理解できるようでできない話
「すっごく簡単に言うと、高次元魔力を扱える存在が世界や生き物を形作れる神と呼ばれるの。人間を創ったり、エルフを創ったり。でも、高次元魔力は創られた生物には劇薬なの。だから、神と呼ばれる私達のような存在は、干渉力という自らの枷を付けて世界に直接干渉するのを制限しているの」
「魔力しか扱えない生き物が高次元魔力に触れると、一瞬で消滅してもおかしくないわね。まぁ、その高次元魔力を、リクはこの世界に引き入れて使ったとも言えるのだけれど」
「え、俺が……?」
高次元魔力とかよくわからないけど、とにかく人間にとっては危険なエネルギーでもあるらしい。
なのに、それを使ったなんて……そんな覚えは一切ない。
……ような気がしたけど、なんとなく思い当たる事があった。
正確には、俺が使ったのではなく俺が意識を乗っ取られた時に使われた、だと思うけど。
「もしかして、赤い光とか緑の光とかっていう、あれの事?」
「そうよ。あれは世界の外……宇宙から直接高次元魔力を引き入れるの。その高次元魔力に指向性を与える事で様々な色の光と効果になるってわけ。リクはその時意識を乗っ取られていたから、直接はほとんど見ていないだろうけど、結果はどうなったかよくわかっているわよね?」
「まぁ、うん」
センテに迫っていた大量の魔物が、一瞬にして蒸発……消滅? した事。
そして延々と近くの生き物から力を吸い取って、無限に成長する植物などだ。
確か、その植物の内部にいる俺を助けに入るため、ユノとロジーナもその光? の力を使ったんだっけ。
「じゃあ、俺がその高次元魔力とやらを使ったって事は、もしかして神と呼ばれる存在に近付いたとか、そんな話?」
神様になりたいとかじゃないけど、ユノ達が言う通りなら高次元魔力を扱えるのは神様だけ。
なら、それを使った俺は同じ存在にという事になってもおかしくない、のかな?
「そうじゃないから、問題なのよ。神であれば、干渉力こそ消費するけど使っても何も問題は起きないわ。使った結果、世界が崩壊しようともね。私やユノが使っても、今は人間の体だからそこまで大きな影響はないわ。疲れて意識が保てなくなるけど……」
「でもリクは多分人間なの。だから、魂が損傷しているの」
「多分って……そこは人間ってきっぱり言って欲しかったよユノ」
じゃあつまり、俺がその高次元魔力をこの世界に引き入れたから魂が損傷して、魔法が使えなくなっているというわけか。
「あれ? でも高次元魔力はこの世界に流れ込んでいるって、さっきロジーナが言っていたような? でも、触れたら消滅するとようなエネルギーなんだよね?」
「害にならない程度で、よ。この世界を創る時に、生き物の害にならない程度に薄まるようになっているわ」
「リクやエルサが使う結界みたいなもので、世界を覆っているの。それで、濃い高次元魔力が内部に流れて来ないようになっているの。さっきロジーナが言ったけど、核となる魂も高次元魔力でできているの。魂には必要なの。だから完全に防いでしまわないようにしているの」
「な、成る程……?」
紫外線みたいなものかな? あれも、オゾン層が地球を覆っているおかげで有害な紫外線の侵入を防いでくれているし。
それでも通過してくる紫外線は、全く浴びないとそれはそれで人間は不調を来す可能性もあるけど、浴びすぎるとそちらでも問題が出て来るとか……。
「それで、魂の修復には循環が必要なのだけど……高次元魔力を吸収して核としての魂を、完全な物にするために魔力を循環させて……」
「え、えーっと……」
これまでの話はなんとなく、ぼんやりと理解できた気になっていたけど、それからのロジーナの話は全く理解の及ばない事ばかりだった。
高次元魔力と魂が呼応してとか、循環した魔力が自然の魔力となる際に少量だけある高次元魔力と結びついて世界の外へ還元されるとかなんとか。
生き物が生き物を生み出す……要は、人間の母親から人間の子供が産まれるように、新たな命が誕生する際には体を作りながらその体に母体の魂が分かれて、二つ以上の魂になって一つが宿るとも言っていた……まぁこれは、魂の修復とは関係なくユノが言うには完全な余談らしいけど。
ちなみに二つ以上と言うのは、人間で言うと双子や三つ子が産まれる場合に、三つや四つの魂に別れるためとかで、多産の生き物も含めて必ずしも二つとは限らないからだとか。
余談はともかくとして、高次元魔力というのもなんとなくそういう物とか、紫外線に近いかもと考える事で無理矢理納得していたけど、ロジーナの言う通り結局完全に理解するのは不可能だった。
そもそも高次元って、どの次元だよとか考えちゃったからかもしれない。
いや、地球からこの世界にやってきて、異世界と言うのがあると知った俺からすると、別の次元があるとかそういう話程度ならなんとなくわからなくもないけどね。
「んーっと……とりあえず、魂の修復のために魔力を循環させる必要があって、そのために意識する必要があるというのはわかったかな、うん」
「はぁ。やっぱり理解できなかったわね」
「いや、それも仕方ないと思うけど。というかこれ、俺が悪いんじゃなくて、そもそも人間に理解できるような内容じゃない気がするんだけど?」
「絶対理解できない、とう内容って程じゃないわ。理解できないとするなら、私達神の存在を事細かに説明するならでしょうね。多分、神かそれ以上の存在でなければ理解できない話よ」
「その前段階で躓いてる俺には、絶対理解できないよね、それ」
「そうね」
ふっと、軽く息を漏らして笑うロジーナ。
それにはさっきよりも明確に馬鹿にしているニュアンスがあったけど……なんでだろう、今度はさっきのようにムッとはしないし、悔しくもならない。
本当に理解の及ばない話をされたからだろうか。
この世には、詳しく説明されても理解できない事柄っていうのがいっぱいあるんだなぁ、と思う事にしておいた。
これ以上難しい話をされても、頭がパンクしそうだからね。
「とにかく、簡単に言うと魂が魔力を生み出しているのだから、その魔力を意識して体内を循環させる事で魂ももっと多くの魔力を生み出す。そしてその魔力を生み出す過程で、魂の修復が行われるって事よ。例えていうなら、人間の体に流れる血液を循環させて新鮮な状態にする事で、怪我を早く治すとかそういうところかしら?」
「まぁうん、それは一応理解できたし、納得できたかな」
とにかく、魂がより多くの魔力を生み出す事で同時に修復されていくと考えればいいんだろう。
仕組みとかは、多分説明されてもまた理解できずに混乱してしまうだけな気がする。
「でも、魔力の循環ってどうやれば……」
「簡単よ、意識するだけで体が魔力をこれまで以上にはっきりと認識する。そして、古い魔力が勝手に消滅して新しい魔力になりかわるわ。これも、説明が必要かしら?」
「いや、聞くのは止めておくよ。多分教えられても完全に理解できないと思うから」
既に原始の魔法だなんだで、俺の脳はフル回転した後だったから若干頭が付かれている感じもするしね――。
頭を使い過ぎて体は動かさなくとも疲れを感じ始めたため、理解する努力を放棄したようです。
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