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第12話

また遅くなってしまいました。申し訳ありません。

 ペドロ達が帰ってから3年の月日が経ち、転生して10才になった。

 二人と別れてから俺は、錬金術にハマった。

 色々作りたい物を考えては、材料を集めて錬成してみて、何が出来て何が出来ないのかを試してみた。

 まずニコラスが言っていたように、机や椅子などの調度品は確かにわざわざ作るのは意味がない、だとすると魔法効果がある道具を作るのが良いだろう。

 そうなると幾つか思い浮かんだのは、鑑定能力を持った道具が良いだろうと思った。

 鑑定魔術は、今ではちょっと目に魔力を集めるだけで鑑定出来るのだが、なんと言うかサーモグラフィーのように見えるのが、今使っている鑑定魔術である。

 植物や茸などの食べられる物と食べられない物、魔物などの危険な部位や弱点、人間ならば男性や女性などは色の濃淡で区別すればいいのだけなのだが、出来れば数値化された鑑定の方が分かりやすくて良いと思って、試してみたのだが結局出来たのはガラクタばかりで上手く行かなかった。

 まあ別に今の鑑定魔術でも、自分である程度判別出来ているので期待はしていなかったので、ちょっと残念だな程度の感覚である。

 魔法の袋は、二人が帰ってから1年近くたってから幸運の兎が見つかり、前回同様成功させた。

 他に成功と言うか錬金術でやっているのは、村の近くの魔物を狩って、豆粒ぐらいの小さな魔石を大量に集めて、今使っている木刀(長さ的には小太刀)を強化して、強度を上げてみたりするぐらいだ。

 今ではただの木刀が、鉄で出来ているように硬くなっているのがとても気に入っている。

 今日もいつものように魔石集めをしようと思い、近くの森に行こうとしていた。

 すると、


「俊ちゃーん!」


 と京子が追いかけて来た。

 実はこの3年、俺は京子にしつこく頼まれて、魔力の操作等を教えて来た。

 京子は魔力の量は普通の人より多くあった為、(出来るかなー?)くらいの簡単な気持ちで教えたら、少しずつだが着実に、教えた事を習得してきて、最近になって持続時間は短いが魔闘術を使えるようになっていた。

 魔闘術が使える事は、家族や村の人達にばれないように秘密にするように言ってある。

 俺も両親や兄ちゃん達にばれないようにしている。

 何故なら、魔闘術が使えるとなると、年齢に関わらず大きな都市の学校に通わされ、卒業したらこの地域を納める大名に仕えるという、決められたレールを進まなくてはならない。

 その内大陸に渡って冒険者になろうと思っている俺は、せっかく転生したのに、そんなつまらなそうな道に進むなんて真っ平御免だと思っている。

 だが日向の国の人達はそれが名誉のように思っている為、同じ考えの家族に魔闘術が使えると知られずに、この村から出て行きたいと思っている。

 京子の場合は、女性でも魔闘術を使える日向の人間はいるのだが、男性のようにあまり優遇されない風潮の為、黙っていた方が良いだろうと思って秘密にするように言ってある。


「俊ちゃん今日は何するの?」


「別に……、いつも通り幸運の兎がいるか探して、いなければ村に近づいてる魔物を狩って魔石を集めるだけだよ」


 これが最近の俺の行動だ。

 魔石が大量にないと錬金術の成功率は下がるし、かといって大きな魔石を持つ強力な魔物を倒しに、森の奥に進むほど命知らずではない。

 その為、村の近くに来る魔物だけを狩って、魔石を集めるようにしている。

 

「ZZZ……」


「ネグちゃんは寝ちゃってるの?」


「今日は天気も良いし、さっきエサを上げたから眠くなったみたい」


 3年の月日がたち、雛だった丸烏のネグロは成体になったにもかかわらず、いまだに俺の頭の上が気に入っているのか、いつも頭に乗って来る。

 頭の上で丸まって寝ていると、俺がアフロヘアーにしているように見える。

 一応丸烏も魔物の一種なのだが、雛の頃から知っているため村の人達も全然気にしていないようだ。

 むしろ村の女性には人懐っこい性格が気に入ってもらえて、よく撫でられたりしている。

 その事に気がつきネグロを使って若い女性に囲まれ、鼻の下を伸ばした父ちゃんが、母ちゃんにボコボコにされたという一幕もあった。

 

「あっ! いた!」


 いつものように探知魔術で探していたら、幸運の兎を見つけて思わず大きな声を出してしまった。


「えっ! 本当!?」


 京子は二回共幸運の兎を見ることが出来なかった為、魔法の袋を作ったことを内緒で教えたのに、何で見せてくれなかったのかと膨れて文句を言われていた為、今回は捕まえた兎を見せて上げた。

 村の近くまで帰って、周囲に誰も居ないことを確認して錬金術で魔法の袋を作成した。

 3度目であるのと、以前より成長して魔力量が上がった為、今使っている魔法の袋よりも収納量が上がった、かなりの良品が出来た気がする。

 今日は運が良かったなぁと思いつつ、京子と一緒に村に帰った。


「そういえば、ねぇ俊ちゃん」


「ん?」


「最近村の近くに変な人がいるって噂聞いた?」


「あぁ、なんか何人か見たって言う人がいるらしいな?」


 この村は周囲が森に囲まれているのだが、その中に最近黒ずくめの男がいたのを見たと言う人が何人もいると噂になっている。

 森に入ったついでに見つけられるかと期待していたのだが、俺はまだ見たことはない。

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