表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ひとまず、願いを9つにしてくれ」「オッケー!」  作者: ラボアジA
第四章 情報を握るということ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/39

「今は半信半疑ぐらいで構わねえ」

 忙亜駅南口の向かいにある市立病院は、極めてアクセスしやすい立地条件だった。

 現在病室前では、金髪碧眼の、絵に描いたような美男子悪魔がアミエルと話していた。


「そりゃあボクらだって、忸怩たる思いはあるよ」


 本来は静かなはずの病院だが、廊下や病室には人間の姿をした悪魔がごった返しており、非常に騒がしい。そのいずれもが美男美女で、正直アミエルの青い姿は浮いていた。


「でもさあ、そこまで猛烈に従いたいわけじゃないけど、参加しないのももったいないし」

「何だよ、トフォリ。オレみてぇに、そばまで来といて自力で稼ぎゃいーじゃねえか」

「それで睨まれた結果が、その姿に固定だろ? エヴェレットは一応約束は守るから、それもあってみんな集まってるんだよ」

「ハッ! あのヤローなんざ、上司クソッタレの腰巾着だろーが」


 アミエルは手でしっしっと追い払うジェスチャーをしてみせた。


「オレらからすりゃ、裏切りモンだろ? ダセェ奴に付き合うなよ」

「あ~ら、人間に変身出来ないアミエルの方が、よっぽどダサいと思うけど?」

「うるせぇよ、レモン!」


 キャハハハと笑う、ピンクの髪をした巨乳の悪魔を、げしげしと足蹴にするアミエル。


「ったく、だからオレは、ここに来たくなかったんだ」

「まあそう言うな」


 僕はアミエルをなだめた。


「ところで、皆さん。いつがXデーか、御存知ですか?」

「いいや。だけど、500人集まったら決行とか言ってたね」

「そ~よン、ぼーや。それまでオネーサンとイイコトしない?」

「いやぁ、日経カラ売りしたり、その情報を信用出来る筋に売ったりするのに忙しいですから」


 僕は愛想笑いをしつつ断った。


「でも、ここまでやっておいて、その悪魔さん……エベレストさん、でしたか?」

「「エヴェレット」」

「あー、そのエヴェレットさん」


 わざと間違えたのを、トフォリとレモンが唱和して訂正する。


「その方が、取り止めるというおそれはないですか?」

「んー、エヴェレットが一番美味しい話だけど……。止めるとしたら、取り憑いてる人間が翻意したときだろうね」

「ま~ね~。でも、あの人たらしに、そんな手抜かりがあるとは思えないわよね~」

「おいおい、甘いぜお前ら」


 アミエルが頭を振った。


「最初に参加料として、結構な魔力をエヴェレットに渡してンだろ? 今のあいつ、大災害を起こさなかったら、魔力は丸儲けだわ、お前らはノルマこなせねーわで、万々歳じゃねーか」

「あ~ら、アミエルったらオバカさんね~ぇ。エヴェレットは、寝てても稼げるのよ? なんでそんな権利をみすみす手放すの? もちろんアタシ達だって、その付近で人間たぶらかせば楽に稼げるもの。こ~んなオイしい話、誰だって見逃すテはないでしょ~ぉ?」

「そこが胡散臭ぇンだよ。お前らだって、本心はそうだろ? そんなウメー話、エヴェレットから聞いたことあったか? オレはついぞねえぞ」


 アミエルはそこら中の悪魔を見回した。レモンやトフォリと呼ばれた悪魔も、彼らを取り巻いている悪魔達も、それには反論がない。


「まあ、今は半信半疑ぐらいで構わねえ。でもな、あのクソッタレな上司に尻尾振ってる奴だぞ? どんどん染まっていくんだ。エヴェレットにその気がなくてもな」

「――おいおい」


 僕はアミエルを苦笑しながら手で制した。


「その辺にしとけ、アミエル」

「だがよぉ……」


 僕が落ち着かせると、アミエルは不承不承といった様子で静かになった。

 今度は、僕が悪魔達に向き直る。


「とはいえ、僕もお金が掛かっている以上、そのエヴェレットさんの本心は気になります。おそらく大丈夫だとは思いますが、万が一のときは、証拠を押さえて、皆様にお知らせしますよ」

「あらン、いい度胸してるじゃない、ボウヤ」


 レモンが、僕の肩から顔にかけてしきりに撫で回してくる。メガネまでベタベタ触られるのは、正直気分が悪い。


「でもねボウヤ、彼の機嫌を損ねて、消し炭にならないようにねン」

「レモン、大丈夫さ。ボクの見たところ、彼は賢そうだ」


 トフォリが涼しげな目を向けた。


「色々と考えがあるんだろうさ。――そう、『色々』とね」

「……」


 油断のならない相手に、僕は無言の笑顔で返した。


 その後、悪魔達と「狩りやすい人間」などの雑談に興じたのち、僕は、「それじゃ、みなさん。お元気で」と軽く会釈し、アミエルを引き連れ、ステルス状態のまま病院をあとにした。

 きなこの顔は、見ることすら叶わなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ