第41話
いつも以上に時間がなかった為、急いでかきました。
「京子! あなたは篤様の所に加勢に行きなさい!」
美代はまず篤を一刻も早く自由にさせる為、京子を加勢に行かせる事にした。
「わかりました!」
美代の指示に従い、京子は戦場から少し離れた場所で戦う篤のもとに向かった。
――――――――――一方篤は――――――――――
”ズドーーーン!!!“
広範囲を吹き飛ばす爆発が起こり、砂煙が巻き起こる。
「ダリャー!!」
「ふんっ!」
”ガキンッ!“
砂煙から出た篤の刀とダビドの手甲がぶつかり合う。
「ラッ!!」
「!?」
”バッ!“
ダビドが篤の足にローキックを狙うが、篤はそれをバックステップで交わし、ダビドから距離を取る。
「ふー……、本当にすげえ婆さんだな片腕だけで俺と互角なんて」
「ふぃ~、小僧のくせに面倒いねぇ~」
2人は戦闘を開始してから、ずっと互角の攻防を繰り広げている。
お互い直撃こそ無いがかすり傷で数ヶ所から血が出ている。
「婆さん、早く俺を倒さないと味方の援護に行けないぜ?」
「うるさい小僧だねぇ~、いいからかかってきな!」
ダビドが言うように、この互角の状況は篤にとって最悪の状況である。
敵の第2陣が遠くに見えて来ている今、ダビドを相手するよりも、敵先陣を殲滅して第2陣を待ち受けたい心境である。
――――――――――――――――――――
戦姫隊が城から出る直前、敵軍の大将である金藤の陣のもとにトマスが現れた。
「金藤様……、戦姫隊が動き出しました」
「おおっ、やっと動き出したか?」
金藤は最初から戦姫隊が出てくるように作戦を練っていた。
しかし、それはそうなればいいな程度の事だったが、まさか予想通りになるとは思っておらず、思わず嬉しそうな声をあげてしまった。
「しかし、本当に行かれるのですか?」
「ああ、で、京子とやらはどこら辺にいる?」
金藤の狙いは、最初から戦姫隊で最強と言われている京子だった。
「現在ダビドと戦闘中の篤の援護に向かっている模様です」
「なるほど、じゃあダビドの所に行くか?」
金藤は座っていた椅子から立ち上がり、軽く体をストレッチする。
「羽田様には言わずに行かれるのですか?」
「大丈夫だ。羽田様にだけは作戦の全てを話してある」
金藤の言う通り、他の大名達は所詮戦姫隊を誘き出す為のこまでしかない。
その為、他の大名達とは別の時を見計らって、羽田にはこの作戦を話して置いた。
「さてと、じゃあ行くか!」
”ボッ!“
金藤は一言呟いた後、魔闘術を発動した。
「お前は羽田様と最後の仕上げを頼むな」
「畏まりました」
”ドンッ!“
金藤はトマスに指示を出し、その返事を聞いた直後、爆発的速さで陣から飛び出して行った。
「……とんでもない速さですねぇ」
あっという間に豆粒ほどの距離まで離れていく金藤の速さに、トマスは思わず呟いた。
”ブルブル!“
「!?」
トマスは通信の魔道具が着信して震えた為、人気の無いところに移動した。
そして魔道具のボタンを押して通話を始めた。
「もしもし、こちらトマスです」
『……久しぶりトマスちゃん、そろそろそっちは片付きそう?』
トマスが話しかけると通話相手は軽い口調で話しかけてきた。
「お久しぶりですエステ様…………」




