第57話
すいません遅くなりました。
島に来て1週間が経った。
“ガッ!”
「プギーッ!!」
巨大猪が深い穴に落ちた。
「掛かった!?」
俊輔は、土魔法で掘っておいた落とし穴に、何かが落ちた音を聞いて、洞窟から飛び出した。
「よっしゃー! 猪じゃー!」
罠に落ちた猪の見て、俊輔はテンションがあがった。
「プギャー!!」
猪は、自力では登れないほど深い穴の下で、わめき散らしていた。
“ボッ!”
「ハァー!!」
わめく猪を無視しつつ、俊輔は魔力を纏い、巨大鹿の角から錬金術で作った槍に、魔力を集めた。
「オリャー!!」
俊輔は下にいる猪目掛けて、魔力を集めた槍を全力投擲した。
“グシャ!!”
「ピギャーーー!!!」
“ドサッ!”
俊輔の投擲した槍が体に刺さった猪は、大声をあげた後、横向きに倒れて動かなくなった。
「よしっ! 死んだな?」
俊輔は倒れた猪を鑑定して、死んだのを確認してから、土魔法で猪の下の地面を沸き上がらせた。
「猪だと……、ぼたん鍋かな?」
この島の魔物は巨大化した魔物が多い、しかし知能の方は進化しなかったのか、簡単な罠に掛かり易いようだ。
猪を捌いて、魔法の袋の中にしまい、俊輔は拠点の洞窟に帰った。
「やったなネグ! 鹿肉の次は猪肉だぞ!」
「ピ~♪」
この1週間、俊輔の魔法で無くした翼が3割位再生した丸烏のネグロは、元気を取り戻し俊輔の猪肉に嬉しそうに転がった。
「こんだけ食糧があれば、数日食材探ししなくてすみそうだな……」
この1週間、食材探しに力を注いでいたので、島の探索の方はあまり進んでいなかった。
「ネグ! 明日からは先ず、ネグの翼を一気に治すぞ!」
「ピ~?」
ネグロ自身は、島の探索や食材探しをした後、夜余った魔力で治してもらえれば良かったので、何故自分の翼を先に治そうとするのか、首を傾げた。
「どうしてって? 村にいたときから探検はネグと一緒だったろ? この島の本格的な探索も一緒にするに決まってるだろ?」
俊輔からしたら、それが当たり前の事だと思っていたので、ネグロの翼再生は島探索への優先事項だった。
「ピ~~!」
「おわっ! どうした? ネグ!」
俊輔が、自分を大切に思ってくれている事に嬉しくなり、ネグロは俊輔の胸に飛び付いた。
「ネグは相変わらずモコモコだな……」
俊輔は、飛び付いたネグロのモコモコの体を撫で回し、落ち着かせた。
「それじゃあ、夕飯作るか……」
「ピ~♪」
先ほどまで泣いていたネグロは、夕飯の言葉に泣き止み、嬉しそうに声を出した。
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「ハァーーー!!!」
〝ボッ!〟
翌日から全魔力をネグロの翼再生に使って、魔力枯渇で気を失うを繰り返し、1週間掛かりようやく今日、ネグロの翼は完治した。
「ピ~~!!」
無くした翼が完治したネグロは、嬉しそうに翼をはためかせ、俊輔の周りを飛び回った。
「はぁ~……、良かったなネグ……」
喜ぶネグロとは反対に、魔力枯渇でぐったりとし、大の字で横になりつつネグロの完治を喜んだ後、気を失った。
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「ヨッシャー! ネグ、今日から本格的に島探索に出るぞ!」
「ピー!」
気を失って長い時間睡眠したお陰で、体が回復した俊輔はややテンション高く洞窟から出た。
前日翼が治ったことから、ネグロもまたテンション高く洞窟から出た。
「ピ~♪」
“ポムッ!”
ネグロは嬉しそうに俊輔の頭の上に乗った。
「ようやくいつもの感じに戻れたな?」
いつもの、後ろからみたらアフロヘアーになった俊輔は、本格的に島探索に向けて意気揚々と動き出した。
「うぉーーー!!!」
「ピーーー!!!」
洞窟から30分位歩き回っていた俊輔は、猛ダッシュしていた。
ネグロは、俊輔の頭から落とされまいと、しっかりと掴まっていた。
「ちくしょーーー!!! 何なんだこの島ーー!!!」
「キシャーーー!!!」
現在巨大カブトムシに遭遇して、魔闘術で肉体強化しつつ、全力疾走する俊輔だった。
ようやく動き出した俊輔達。
次回ちょっと先に進もうと思います。




