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28.幻想姫

更新しました。誤字脱字ありましたらご報告してください。

 そこには大量の焼き鳥を持った、何処かで見たことがあるような大男がいた。んー。どこだっけ…。下の方を見る。オオカミ?



「うわっ!!」

 こいつ!! 私をPKした大男!!何でこんなところに!?私は驚いて足を止める。


(ん? こいつ…!)

 私と同じように止まったベリアルは、大男を見ると三叉槍に手をかけようとしていた。私って愛されてるっ!だけど街中でそれは危ないからやめようねー。私はベリアルの前に手を出して、大男に攻撃しようとしてるのを止める。


(どうしたんですか?)

 ソーマは私達の行動を見て、不思議そうにしている。



「お、お前らのせいで俺がどうなったのか分かってんのか!?」

 大男は私達を指差して、突然怯えた様に声を震わせる。



「え? 何?」

 いきなりそんな事言われても分からないに決まってんじゃん。私は頭をかかげる。



「ほ、本当に分からないのか!? あんな事して来やがって!! 卑怯だぞ!!」



「あんな事…?」

 本当に心当たりがないのだが…。でもなんかすごい怒ってるから何かあったのは間違いなさそう…。



「何人も人をかき集めて、俺を何度もPKしやがったじゃねーか!!」

 と大男は言う。



「はい?」

 全く心当たりがないんですけど? これってもしかして、私に変にいちゃもんつけてまたPKとかしようとしてる?



「惚けやがって!! あれで俺がどんな目にあったのか教えてやるよ!!」

 男はそう言うと私に殴りかかってくる。やばい! この距離だと避けられない!! 私は思わず目を瞑るが、拳はいつまで経ってもやってこない。あれ?

 そう思っていると、大男は私の隣にいた。



「な、何をしたテメー!!」

 大男は動揺しながらそう言うと、またもや私に殴りかかってくる。今度は何があったのかちゃんと見てみよう。私は大男を観察する。


 すると大男はさっきまで私と合っていた視線とは違う方向を見ており、そこに殴りかかっていた。



「ど、どう言う事だ…。」

 大男は呆然として立ち尽くす。



「おいおい、アイツ何やってんだよ!」

「ローブ着てる奴の周りをグルグル回ってらぁ!」

「ふふっ。流石です。」



 いつの間にか私達の周りには空間が出来ており、周りから大男を煽る様な声が聞こえてくる。



(ふふん!!)

 大男の方を向いてドヤ顔を決めている可愛い子もいるが、今は置いといて…。



「も、もう許さねぇ!」

 周りに煽られ、顔を真っ赤にした大男は背中に背負った大剣に手をかける。



 げっ!! 流石にあれを振り回されたら死んじゃうよ! 私がどうしようかと考えていると、ベリアルが前に出てくる。


(俺に任せて!)

 と言うベリアル。ベリアルは大男に向かって指を差して叫ぶ。




(【いたずら】!!)

 ベリアルは【いたずら】を発動させた。

 路地裏で発動させたぶりの【いたずら】…。何が起こるかと私は見守る…。



「うおぉっ!?」

 と言う声を上げる大男。その大男に何が起きたかと言うと…





「な、何でズボンが!?」

 ズボンが足元まで下がり、パンツ一丁になっていた。ズボンは上げることも下げることもできない様だ。足元固定って…案外キツそう。



 まぁ、それよりも…だ…。







「な、何で俺も!?」

「え! 俺もか!?」

「なんという至福!!」



 そこにはカオスが広がっていた。周りの野次馬にも【いたずら】の範囲に入っており、ベリアルには敵と判断された様だ。


 …あの…ごめんなさいね。うちのベリアルがこんな事して。しかも…男のズボンしか脱げてないって…本当に誰も得をしないね。私がそんな事を考えていると



「て、てめぇ! 本当に許さねぇ!!」

 と顔を真っ赤にして、地面を這いずりながら私に近づいてくる大きいイモムシが。私はイモムシの前にしゃがむ。




「最初から思ってたんだけど…先に私をPKしてきたのはそっちだよね?」

 私は頭を傾ける。


「私からしたらもうPKの事なんて気にして無かったんだけど…」

 私は立ち上がって、人混みへ歩いていく。


「そんな私に恨みがあって、またやりたいって言うなら…」




「次は街の外でね?」





「ッ!!」






 黒いローブを纏った少女は


 そう言うと笑ってその場を去る。




 その場は一瞬…一瞬だけだが


 その少女に皆、目を奪われた。




 その幼いながらも整っている顔は、暗い影の様な妖艶さを感じられた。




 現実ではありもしない様な


 まさに、幻想の姫。




「あれが幻想姫…。」

 誰かが言ったその言葉は、不思議とその場にいる全員の耳に残った。

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