表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/320

第50話

 道のりを言葉で説明する文がありますが、たぶん分かり難いとかもしれません。

 いつになるか分かりませんが、そのうち地図を載せようかと思っています。

「ちゃんと説明するから落ち着けって!」


 京子からの今にも殴りかかろうとする視線を受けて、俊輔は少し焦りつつ京子を落ち着かせる。


「……どこから話したら良いんかな? ……昨日やっと官林村に5年ぶりに帰ってさ~」


「え!? そこから?」


 俊輔は村に帰った所から話し出した。

 京子からしたら、5年前から聞きたい所だったが、取り合えずそのまま聞く事にした。


「実家に向かってたら村の人達が幽霊だって騒ぐし、父ちゃん、母ちゃんからは地獄の説教喰らうし、龍兄、虎兄は結婚して子供いるし、村長の家行ったら京子は戦場にいるって言うし、で実家で久し振りに布団で寝れて大爆睡しちゃってさ……」


 俊輔は昨日起こったことを簡単に話した。


「それで巳の刻(10時)に目が覚めたらネグロがいなくて、魔力感知したら寝坊した事に気付いて、慌てて来たら終わってた」


「「…………」」


 俊輔の発言を聞いて京子と篤は言葉を失っていた。


「……いや、遅くなって悪かったって、でも田舎の官林村には戦場の状況が詳しく伝わってなくて、今日戦闘が開始するなんて知らなかったんだよ」


 2人が無言になってしまった為、慌てて俊輔は弁明した。


「……いや小僧、あんた今巳の刻に起きて終わった直後に着いたって言ったのかい?」


 俊輔が言ったことをもう一度篤が聞き返した。


「ん? ああ、そうだよ」


 俊輔は、何故篤がそこの部分に引っ掛かるのか分からなかった。


「京子と私が無言になったのは、寝坊した事じゃなくて、官林村から同竜まで半日もしないで着いたことだよ」


「え!? そこ!?」


 篤が言った通り、普通官林村から同竜までは、まず官林村から南の月和村へ1日、そこから東へ向かい緒伝(ちょでん)山に入り北北東に進み、悠楽(ゆうらく)山、大栓(だいせん)山の3つの山を越えて4、5日で奥電に着き、そこからまた北へ1日で同竜に着く、つまり約1週間掛かるのが普通である。

 その道のりを、開戦した巳の刻(10時)から終戦した申の刻(16時)の約3刻(6時間)でたどり着くと言うのは、はっきり言って異常である。


「そうよ! 距離は長いし、魔物だって注意しないといけないんだから!」


 昔から俊輔が規格外だと分かっている京子も、さすがにそれは無理だろうと思い、少し声を荒げる。


「いや、官林村から同竜まで一直線に走れば距離は縮められるし、魔物は完全無視で突っ走ればそんなに無理な事じゃないよ」


「「………………」」


 俊輔の発言に2人はまた固まる。


「真っ直ぐって小僧、お前官林村の東の森に入って、そのまま真っ直ぐ大栓山を越えて来たってのかい? あそこにゃ主と呼ばれる魔物がいるって常識じゃないかい!」


 官林村は森に囲まれた場所にあり、東の森を抜けると大栓山があるのだが、道が無い上に、昔から主と呼ばれる強力な魔物の住処があることが常識である。

 官林村周辺の村だけでなく、日向の西側に住む人達は、その事を親から子供に小さい頃から教え込むのが当たり前になっている。


「ああ、知ってるよ。だから一応、主の感知に引っ掛かんないようにしたから大丈夫」


「一応って……」


 俊輔が簡単そうに言う事に京子は、驚きと呆れの混ざった言葉を放つ。


「……信じられんが、嘘って訳でも無さそうだね~」


 俊輔の発言に、篤は取り合えず納得した。


「で? 小僧は何しにここに来たんだい? まさか戦場で活躍して仕官でもしようって魂胆かい?」


 戦場での武功で立身出世を考えると言うのは、特に悪いことではない。

 下っ端の脳筋兵からしたら、出世の機会と張りきるのが当然である。


「え? いや、ただ京子に会いたくて来ただけだよ。」


「ふぇ?」


 俊輔の不意打ちのような言葉を聞いて、京子は顔を赤くして変な声を出した。


「何か俺って死んだことになってたから、京子にも知らせとこうと思って……、だから来た。」


「え!?」


 俊輔の上げて落とす発言を聞いて、京子は一気に怒りが沸いた。


「私の事を迎えに来たんじゃないの!?」


「え? 迎え? ってか何で怒ってんの?」


 俊輔は前世の田中良介の時、周りの友人が結婚する中、一人結婚できなかった。

 その原因はこういう所である。

 つまりは鈍感なのである。


「……ってか、京子お前、大陸旅行に興味あったの?」


「…………」


 前世と合わせて精神年齢50歳にも関わらず、俊輔は理解力が足りなかった。

 その俊輔の発言に、京子は怒りが頂点に達して拳に力をためた。


「じゃあ、一緒に行こうぜ!」


「!?」


 京子は怒りで赤くなっていた顔が、今度は違う意味で顔が赤くなった。

 俊輔は無意識に京子の怒りを回避した。


「2人で盛り上がっている所悪いんだけどね~、一応京子はうちの部隊の隊長でねぇ~、連れていかれるのは困るんだけどねぇ~」


 俊輔と京子が話している横で篤は呟いたのだが、2人の耳には入らなかった。



 思っていた以上に先に進まず、また次週へ続きます。

 今年中に3章に進めるようにしたいと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【転生したので旅行ついでに異世界救っていいですか?】
ダッシュエックス文庫にて発売中です。
お買い求め頂けるとありがたいです。
よろしくお願いします!

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=167178503&s

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ