第00話 プロローグ
・あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
①いくつかのご要望を参考に、第五巻は主人公の主観で進めました。
②五巻の主人公は若年で知識も乏しい為、主観と事実が少し異なります。
③第五巻のエピローグで作中に登場するキャラクターの募集をしました。
(2014年1月19日23:00に締め切りました)
④第二部は、第一部と同じく4巻分の予定です。(予定では5~8巻)
「冒険者となった諸君らへ
諸君らが、これから冒険者としての輝かしい第一歩を踏み出す前に伝えたい事がある。
人と獣人との『人獣戦争』が、20年以上の長きに渡って今も続いている。
この戦争によって東の5つの国が滅ぼされ、200を越える都市と1000万人以上の人類生存圏が失われた。
だが事の始まりは、別大陸の冒険者が獣人たちを襲撃した事にあった。
諸君らに伝えたい事は、「ダンジョンに入って魔物を倒し、財宝を奪う行為を止めよ」では無い。
戦争が起きた今となって禁じても、事態の解決にはなんら寄与しない。
なぜなら獣人帝国の戦争目的は、既に復讐から安全な生存圏や豊かな資源の獲得・維持へと移行しているからだ。
私が伝えたいのは、人類の未来を切り開く方法である。
戦争は勝敗を付けるか、折り合いを付けるかによって終わらせる事が出来る。
いくつかある方法のうち一つが、ベイル王国の冒険者の質を獣人並みに、あるいはそれ以上に引き上げる事である。
弱者の弁は、強者の力には届かない。
私は、ベイル王国に侵攻するメリットよりもデメリットが大きいと証明する事で、平和を得られる一助となると考えている。
獣人の1人1人の戦闘力は人類を上回る。
またアルテナの祝福を得られた冒険者の数も、獣人3万2000人に対してベイル王国は1万7250人と少ない。
だが獣人は人類各国と同時に戦争をしており、天山洞窟内の魔物や支配地の人間を抑えるためにも戦力を割り振らねばならず、ベイル王国へ投入できる戦力には限りがある。
冒険者である諸君らに、私は『惜しみない支援』をしよう。
諸君らは、自己の目標からさらに1歩を踏み出して欲しい。
平和という到達点への道程を、先人達が少しずつ縮めてきた。
だが皆がここで立ち止まっていては、いつまで経っても平和へは到達できない。
人類の未来に希望あらんことを」
―――ハインツ・イルクナー(1259).冒険者心得書 ベイル王国国営出版社
俺は、真新しい本の1ページ目を依頼通りに大きな声で朗読し終えた。
すると冒険者協会1階ホールの各所から、パチパチと大きな拍手が響いてきた。
(恥ずかしい。恥ずかしすぎる。やめろ、やめてくれっ!俺の生命力は既に0だっ!)
『人類の未来』とか『希望』とか、そんな単語を高らかに読み上げさせられると背筋がゾワゾワする。
俺が14歳とは言え、これはきつい。ほんとに恥ずかしい。
(これは罰ゲームか?いや、罰ゲームに違いない)
だが『冒険者協会で、冒険者心得書の1ページ目を大声で読み上げる』という、ベイル王国の新冒険者全員に最初に出される恥ずかしい依頼の報酬は、あまりに大きすぎた。
宰相代理の『惜しみない支援』は、各国の歴史を1000年遡っても前代未聞だ。
だからこの依頼を受けない奴は一人も居ない。
でも恥ずかしい。
わざわざ大声で読み上げさせなくても支援は出来るだろっ!
(イルクナー宰相代理はS!宰相代理は絶対にS!)
俺はそう確信し、心の中でひたすら叫んだ。ぎょええええっ!


























