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第28話

少し短いですが第2章の始まりです。

―――日向の国、奥電の北東にある街同竜―――


 小高い山の頂上に建てられた、日向の国最西端の城、同竜城と呼ばれている。

 城下を見渡せる一室で、1人の女性が正座をして瞑想していた。


“ガラッ”


「隊長ーーー!!!」


 1人の少女が勢い良く部屋の襖を開ける。

「……桜、うるさいし返事をする前に襖を開けるなといつも言っているでしょ」


「あっ……、すいませんでした」


 桜と呼ばれた少女は、またやってしまったといった感じで頭を下げた。


「それで……?」


「はい?」


 桜は隊長の質問に首を傾げる。


「何か用があったんじゃないの?」


「あっ、そうでした。副総長が全隊員修練所に集合との事です」


「わかった、すぐ行く」


 そう言って、桜と一緒に女性は修練所に向かった。





―――――――――――――――――――――――――


 同竜城の修練所に集まった女性達、日向の国の皇族を守護する為、同竜城の城主、八坂英典が作った女性戦闘部隊である。

 先頭に3人の女性が横に並び立ち、その後ろに少し離れて2列に10人ずつ並んでいる。

 全員の前に40代の女性が1人立っている。


「皆、これより総長から挨拶がある。心して聞くように……」


 その女性の発言の後、60代の女性が全員の前に現れた。


「皆、現在の状況はわかっているね。今まで何とかここまで逃げて来れたけれど、ここから先は逃げる事も出来ない……」


 日向の国は現在内乱状態に陥っている。

 前皇の崩御により始まった前皇の息子、条遼皇太子と前皇の弟、泉談親王による次期天皇の座を懸けた戦いにより皇太子派と親王派の2つに別れた。

 始めは皇太子派の方に付く大名の方が多かったが、親王派による工作により、次第に皇太子派が劣勢になり首都から西へ西へと撤退し、この同竜の城にたどり着いた。

 ここから西へ向かって大陸に逃げようにも、親王派に追い付かれ、なすすべなく敗れる事は明白の状況である。


「それ故、我々八坂家全戦闘部隊は、この城で籠城戦を行うことに決定した。我が部隊は皇太子様の警護を最優先に、状況により戦闘に加わるようにと八坂様より仰せつかった。以上これより以前指示した通り持ち場に着いておくれ」


「「「「「はっ」」」」」


 全員が返事を返し、それぞれ持ち場に向かって行った。

 修練所には総長と副総長、そして3人の部隊長が残り話合っていた。


「総長! 相手は数にものを言わせて攻めてきます。皇太子様の警護は最小限にして、我々も戦闘に参加するべきだと思うのですが?」


 20代後半の隊長が総長の女性に進言した。


「駄目だ!、先ほど総長が仰った通り、我々は警護を優先するべきだ。」


「しかし副長、ただでさえ戦力が足りないのですから、2番隊隊長が言ったように少しでも戦闘に加わった方がよろしいのではないでしょうか?」


 20代前半の隊長が副長に意見した。


「……君は3番隊隊長の意見をどう思う、1番隊隊長?」


 副長がそれまで黙って聞いていた桜の上司、1番隊隊長の女性に質問をした。


「……副長の仰った通り、皇太子様の警護を優先すべきです」


 1番隊隊長は副総長の意見に賛成し、2、3番隊隊長が反論しようとする前に、


「……但し、私が1人で相手の戦力を削って来ます。私が全力で戦えば3分の1は殲滅出来るでしょう」


「……確かに、1番隊隊長の戦力ならば……」


「そうよ! そうなれば戦力差が一気に縮むはず……」


「確かに……」


 1番隊隊長の意見に副長と2、3番隊隊長が納得しかけたが、


「相変わらずだね~、あんたの死にたがりは……」


 今まで黙っていた総長が口を開いた。


「全員警護優先! これを変えるつもりはないよ。わかったね? 京子(・・)!」


誤字の忠告ありがとうございました。早速編集し直しました。

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― 新着の感想 ―
作風的にヒロインとかいらないんだけど この子がヒロインになるんだろうなぁ
[一言] 自分逃げて京子は強制入隊か。転生者なら選択肢ぐらい与えてやればよかったのに。
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