アメリさんをアマリーラさん達に紹介
「あらあら、落ち込んじゃったわ。けどねぇ、またリク君がどこかに消えちゃわないようにって言われたのよ? 何かあったのかは聞かないけれど、最近色々と物騒だし、いくらリク君が強いと言ってもできるだけ多くの人と一緒にいて欲しいんじゃないかしら?」
「物騒、ですか?」
「そうよ、町の中で大きな爆発が起こって、建物が吹き飛んだって話よ?」
「あぁ、成る程……まぁ、どこかに消えちゃうかもっていうのは、俺のせいじゃないにしても身に覚えがあるので、反論できませんけど……」
爆発っていうのは、中央冒険者ギルドが人間爆弾によって吹き飛ばされたって話だろう。
姉さん達が町の人達にどう伝えているのか聞き忘れていたけど、町にいる人達からすれば、安全であるはずの王都内でそんな事が起こったんだ、物騒だと警戒しておかしくない。
あと、どこかにというのはセンテでロジーナによって隔離された時の話でもあるか。
あれは、姉さん達にも報告されているし、だからこそマルクスさんがセンテに援軍を連れて来たわけだからね。
ロジーナがこちら側にいるうえ、現状は人間と変わらず同じ事ができないとしても、突然俺がいなくなるような事は避けたいんだろう。
……俺が自分から、どこかに行くってわけでもないのになぁ。
なんだか、王都に戻って来てからはヒルダさん達が少しだけ、以前より過保護気味になっている気がしなくもない。
それだけ、重要な人物と見てくれていると思っておけばいいの……のかな?
だからって、アメリさんを寄越す理由はよくわからないが。
姉さん辺りが、似た雰囲気や俺に対する接し方が姉っぽい気配を感じて指名したのだろうか。
「さぁさぁ、こんな所で話していても始まらないわ。いざ町へ繰り出しましょう! ハーロルトが全っ然帰って来なくて、町は危険もあるからってずっと退屈だったのよ!」
「アメリさん、完全に暇潰しになっていますよね?」
「そんな事ないわよ-?」
そっぽを向き、それでも町へと促すアメリさん。
前はハーロルトさんが構ってくれないというような事を漏らしていたし、本当に暇だったんだろう。
危険だと外に出られないのなら、どちらかというと活動的なアメリさんにとっては退屈だったろうからね。
まぁアメリさんならララさんのお店に一緒に行った事があるし、顔も見知っているから特に問題はないし、外に出られるちょうどいい機会でもあるんだろう。
「あの~、リク様?」
「ん、どうしたんですかアマリーラさん?」
「その馴れ馴れしいおん……女性とはどのような? 何やら随分と、リク様と親し気ですけど」
後ろから服の裾を引っ張るアマリーラさん、尻尾を立てて少しだけ毛を逆立てているのは、警戒しているという事だろうか?
アマリーラさんの尻尾の向こうでは、リネルトさんが苦笑し、カーリンさんがキョトンとしているのが見えた。
というかアマリーラさん、今馴れ馴れしい女って言いかけましたよね? 警戒しているせいで、少しだけ口調が荒くなりかけているのかもしれない。
とはいえそういえば、この三人はアメリさんと会うのは初めてだったねと思い出す。
そりゃ、いきなり現れて親し気に話していたら、警戒まではともかくカーリンさんのようにキョトンとするくらいにはなるかな。
「すみません、紹介が遅れましたね。えっと、こちらはアメリさんといって……」
「アメリです。わぁ、本当に獣人の方なんですね!」
アメリさん、アマリーラさん、リネルトさん、カーリンさんをそれぞれ紹介する。
なんとなく、年上の女性という雰囲気を前面に出し、俺を年下の男の子というか弟みたいに扱う人がアメリさんだ。
……実際に本人から聞いたわけじゃないけど、姉さんと似た雰囲気を、特に日本にいた頃の姉さんに近い雰囲気を持っているから、俺がそう感じるだけかもしれないけど。
以前、ルジナウムやブハギムノングから一旦王都へ戻る途中に、オーガに追われているのを助けて、王都へ連れて行ったら情報部隊隊長のハーロルトさんとは幼馴染だった事が判明した、という世間は狭い案件の人でもある。
ただその助け方が、俺の思い付きでおかしな方法を取ったため、変な噂が王都に流れる事になったんだけど……それはともかく。
オーガに追いかけられていたアメリさんの証言のおかげで、ツヴァイの研究施設が判明し、帝国の企みを一つ潰せたので、本当に世間は狭いと言うか何がどうつながるかわからないものだと思わされるよね。
ただその幼馴染のハーロルトさんは、現在帝国への偵察をしているらしく、本人がいないのでアメリさんは暇だと。
ハーロルトさんの自宅で過ごしているようだから、爆発事件のせいで外に出られなくて、肝心なハーロルトさんもいないんじゃ退屈になっても仕方がないのかもしれない、と同行する事を受け入れた。
「な、成る程。以前リク様に助けられた女性というわけですか……」
アメリさんの事情を説明して、納得してくれた様子のアマリーラさん。
ただ少しだけ納得がいかないというか、腑に落ちない雰囲気も感じるような……?
「……少々、リク様に対して馴れ馴れしすぎる気がしまして」
気になっていたのは、俺に対しての態度だったようだ。
知り合いというか、助けた人だというのはちゃんと理解はしているようだけど。
「まぁ、そこは俺がお願いしたんです。最近はもう慣れて来たので、あまり気にしないようにしていますけど……アメリさんと知り合った頃はまだ、少し丁寧過ぎるというか敬われるって言うんですかね? そういう扱いが苦手だったので……」
今もまだ苦手という感覚は多少あるけど、いちいち注意したりお願いしたりするのは止めている。
半分以上諦めているのもあるし、今言ったように慣れてきたのもある。
だからって、そう接してもらえる事が当然だとまでは思わないし、偉ぶったりするつもりはないんだけどね。
「な、成る程……リク様から。承知いたしました。少々気にはなりますが……気にしない事にします」
「アマリーラさんが気にするような事じゃないんですけどねぇ……」
不承不承というのだろうか? なんとなく完全に納得したとまでは言えないけど、とりあえずは頷いてくれた。
リネルトさんが呆れ混じりで呟いているけど……まぁ確かに、アマリーラさんが気にする事ではないかもしれないかな?
俺は王様でも、敬われるような尊い人物でもないんだから。
アマリーラさんの、というか獣人の価値観や考えからすると、違うのかもしれないととりあえず自身で納得しておこう……あくまで、同行者で仲間とは俺は思っているけど。
「ははは……もし気になるなら、いっそアマリーラさんもアメリさんのように、気軽に話してくれてもいいんですよ?」
「私も、最初は戸惑ったけど、でもリク君がそうした方が自然でいられるように気がしたし、実際そうだったから。アマリーラさん、あなたもどう?」
苦笑しながら言う俺の言葉に、アメリさんも賛同する。
自然というかまぁ、話すのに気を張らないでいい感じがするってところかな。
少なくとも、年上の人達でちゃんとして地位のある人達などから、丁寧な接し方をされるのはちょっと構えてしまう部分もあるから。
それが、ちょとだけ苦手な感じがする原因なのかもしれないけど――。
最近はもう自分への接し方についてリクは諦めかけているようです。
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