になったと思う。
俺に関しては、村の事が起こる前に外部の魔力を感知するという新たな課題が追加されたんだけども。
魂の修復と結界作成の練習、さらに魔物と力加減をしながらの戦いの訓練や、エアラハールさんからの訓練、そこへ外部の魔力感知かぁ……。
クランの事も考えなきゃいけないし、やる事がどんどん増えて大変だ……なんて他人事のように考えながら、でも一つ一つやっていくしかないと考え直す王都への帰り道だった。
道と言っても、移動しているのは空だけどね――。
「少し、不味いわね……」
王城に戻り、細かな事を済ませて俺の部屋で待っていた姉さんに、今日の事などを報告した直後に呟かれる一言。
「えーっと?」
何が不味いのかわからず、首を傾げる俺。
姉さんは険しい表情で何かを考えているようだけど……。
「このままじゃ、近隣の村などに被害が出てしまうかもしれないわ。幸い、今日みたいにりっくんや騎竜隊だっけ? あの部隊が活躍したから、被害の報告は届いていないけど……もしかしたら、届いていないだけで既にどこかで被害が出ている可能性もあるわ」
「そうかぁ、俺達が発見したのは全体でみるとほんの一部だから、他の場所でそうなっていないとは限らないって事だね」
「えぇ。まぁ、王都以外の村や街に向かった魔物の集団は潰せているから、現状では被害が出ていないと思われるけど……あくまで思われるという範囲よ。竜騎隊の方も、広い範囲で見ているから今のところ他の村などに魔物が到達していないとの事だし」
いつもの俺の部屋にいる時とは違って、姉さんは少し深刻そうにそう言った――。
村に魔物が近付いていた、という事実が緊急性を増したようです。
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