放出した魔力を広げて結界へ……
「いやいいんだけど……さっきまで驚いていただけだったのに、結構余裕あるね」
「もちろん驚いているわよ。でも、リクの近くにいるとある程度慣れるのよね。驚きながらも行動できるようになったわ」
「さいですか……」
「リク、集中するの! また魔力が大量に出ているの!」
「り、了解!」
魔力の再利用みたいな事を始めたフィリーナに少しだけ呆れていると、ユノから鋭いお叱りの声。
慌てて集中し、再びちょうどいい魔力出力の調整に取り掛かった――。
「ふぅ……な、なんとか、調整できるようになった、かな?」
あれからどれくらいの時間が経っただろう……体感で一時間前後ってところだと思うけど、ずっと魔力を調節しながら放出し続けて、ようやくユノからお許しが出た。
大量の魔力を出したけど、それ自体にはまだまだ余裕があって自分の魔力量はどれだけなんだというのはまぁ置いておくとして、魔法を使うにしてもこれまでこんなに長時間ずっと魔力を使い続けていた事は少ないから、少し疲れてしまった。
長時間魔力を使い続けるなんて、センテとかルジナウムなど大きな戦いがあった時くらいだからね。
しかもその時って、魔力は消費しているけど俺自身が魔法を使い続けるのではなく、剣が魔力を消費するのがほとんどだったし。
自ら、という意味ではほとんど初めてと言っていいかもしれない。
「及第点ってところなの。そこから結界にしないといけないけど……結界の大きさによって放出する魔力の増減にも注意するの」
「そっちは、今すぐには取り掛かりたくないなぁ……」
そんな俺にユノからは、無慈悲な言葉が……。
確かに結界の大きさや厚みなどによって、これまでも使用する魔力量が違ったからそちらの調節も必要だし、一定の魔力を調節してすぐに出せるよう練習なども必要だろう。
けどさすがに今すぐその調節をしてみる、という気にはなれないな。
とにかくまずは、今放出して俺の周囲に留まっている、ユノが及第点でも合格を出してくれた可視化された魔力を結界にしなくちゃいけない。
ちなみに、俺が魔力を放出し続けている間、クォンツァイタに魔力蓄積をさせていたフィリーナは、「足りない!」と叫んで少しの間この場を離れたりもしていた。
足りないのは俺の魔力とかではなく、クォンツァイタだったみたいで、魔力蓄積がされていないクォンツァイタを大量に持って……一人では持ち切れなかったらしく、城の人にも頼んで持ってきて俺の近くに摘まれる事に。
周囲の状況が見えないんだけど、その原因が可視化された魔力だけでなく高く積まれたクォンツァイタも、視線を遮っているようだからどれだけ持って来たんだと……。
まぁ、魔力を無駄にせずに役に立っているのなら、良かったのかもしれないけどね。
「えーっと、それじゃこの魔力を……どうするの?」
可視化され、ユノに合格を出された魔力はまだ俺の周囲を滞留している。
意識しているとこんなに細かい事もわかるんだ、という驚きもあるけど、端の方が少しずつ俺の管理から外れて自然の魔力へと混じっていくから、少しだけ継ぎ足すように魔力を出す。
維持もそうだけど、やり過ぎないようほんの少し魔力を出すのも神経を使って、このままだと結構辛いので早く結界に使ってしまいたい。
「そのまま、結界にしたい範囲まで広げるの。今だと、フィリーナが作った結界の内側で私達を覆うようにか、結界に張り付くようにしてもいいの」
「成る程ね……ん……」
意識して、集中を深めて魔力を少しずつ動かし、ユノが指定したくらいまで可視化された魔力を広げていく。
今更だけど、フィリーナの時とは可視化された魔力の色がほんのり違うなぁ……なんて、魔力を広げてようやく皆の姿が見えて頭に浮かんだ。
魔力は本来触れられるものじゃないから、透き通るようにフィリーナ達を通過していったのはいいんだけどね。
多分、フィリーナのは最初から結界ができるよう変換させていたから、途中で止めるにしても他生の色が付いていたんだろう。
俺の可視化された魔力は、まじりっけなしの真っ白だ。
というか、魔力を出して練って、広がらせているけど……俺の方はフィリーナみたいな呪文とかそういうのって必要ないのかな?
「魔力を広げるのはうまいの。それくらいでいいの」
「わかった……ふぅ。魔力自体は、探知魔法で薄く広げる感覚とかがあったから、それで慣れているのかもね」
探知魔法は、広げた俺の魔力が別の魔力を持つ何かとぶつかった反応によって、周囲を探る物だからね。
単純に魔力を広げるだけなら、慣れていると思う。
魔力量が多くなり、情報量が多くなって詳細の把握に苦労したけど、完全じゃないにしてもある程度慣れておいて良かったと思う。
「それじゃ、これが最後なの。その魔力を結界にするため固定化するの。一瞬だけ、結界のイメージをするの」
「イメージ……ノイズが走って気持ち悪くなるからあまりやりたくないけど、仕方ないか」
「どれだけ魂が修復されているかで変わるの。とりあえずやってみるの。あ、途中でイメージを止めて魔法を使うまでにはしないよう注意するの」
「半魔法発動だっけ……成る程、フィリーナとの違いはそこか」
フィリーナは呪文で固定化へと魔力を変換させつつ、自分とクォンツァイタ、それから自然の魔力を集めて練っていたけど、俺の場合は魔法その物が違うからだろう。
イメージを解き放つのではなく、途中でそのイメージw止める事で、フィリーナがやったような半魔法発動ができるってところか。
今回の結界以外、他で使える事ではないような気はするけど……でも結界が使えるようになるだけでも助かる。
慣れれば、もう少し魔力放出から練って広げるまでの時間も短縮できそうだし、以前のような瞬時にとはいかなくても、ある程度実用できるものになるんじゃないだろうか。
「くっ……うぅ……」
とにかく結界のイメージ、固定化をさせるために頭の中で思い浮かべていくけど、その途中に脳内でノイズが走り、吐き気まで催してきた。
魔法を発動させるわけじゃないのに、途中で止めるとわかっているのに、ただ狭い範囲を覆う結界のイメージが邪魔される。
ザザ、ザザ……と、イメージその物が乱れてまとまらない。
「無理はしないでいいの。今回は確かめるだけだから、できるかどうかがわかればいいの」
「で、でも……くぅ! ぐっ……ぶは!! はぁ、はぁ、はぁ……!」
ユノの言葉に今すぐできなくてもいいという安心感が湧いたけど、できるに越した事はないとノイズが走って乱れる脳内のイメージを固めようとする。
けど、結局上手くいかず、大きく息を吐いた瞬間可視化された魔力と一緒に、イメージその物が頭の中で霧散した。
体が、肺が、空気を求めて大きく呼吸が乱れる。
イメージをしている間、無呼吸状態と言う程ではなかったはずだけど、それでも酸素が足りない状態みたいだ。
もしかすると、これが魂が損傷している状態で、無理に魔法を使おうとする代償みたいなものなのか……。
まだこれまでとは違う方法でも、結界を作るまではできなかったようです。
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