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第15話

「この村を潰す?」


 ホセの言葉とさっきの魔法陣から京子は身構えた。


「さっきそこの魔法陣が光っていたけど何をしたの!?」


 ホセを睨み付けながら、京子は尋ねた。


「いやー、君みたいなかわいい子に睨まれるのは不本意だけど、僕らの組織の為にはしょうがないんだ。ごめんね」


 本気で謝る気持ちは無いように、ホセは言う。


「何をしたって聞いてるの!!」


 ホセの態度に、京子は声を荒らげた。


「恐いな~、かわいい顔が台無しだよ」


 京子の言葉にヘラヘラしつつ、軽口を発するホセは仕方なさげにため息をはき、


「さっきの魔法陣はね~、この村の周囲の森から魔物を呼び寄せたんだよ。ほら、見てごらん」


 そう言って、ホセは村唯一の入り口の道を指差す。


「!!?」


 ホセが指差す方向を京子が見ると、入り口からたくさんの魔物達がこっちに向かって来た。

 それを見て驚いている京子に、


「驚いている所悪いんだけど、村の人達に知らせた方がいいんじゃないの? あそこだけじゃなくて四方八方から集まって来てるよ」


 とホセは言った。


「くっ……!?」


 確かにホセの言う通り、どんどん増えて来る魔物の事を知らせないと村の人達に被害が出ると思い、京子は振り返り急いで来た道を戻って行った。





ーーーーーーーーーー


 その頃俊輔は、森の奥の竹藪の中にいた。


「おー、ネグ見ろ竹の子出てるぞ」


 この世界は前世と同様に、1日24時間365日の12ヵ月で今は4月、夕飯用の食材を探していたら前世でも好きだった竹の子を見つけてテンションが上がっていた。


「ピー♪」


 いつもの定位置である俊輔の頭の上に乗っている丸烏のネグロも、嬉しそうに揺れていた。


「ネグも竹の子好きか?」


「ピー♪」


 俊輔の質問に元気に返事した。


「こういったほんの少し土から頭が出てるのが、柔らかくておいしいんだ。わかったか?」


「ピー♪」


“パタパタ”


 俊輔の説明を聞いて、頭の上から降りたネグロは竹の子を探し始めた。

 俊輔は、見つけた竹の子をニコニコしながら掘り始めた。





ーーーーーーーーーー


「おじちゃん!!」


 京子は田茂輔に現状を説明しようと、俊輔の家に戻って来た。


「おー、京ちゃん慌ててどうした? 俊輔が何かしたかい?」


 田茂輔はニコニコしながら、京子に尋ねた。


「ホセさんが、ホセさんが……!」


「ホセがどうかしたのかい?」


 あまりにも京子が慌てているので、田茂輔は真剣な顔になって理由を聞いた。


「ホセさんが魔物を操って村を滅ぼそうとしてるの!」


「!? 何だって!?」


 京子の話を聞いて、田茂輔は驚愕の表情を浮かべた。

 田茂輔自身、ホセの事を信用しきってはいなかったので、京子の言葉をすぐ受け入れた。


「どうしよう? おじちゃん」


「京ちゃん! 村長に伝えて村の皆に集会所に集まるように言いまわるんだ! 老人や子供達を優先してだれも被害を受けないようにするんだ!」


「わかった! おじちゃんは?」


「俺は龍と虎を見つけて、戦える男を集めるように言って来る」


 京子と田茂輔は別れて、それぞれ自分が今出来ることを始めた。

 

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