第14話
最初、怪しい行動から村人達に警戒されていたホセだったが、社交性があるのか、すぐに受け入れられて行った。
毎日昼頃、魔物の調査に森に入って夕方になると集会所に帰って来るのを繰り返していた。
「俊ちゃんはホセさんに大陸の話を聞かないの?」
京子が聞いてきた。
「別に聞く事はないかな?」
「何で? ペドロさん達の時は色々聞いてたじゃない」
「ペドロさん達に聞きたいことは大体聞いたから、別にホセさんに聞きたいことはないんだよ」
「ふ~ん」
「お前は行かないのか?」
「私は俊ちゃんと一緒にいるよ」
「……あっそ」
結局いつものように京子と、ホセが調査している反対の森の方で剣や魔法の練習をして過ごした。
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一方反対の森では、
「やー、ホセちゃん準備は出来た?」
ホセが1人の男と話をしていた。
「どーもエステ様、ちょっと時間が掛かりましたが準備出来ました」
「それじゃあ明日にでも始めてくれる?」
エステと呼ばれた男は、あまりやる気がなさそうにホセに語りかけた。
「畏まりました」
「そんじゃ、よろしく」
エステはそう言って、その場から去っていった。
「全く、我が主人はもう少しやる気を出して欲しいものだ」
ホセはそう独り言を呟いて、村の方に歩いて行った。
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翌日俺はいつも通り、丸烏のネグロを連れてまた森に向かった。
「こんにちわ~」
俺が森についた頃、京子は家に来ていた。
「あれ? 京子ちゃんいらっしゃい」
父である田茂輔は木刀を振って鍛練をしていた。
「おじさん、俊ちゃんは?」
「俊輔はまたどっか遊びに行っちまったよ」
「え~また置いてかれた? も~、俊ちゃんたら~」
「わざわざ来てくれたのにすまないね」
「ううん、じゃあ探してみます」
そう言って京子は俊輔を探しに向かった。
「も~、俊ちゃんたらいっつも、いっつも置いてきぼりにして~」
俊輔の愚痴を呟きながら昨日と同じ森に向かっている途中、村の中央の道にホセが1人立っていた。
「ホセさん、何してるの?」
京子の質問に振り返ったホセは、
「やー、お嬢ちゃん。なーに、ちょっとこの村を……潰そうと思ってね」
そう言ってホセの足元に書かれていた魔法陣が、光を放ち始めた。




