32.情報
誤字脱字ありましたら、教えて下さい!m(_ _)m
古の王都ソシャールの近くで…?
それって…。
「そう。アンタが【光魔術】を覚えた近くだね。」
てことはあいつが…ベリアルを殺した相手が神の尖兵!!
「ベリアル! ソーマ! 行くよ!!」
私は椅子から勢いよく立ち上がり、家から出ようとする。
「待ちな。」
そこでいきなり、ソフィアさんが私を止める。
「なんですか!? 急いでいるんです!!」
「そんなの分かってるよ!!もうちょっと落ち着きな!!!」
ソフィアさんは大きな声で怒鳴る。その声は今まで聞いた事がないくらい大きかった。スプリングはあまりの大きさによろめいて、ベリアルは耳を塞いでいた。ソーマはフラフラと飛んでいた。
「戦いにおいて1番大切なのが冷静さだよ。しかもアンタは幻術師なんだ。それを忘れちゃいけないよ。」
ソフィアさんは静かにそう呟く。
「…はい。」
私は噛み締めて返事をすると、家から飛び出す。
「無事に戻ってくるんだよ!!」
ソフィアはそう叫ぶと、私達は路地裏へと戻ってきていた。
「みんな!まずはサキさんと集合するよ!」
私はベリアル達にそう言う。
って、どうやって連絡するのよ!!?
私は1度ゲームをセーブして、現実へ戻る。
私はヘッドギアを外すと、柚月ちゃんに電話をする。
プルルルルプルルルル
「まだゲームの中なのかな〜!」
私はどうしようかと部屋中を歩き回る。
ピッ
「先輩!! じょ、情報ありました!!」
柚月ちゃんは電話に出た瞬間に叫ぶ様に話し出す。
「そうなの!? こ、こっちも有ったよ! 尖兵の情報!」
「じゃあ、古書堂前で待ち合わせで!!」
ブツッ!
柚月ちゃんは電話を切った。
あんな焦った声の柚月ちゃんは初めてだよ!
私はまた急いでヘッドギアをつける。
「スプリング! 遅いよ!!」
柚月ちゃん、もといサキさんはもう古書堂の前に居た。
「す、すみません。私足遅くて…。」
本当に、こういう時は、体力とか、敏捷とか、上げれば良かったと、思っている。
私は疲れ過ぎて思考も途切れ途切れになる。
「ほら! いいから行くよ!!」
サキさんは私の腕を引っ張って、古書堂の中へ入っていく。
〜ハトムーの古書堂〜
「店長!! さっきの見せて!!」
サキさんは、ハトムーさんに向かって手を差し伸ばす。
「あぁ? さっきの? もしかしてこの前のか?」
ハトムーさんは奥に行き、一冊の本を持ってくる。そこには、綺麗な空と1人の少女が表紙に載っていた。
「これは…?」
「まぁ、今読むから聞いててよ。」
そう言うとサキさんは本をペラペラとめくる。
"少女は1人、空を見上げる。空にとって少女はちっぽけな存在。少女はそうだと思っていた。
これはある男が目にした話だ。
ある日。
少女はいつも通り、空を見上げている。すると、1匹の小さな黒い鳥がフラフラと少女の元へ降り立った。傷だらけの鳥を見た少女は、可哀想だと思ったのか、鳥を家に連れて帰って看病する事にした。
鳥は少女が看病すると、みるみるとげんきを取り戻した。
少女は鳥と一緒に遊んだ。
少女が外で鳥と一緒に遊んでいると、飛んでいる鳥を見て「私もあんな風に空を飛んでみたい…。」
そう言うと、鳥が
「それは真か?」と尋ねた。
少女はそれに驚いたが、何度も聞いてくる鳥に、コクっと頷いた。
すると少女の周りには黒い羽が撒き散らされ、鳥がいなくなっていた。少女はその鳥の行動に疑問は持ったが、別れが来たんだ、前の日常に戻るだけ。そう思っていた
しかし、数日後鳥は帰ってきた。
人間よりも大きく猛々しくなって。
「行こう。」
鳥が地面に伏せると、少女は鳥に近づく。
すると一瞬、目を離すと
その場には少女が居なかった。
「これで…ずっと一緒に空を飛び回れるよ。」
鳥はそう言って大きな空へと飛んでいった。
男はこの鳥の事を調べたが、ある事しか分からなかった。
それはあの鳥が"神の尖兵"の1匹だと言うことだった。"
「これで終わり…。私の情報は神の尖兵の1匹は鳥って言う事。」
サキさんはそう言うと、本を閉じた。
「…。なるほど。これはどうやって見つけたんですか?」
私が聞くと、
「いや、なんかあちこち聞いて諦めかけてたんだけど、最後、店長に"神の尖兵って知ってますか?"って聞いたら、この本にそんな事が書かれてた様な…で見つかった!」
サキさんは親指を立てる。
「運が良いんだから、悪いんだか…。」
いやまぁ、良い方だとは思うけどね。なんて言っても情報を見つけられたんだもん。
「今度はスプリングの情報を聞かせて!!」
「分かりました。」
私はサキさんに、あらかたの事情を話し、ソフィアさんという方から、場所を聞き出した事を言った。
「はぁー。まさかスプリングがユニークの初攻略者とは…。」
「偶々ですけどね。そんな事よりも早く古の王都ソシャールへ行きましょう!!」
「うーん。即答したい所なんだけど、私の職業って基本街中の職業だから、あまり役に立てないと思うよ?」
サキさんは少し落ち込んだ様子で言う。
「うーん。まぁ、何とかなるんじゃないですか?」
私が笑ってそう言うと、
「…もしかしてスプリング知らない?」
「何をですか?」
「古の王都ソシャールに行くためには、エリアボスを倒して行かないとダメなんだよ?」
なんですか、それは…。
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