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16.宝玉

今日2話更新です、頑張って書きました(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 なんだろう? これ?


 私は【鑑定】を発動させてみる。



 ???



 それは?としかでなかった。


 それは私の拳の大きさと同じくらいだった。ゲームの中の私の拳の大きさと同じくらいって事は大分小さい。


 私がその黒いモヤに触ろうとすると、それは動き出す。


「うわっ!!」

 私が手を引っ込めると、それは私の目の高さまで浮かび上がる。



 それは明滅しながら移動して、人骨が大量にある所で止まった。

 それは細かく明滅する、まるで、此処とでも言う様に。



 手がかりが何もない私達は、それに縋るしかなかった。

 それが止まった真下の人骨を寄せていく。そこにはボロボロになった紙があった。



 カサカサ


 私はその紙を手に取る。

「……メモ?」





 その紙には殴り書きされた様な文字で、



 "あの 切 者を絶対に す !! アイツのせいで俺達は…もう 間 ない。誰でもいい…街を救ってくれ"



 所々ボロボロになっているその紙からは、とてつもない怨念と切実な願いがこもっている様な気がした。




「これは…。」


(スプリング、悲しいの?)


「え? なんで?」


(だって泣いてるよ?)




「あ…。」

 私は、顔に触れると涙が溢れている事に気づいた。


(よしよし。)

 ベリアルが私の頭を撫でてくる。


 私はベリアルにされるがままに撫で続けられる。


(そんなに悲しかった?)



「少しね…。裏切られるって辛い事だから。」

 私がそう言うと、黒いモヤが私の目の前に来て、ゆっくりと明滅する。



「ははっ、どうしたの?」

 私は黒いモヤに触れてみる。


 冷たい…。この子はなんなんだろう。どういう存在で、どうして此処にいて、何をしたいんだろう。疑問が尽きなかった。



 黒いモヤが動き、私達が降りてきた階段を登る。

 私は持っていたメモを急いでポケットに入れ、追いかける。



 黒いモヤの周りだけがボンヤリと光り、手探りで降りてきた階段が、今では薄っすらと見える。



「もしかして、私達が登りやすい様に?」

 私は黒いモヤに言うと、恥ずかしそうに少し明滅する。



 恥ずかしがり屋さんなのかな?可愛いなぁと思っていると、服の裾を引っ張られる。



「……。」



 そこには膨れっ面になってるベリアルが。



 可愛い。尊びます、私。

 私は、自然と手を合掌してしまう。


 前には恥ずかしがり屋さん。後ろには嫉妬しているベリアル。

 はぁっ! これがずっと続けば良いのに!!



 私がそう思ってると、あっという間に地上まで着いた。



(着いたねー。)

 ベリアルは私の服はグイグイ引っ張る。


 黒いモヤは私の頭の周りをグルグルと回る。



「……。」

 悪くない。けど、



「はい! 2人ともストップ! これは後でお願い! 今はこの街に何が起きたのか知りたいの!」

 私がそう言うと、2人は動きをピタッと止めた。


(うー。わかった。)


 黒いモヤも明滅している。

 どうやら返事をしている様だ。



 私は2人を落ち着かせると家から出た。



「何処に行けば良いか分かる?」

 私は黒いモヤに話しかける。


 この子はこのメモの場所を教えてくれた。他の手がかりも何か知っている筈。

 私はそう予想し、黒いモヤの返事を待った。



 明滅する。


 黒いモヤは明滅すると、この街の奥へと進んでいく。



「ベリアル行くよ。」


(うん!)



 私達は街の奥へと進む。

 するとそこには、始まりの街アバールにもあった様な教会が。しかし壁は剥がれ、所々天井も抜け落ちていた。


 黒いモヤは、その教会に入ると激しく明滅すると、すごい速さで教会の奥へと行ってしまった。



 私達もすぐそれを追いかける。そこには3つの大人の人骨があった。



 黒いモヤは、その近くでしばらく明滅すると教会の奥の中央にある祭壇に行き、明滅した。



 石造りの祭壇の上には、ドス黒い球状のガラスの玉の様な物があった。私は【鑑定】を発動させた。



 ▲ユニークアイテム

『混沌の宝玉』

 5大闇宝具と言われており、宝玉の中に混沌が秘められている。これを手にした者にはあらゆる災いが起きると言われている。


 …。


 触ろうとしていた手を止める。





「あっぶねー!!」

 私は触ろうとしてた手を急いで引っ込めた。



 なんでこんな危ない物がこんな所に!?

 私は黒いモヤを見て、目で訴える。



 黒いモヤは、私を見た?後に『混沌の宝玉』の近くで明滅する。



 …何。



 明滅する。



 触れって?



 明滅する。



 ………。



 明滅する。



「…やってやろうじゃない!! このゲームをなんでやってると思ってんのよ!」

 私は手を『混沌の宝玉』に近づけ、触れる。



(スプリング! 無理しちゃダメ!)



 私が宝玉に触れた瞬間、ベリアルも宝玉に突っ込んだ。


 私達は宝玉に飲み込まれた。






 教会に残されたのは黒いモヤだけ。



(……頑張って。)



 教会に優しい少年の声が響いた。

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