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第21話

「…………本当に色々な事で驚かせてくれますね。まさか鑑定魔術を使いこなしているのですか?」


 ホセは今までとは違い、真面目な顔で質問をしてきた。


「まあね。最初は大陸の事を聞こうと思って会いに行ったんだけど、ちょっと視てみたらあんたの魔力がおかしな感じだったんで、もしかしてと思ってね」


「どうやら村人達の言う出来損ないの三男坊とは、嘘だったようですね」


「あながち間違ってないけどね」


「俊輔!!」


 俊輔とホセが話していると、田茂輔が声をかけてきた。


「俊輔、そいつは俺が相手する。お前もそんなに泥だらけじゃないか、ここに来るまで相当力を使ったんだろう。」


「…………」


 田茂輔の言葉を聞いて俊輔は返す言葉が出てこなかった。


『やばっ、竹の子掘ってて汚れましたなんて言えないしなぁ……』


 俊輔は内心ではそのように思いながら、どう言い訳しようかと悩んだ。


“じー”


「あっ……」


 言い訳を考えていたら京子が見つめていた。

 京子には今日竹の子を掘りに行く事を言っていたので、汚れの理由に気づいているようである。

 しかもおいてけぼりにしてしまったので、これまたどうしようか悩んだ。


「京子、父ちゃん達を連れてちょっと離れていてくれるか?」


「……分かった」


 事態が事態なので、仕方ないと言った感じで京子は俊輔の言う事を聞いた。


「おじちゃん、俊ちゃんなら大丈夫だから、俊ちゃんに任せて私達は少し離れましょ」


「えっ? でも京ちゃん……」


 田茂輔は京子の言う事に納得いかずにいた。


「父ちゃん、兄ちゃん達も悪いけどちょっと危ないから早く離れていてくれるか?」


「俊輔、本当に大丈夫なのか?」


 俊輔の言葉に、龍之輔も納得していないようだ。


「あぁ、大丈夫だから任せとけって!」


「……気を付けろよ、俊輔。行くぞ虎!」


「あぁ……、無理すんなよ俊輔!」


 そう言って、龍之輔と虎之輔も離れて行った。


「さて、そろそろいいですか?」


 今までほっとかれたホセは、その間に魔物をさらに召喚していた。


「うわー、あんたまた、たくさん出したな」


 田茂輔達や京子が倒した魔物の倍近い数の魔物が、俊輔1人を取り囲んでいる。


「さっきの質問ですが、私の正体が知りたかったらこの魔物達を倒して下さい」


「なんだよ、ケチくせーな」


“ボッ”


 俊輔は魔力を纏い錬金術で強化した木刀を2本魔法の袋から取り出した。

 右手には普通の刀の長さの木刀で、左手には小さい子供に持たせる用の小太刀の長さの木刀である。

 その2本も魔力で纏い、魔物達に構えた。


「ピー!」


「おおっ! ネグやっと追い付いたか?」


 村の方から煙が出ているのに気づいて全力で来たので、丸烏のネグロをそのままにして来てしまった。

 そのうち来ると思っていたが、これから戦闘という時に追い付いたようだ。


「ピー?」


「あぁ、さっさと済ませて竹の子食べような」


「何ですかその丸烏は?」


ネグロと話していると、ホセが聞いてきた。


「俺の従魔だ!」


「成る程、道理で私の魔法陣に反応しなかったわけだ」


ネグロは生まれてすぐにペドロ達に教わった従魔契約をして俺の従魔にしてある。

従魔契約してある魔物は、解約しない限り他の人間が契約する事は出来ない。

 その為、ホセの強制契約魔法陣にはネグロは反応しなかった。


「ネグ、打ち漏らした魔物を頼むな」


「ピー♪」


「何を言っているのですか? 丸烏ごときに何ができると言うのですか?」


 丸烏は魔物の中では最弱の部類の魔物の為、ホセも俊輔の言葉に疑問を持った。


「色々できるよ。ネグ! 戦闘開始の一発喰らわしたれ!」


「ピー!」


“ボッ!”


 俊輔の言葉を聞いてネグロは魔力を纏った。


「ピー!!」


 ネグロは口を開いてレーザーのような光線を発射した。


“ガガガガガーーーーーー!!!!!”


 その光線の射線上の魔物が消し飛んだ。


「…………えっ!!?」


 あまりの出来事に、ホセはまた言葉を失った。

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