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第23話

また遅くなってしまい申し訳ありません。

「うわー、確かに魔族って感じだわ」


 正体を表したホセに対して、俊輔は感心したといった感じの言葉を発した。


「何だ! あの化け物は……」


「あんな魔物見た事ねえぞ!」


 離れた場所に避難した村人達は俊輔とは違い、ホセの姿に驚きと恐怖を感じていた。


「あんな化け物どうしろって言うんだ!」


 田茂輔も同じく、今まで倒した魔物とは纏う雰囲気の違いに動揺していた。


「大丈夫だよ、おじちゃん!」


「京ちゃん?」


 田茂輔は、京子が全く慌てていない事に疑問に思った。


「俊ちゃんはあんな奴には負けないから……」


「…………」


 京子の発言に無言になりながら、田茂輔は俊輔を見た。

 田茂輔の俊輔に対しての印象は、この村の若者の中では真面目で働き者の兄達と違い、あまり自分の言う事を聞かず、手伝いをしたがらない腕白小僧の印象しか無かった。

 村人が俊輔の事を陰で悪く言っている事は気付いていたが、日頃の俊輔の行動から、仕方ないと思う部分が少なからずあった。

 しかし今日、服を泥だらけにしつつも、村の為に戦う俊輔を田茂輔は誇らしく思った。

 けどそれと同時に、自分の見る目の無さに情けなさも感じていた。

 

「ハーー、成る程……」


 田茂輔が色々と考えている中、俊輔はそんな事関係なく、ホセの姿を鑑定魔術で見て、納得といった感じの言葉を発した。


 ホセの姿は上半身は膨れ上がり、腕が丸太のような太さに、そして髪が無くなった頭には数本の角と触角のようなもの生え、牙を剥き目がギラついていた。


「小僧、調子に乗るのはそこまでだ!」


「……別に調子に乗ってはいないけど?」


「クッ、俺が雑魚を操るだけの小物だと思うなよ!」


「んー」


「……何だ?」


 言葉を交わすなか、何かを考え出した俊輔にホセは問いかけた。


「あんたが今まで人の形をしてたのは、ただ魔族だという事だけじゃないんだろ?」


「…………」


 俊輔の質問に、ホセのは無言で答える。


「確かに魔族は魔物の中では知能が高いのだろうけど、人の形をしていた時の方が理性的で思考的なんだろう?」


「…………」


「魔族としての正体を表したあんたを、鑑定すると確かに魔力は高いけど頭脳の方は小さくなっているからな」


「……それがどうしたと言うのだ!?」


「人型の時なら、頭使って逃げられたかも知れないのに、馬鹿だなぁーと思っただけさ」


“ぶちっ”


「この餓鬼がー!!」


 俊輔の挑発にとうとうキレたホセが、俊輔に丸太のような腕を降り下ろした。


“ドーーーン”


 先程の俊輔の一撃と同じくらいの爆発が起こった。


「グハハハハッ! どうだ俺様の威力は?」


「当たらなきゃ意味ないな」


 砂ぼこりが舞う中、一撃を余裕で躱した俊輔が呟いた。


「なっ!?」


「何驚いてんの? 威力はあるけどその速さじゃ当たるわけないじゃん!」


「何だと!?」


「えっ? そんなに頭悪くなるの? 面倒くさいからさっさと終わらせてもらうな」


“ボッ!”


「中二っぽいけど、必殺!」


 俊輔は魔力を纏い、剣の練習中に思いついた技を放った。


「二文字切り!!」


 技と言っても前世で漫画や小説で良くある技を、ただ魔闘術で使うだけである。

 左手の小太刀と右手の太刀の木刀を漢数字である‘二’を型にしただけの斬撃である。


「グハッ……」


 ホセの体が横に三つになって地面に崩れた。

 その音を背中越しに聞きながら俊輔は、


「フッ、決まった」


 と、どや顔で呟いた。

自分で書いてて何ですが、中々村から出ていかなくてすいません。

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