第42話
またしても時間がない。すいませんちょっと短いです。
様々な事が起こる中、篤とダビドの戦闘は続いていた。
”ガキンッ“
「グッ!?」
篤の刀による攻撃を、手甲で受け止めるダビドだが、威力に圧されて後方に飛ばされる。
互角の闘いが続いていたのだが、両者とも細かい傷が増えて来てとうとう差が出始めた。
片腕を折られたにも関わらず、篤の方が経験の差なのか次第に押し始めた。
「ハァ、ハァ、婆ァー」
息を切らせつつ篤を睨みつけるダビドだが、その表情は何故か楽しんでいるようでもある。
「…………」
その表情をするダビドを無言で見つめる篤、静かに息を整えつつ鞘に刀を納める。
「何だかんだで随分時間を取られちまったねぇ~、そろそろ終わりにさせてもらうよ~」
”バッ!“
篤はダビドを仕留めるために、片腕とは言え自身の最も得意とする技である、抜刀術を行おうと向かって行った。
「ハァ、ハァ……」
向かって来る篤の攻撃に対して、ダビドは守りを固めて迎え撃とうとする。
そしてダビドとの距離が篤の射程距離に入る直前に、
”ヒュン!“
「!!?」
篤の顔に向かって氷の槍が飛んできた。
「くッ!?」
篤は飛んできた氷の槍を紙一重で躱した。
”ニヤッ!“
攻撃を躱した篤の一瞬の隙を、をダビドは見逃さなかった。
「爆撃!!」
”ドゴーンッ!!“
ダビドの渾身の一撃を受けて篤は吹き飛んだ。
”ガンッ!”“ゴロゴロゴロ……ドサッ!“
篤はかなりの距離を吹き飛ばされ地面に叩きつけられた後、数メートル転がり仰向けの状態で止まった。
「ハァ、ハァ……、助かったぜ清!」
ダビドが、氷の槍が飛んできた方向に声をかける。
「い…え………」
”ドサッ!“
清はわずかに残っていた魔力を振り絞って、篤に隙を作らせる事に成功した。
そして今度こそ、魔力の枯渇により気を失った。
「ハアー、疲れた」
そう独り言を呟いてダビドは座り込んだ。
「想像以上の化け物だったぜ……」
ダビドは座ったまま、自身の魔法の袋から回復薬の液体が入ったビンを取り出して飲みほした。
「フー!」
回復薬の効果により、多少の傷と疲労が回復した。
「さてと、婆さんにしっかりと止めを刺さないとな……」
回復したダビドは立ち上がり、仰向けに倒れている篤に向かって歩き出そうとした。
「……ワァーオ、来ちゃったか?」
ダビドは2、3歩歩いたところで立ち止まった。
篤のすぐそばには、黒い木刀を持った京子が立っていたからである。




