第17話
また遅くなってしまいました。申し訳ありません。
「テメー! 何しやがった!?」
ホセが集会所に集まった人達に対して何かしたのだと、田茂輔は怒りの表情でホセを睨み付けた。
「え? 教えませんよ」
ホセは、平然とした顔でそう答えた。
「何をしたか知りたいなら、全部の魔物を倒して行って下さい」
そう言いつつ、ホセは魔物を増やしていた。
「このくそ餓鬼がー!!」
田茂輔は怒りに任せて向かって来る魔物を倒して行った。
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一方集会所では、集会所の周辺で発動した魔法陣から魔物が数十体沸き上がって来て、集会所に集まった女性達が恐怖で悲鳴を挙げて身を縮めていた。
そんな中、村長を中心とした男性の老人達が、魔物に向かって立ち向かおうとしていた。
「皆、腐っても日向の男の底力、化け物共に見せてやろうぞ!!」
「おおー!!」
手に鍬や鎌などの農具を構えて、老人達が魔物を待ち構えていたが、どう見ても戦えそうにない。
その様子と、ジリジリと魔物達が近寄って来るのを見て、京子は集まっていた女性達の中から抜け出し、俊輔からもらった錬金術強化した木刀を片手に、魔物へ向かって飛び出していった。
「おじいちゃん達下がってて!」
村長達の横に来た京子は、そう言って木刀を構えた。
「何しとる京子! 皆と一緒に……」
村長が話している途中から、京子は魔闘術を発動させた。
「京子……、お主……」
少女で、しかも自分の孫が魔闘術を発動させたのを間近で見て、村長は言葉が上手く出てこなくなっていた。
“バッ!!”
「ハァー!!」
地面を蹴り、一瞬のうちに魔物の群れに近づき、気合いと共に木刀を横に振り抜いた。
“ズバッ!!”
たった1振りで4体の魔物を真っ二つに切り裂き、次々と数を減らしていった。
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「はぁ、はぁ……、くそっ! 切っても切っても、全然数が、減らねーじゃねーか……」
田茂輔は息を切らしつつ悪態をついた。
『くそっ! 集会所の方はどうなってるんだ?』
田茂輔は心の中で老人達や女性達の事を気にしつつ、細かい傷を付けられた体で魔物を退治し続けた。
「だりゃー!!」
“ズバッ!!”
“ズバッ!!”
「はぁ、はぁ……」
弱い魔物達とはいっても、さすがに戦い続けて体力がなくなり、田茂輔は膝をついた。
「ようやく膝をつきましたか、いい加減諦めてくださいよ」
膝をついているが目の光が消えていない田茂輔に、ホセは飽きたと言わんばかりの口調で呟いた。
「頑張ったってもう集会所は皆殺しにされてるはずですよ」
「はぁ、はぁ……、何だと……?」
ホセが呟いた言葉を聞いて、田茂輔は驚いた表情を浮かべた。
「あっ、言っちゃった……、まぁいっか、集会所の周辺に用意して置いた魔法陣を発動させたので、今頃皆さん魔物達の胃の中じゃないですかね」
ホセは作戦がばれた事に全く関係ない様子で、田茂輔の気持ちを折ろうする言葉を投げ掛けた。
『くそっ! 集会所には静江もいるんだぞ!!』
田茂輔はホセが言ったことを聞いて、心の中で悩んでいた。
「悩んでいる所申し訳ないのですが、まだ相手して下さいね」
ホセはそう言って、また魔物達を田茂輔に向かわせた。




