結界が使えるようになる可能性
「本来の原始の魔法は、魔力量が多ければ誰でも扱えるものであるはずなんだけど……その魔力量を持っている存在がそもそもほとんどいない。代わりに、現在使われている魔法は体内の魔力消費は少なく、自然の魔力を集められれば使えるってわけね」
「ドラゴンと契約したら使えるってわけじゃなかったのか……」
「その辺りはユノに昨日確認しておいたわ。私は、人間やエルフの使う魔法には関与していなかったから。――ユノ」
「んとね、原始の魔法はなんでもできるに近いの。だから、危険もあったの。それに、魔力量の問題があったから、結局誰でも使えるようにはならなかったの。だから、ドラゴンと契約したら使えるって枷を付けたの。じゃないと、時折少しだけ使えてしまう人が良くわからずにつかっちゃって、魔力が枯渇する事もあったからなの」
「魔力枯渇……かぁ」
魔力を持つ生物がほとんどなこの世界で、人間も例外ではなく、魔力が完全に枯渇してしまうと生きられない。
原始の魔法は、イメージで発動する……要は魔法という現象を創造しているに等しい。
だからこそ、なんでもできそうな感覚もあるけど、その代わり発動する魔法によってはとんでもない魔力を消費してしまう。
魔法を使うのに必要な魔力は、その本人の魔力のみだから。
そして時折、原始の魔法が使える魔力量の最低限、一定量に達する人が現れて使った挙句に魔力枯渇で亡くなるなんて事もあったんだろう。
だからユノは、ドラゴンと契約したら使えるようにと創り変えた、もしくは法則を書き換えたとか、リミッターを創ったとか、そんなところで一種の安全弁ってところか。
もしかしたら干渉力を使ってのことかもしれないけど……とにかく、ドラゴンと契約すれば基本的にはそのドラゴンから魔力が供給されるため、原始の魔法を使っても死ぬ恐れがなくなるって事だね。
まぁ俺は、エルサと契約したはいいけど、結局エルサが驚くくらいおかしな大量の魔力を持っていたため、実際にエルサから魔力が流れて来るなんて事はないんだけど。
むしろ俺から流れた魔力で、エルサがさらに多くの魔力を蓄えられたりするんだけど……。
つまりドラゴンとの契約は、元々使えたはずの原始の魔法を再び使えるように、リミッターを解除とか、封印を解くとか、そんな意味合いが持たされているわけだ。
確かにドラゴンと契約しないと使えない、というのは間違いじゃないか。
「そんなわけでまぁ、話しを戻すけど……リクが魔法を使えなくなっている程度の魂の損傷なら、少し修復を速めてやるだけで、必要な魔法が使えるようになるはずなのよ。――ユノ、呼んで来て」
「ロジーナに言われて行くのは嫌だけど、リクのためだから仕方ないの……はぁ……」
「えーっと……?」
話を戻したロジーナが、少しだけ偉そうに顎でユノに対し訓練場の外を示す。
渋々ながら……ふかーい溜め息まで吐いたユノが、とぼとぼと歩いてそちらへ向かう。
「誰を呼びに行ったんだ?」
「フィリーナだったかしら? あの女エルフよ。リクが使えるようになるべき魔法に必要だから。他のエルフを呼んだら、色々うるさそうだし」
「フィリーナを? ここまでの話にあまり関係なかったと……あぁ、だからセンテでの結界の事とかの話があったのか」
フィリーナはモニカさん達にも同行しておらず、カイツさんやアルネが没頭している研究の補助などのために、王城に作られた研究室にいるはずだ。
ただ補助と言っても研究のではなく、研究に没頭しすぎて寝食を忘れがちなアルネやカイツさんの見張りみたいなものだけど。
隔離結界に空いた穴をふさいだ結界っぽい魔法、あれは確かあの時センテ内にいた人達や、カイツさんとフィリーナが協力して張ったものだったっけ。
主導していたのはフィリーナだし、話を聞くにはちょうどいいだろう……アルネやカイツさんを呼ぶと、魔力や原始の魔法、さらに魂についてとか興味を示して話が進まなさそうだしね。
そういえば、まだ俺王城に戻ってからアルネと顔を合わせてすらないんだよね、ずっと研究室にこもりっぱなしだし。
新しい研究が追加されたせいでもある気がするけど、まぁフィリーナも見ていてくれるから、過労で倒れるような事にはならないだろうけど。
「フィリーナに話を聞くって事は、俺が使えるようにする魔法って結界でいいんだよね? さっきからの話の流れでなんとなくそうだと思っていたけど」
「えぇそうよ。これからのリクには必要だから。私の攻撃をことごとく防いでくれた、あの忌々しい結界を……わざわざ使えるようにさせなきゃいけないのよ……」
「あー、そう言えばそんな事もあったっけ。でもあれは、ロジーナも結界を破ったり透過させていたからおあいこじゃない?」
「破壊神としての力を使っていて、人間の使う魔法で破壊できないものはあっちゃいけないのよ、本当は。それが、あの時は何度も何度も防いでいたから忌々しいのよ」
まぁ破壊神だからなんでも破壊できなければ、というのはわからなくもない。
ただあの時は、熱線は曲面結界でただ角度を変えるくらいだったし、衝撃の方は結界を重ねてなんとかってくらいで……破壊できなかったわけじゃないのになぁ。
ともあれ、結界が使えるようになるのならこちらとしても嬉しい事なので、変にへそをまげないようロジーナを刺激しないようにした。
結界は俺が使った事のある魔法の中で、一番便利な魔法だからね……イメージと魔力調節次第では、もっと便利な魔法も使えたのかもしれないけど。
「というか、なんで魂の修復を早めるために、魔力を意識する必要があったんだ?」
魂って概念的にはなんとなくわからなくもないけど、それと魔力を意識する事が俺の中で繋がらない。
魔力が魂から漏れるって言っていたし、もしかしたら魔力と密接な関係があるのかもしれないけど……何も説明されなきゃ、日本で魔力というものを物語でしか知らない俺がわかるわけないもんな。
「そうね……ちょっと難しい話になるから、多分リクには理解できないと思うわ」
「なんだよそれ……言ってくれれば、もしかしたらわかるかもしれないじゃないか……」
なんとなく、ロジーナに馬鹿にされている気がしてちょっとムッとする。
そりゃ、俺は頭がいいとは自分でも言い切れないし……勉強ができる筆もなかったけどさ。
「はぁ……それじゃ話すけど……魔力っていうのは魂が生成しているのよ。そしてその魂は、世界の外から流れ込むエネルギーを収束した物で、それを核として人の体、魔物の体など、生き物として動く体を得られるのよ。だからこの世界では、人間にしろなんにしろ、魔力を持つ生き物は生まれる時に核としての魂を受容する。そうして初めて生物として……」
「えーっと……世界の外から流れ込むエネルギー?」
「世界の外、リクにわかりやすく言えば宇宙ってところかしら。可視化した魔力どころか、太陽の光なんかよりもずっと強いエネルギーよ。そうね……私達、神と呼ばれる存在はそれらを高次元魔力と呼んでいるわ。この世界では、その高次元魔力を扱うのではなく魂によって濾過され生み出される魔力が、人や魔物の持つ魔力になるわ」
「こ、高次元魔力……」
えーっと、宇宙からよくわからないエネルギーが来て、それが魂になって、魔力を生み出して……?
理解できるようなできないような……。
リクの予想以上に、話が壮大になってしまっているようです。
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