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第9話

投稿が遅れてしまいました。すいませんでした。

「結局見つからなかったね」


 ペドロ達が帰る最終日、俺はいつものように兎探しに付いていった。

 しかし、目当ての兎が見つからず魔法の袋の作成を見られなくなったのがとても残念だった。


「まあ、3割っていうのも甘く見積もった確率だったからな」


 村に向かう途中、ペドロが俺の頭をガシガシと少し雑に撫でながら答えた。


「それにしても、この村に来て短い間だったけど、俊坊に会えて楽しかったよ」


「確かに、魔闘術を使えて、魔物を手なずける7才児がいるなんて考えもしなかったもんな」


 二人は兎が見つけられなかったのだが、それほど気にしていないようだった。


「手なずけたっていうより、ただの刷り込みだと思うけど」


「ピー♪」


 相変わらず頭の上を特等席にしている丸烏の雛、ネグロが元気に返事する。

 生まれたばかりの時は毛も生えていなかったのだが、今は黒い産毛に覆われてとても元気に育っている。


「今日いつ頃村を離れるの?」


「そうだなー、昼飯食って、世話になった村の人達に挨拶して、それから離れる予定だな」


 残り時間はかなり少ないけれど、まだ諦めるのは早いかもしれない。

 

「僕一人で、もうちょっとだけ探してくるよ」


 実は少しだけ試して見たいことがあった為、俺はそう言って一人で探しに向かった。


「本当にちょっとだけにするんだよ」


 ニコラスの忠告に手を振って応え、兎の巣がある小高い山に向かった。


「さてと……」


 毎日のように探しに来た場所に着き、思いついた事を実行し始めた。

 思いついた事とは、魔闘術を応用した探知術だ。

 魔力を自分を中心とした周囲に薄く伸ばして行き、その魔力に触れた生命体を感知するという技である。

 体に纏った魔力を少しずつゆっくりと伸ばして行く事をイメージして、徐々に広げていく。

 思ったとおり、広げた魔力に触れた生命体は探知できるのだが、初めてやったので、まだ完全に探知した生命体の種別が分かる位だが、とりあえずこれ位でも使っていれば感度は上がるだろう。

 広げられる距離は大体半径50メートル位、初めてでこの距離と感度なら多分大丈夫だろう。

 俺はこの技を使って兎を探し始めた。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 今日は俺とニコラスが官林村に滞在する最終日、かなり甘く見積もった確率だったが、幸運の兎を見つけられると思ってこの村に来たのだが、結局見つけられなかった。

 だがこの村に来て色々と驚きがあり、俺もニコラスも久々にとても楽しい旅になった。

 まあ、ほとんどが俊坊によるものだったが。

 そもそも初めて会ったときから変わった少年だったな、道に迷ってニコラスとケンカして、ちょっと注意を怠ってオーガが率いたゴブリンの群れに囲まれていたときの事だった。

 魔物にしては連携していた群れにニコラスと多少のケガ覚悟で挑もうとしていた時、木刀片手に魔物を蹴散らし現れた少年、それが俊坊だった。

 残りの魔物を退治して話を聞くと、俊坊は俺達が向かう官林村の子供だと言い、道案内してくれた。

 俺は俊坊と村に向かう途中少し話をしたが、とても不思議な子供だと思った。

 7才という年齢にも関わらず魔闘術を使いこなすという、天才と言うか、化け物と言うか、どっちでも当てはまるこの少年に少し畏怖をかんじたが、親に内緒で森を探検する好奇心に、そういう所は子供なのかと何故かほっとした。

 滞在中俊坊は俺達、と言うかこの国の外の事をたくさん聞いて来た。

 少し冗談で魔闘術を教えてくれたら答えてやると言うと、あっさり教えてくれた。

 普通魔闘術なんて大陸じゃあSランク冒険者が使いこなす秘匿の技術だろうが。

 半分観光気分で幸運の兎を探しに来ただけだったのだが思わぬ収穫だった。

 結局兎は捕まえられなかったけどこの村と俊坊の事は忘れられない思い出になった。


「村長さん短い間でしたがお世話になりました」


「とっても楽しかったぜ」


 俺達は滞在中世話になった人達に礼をして、滞在中村長の家に厄介になった事を感謝していた。


 その時だった。


「おーい! 二人共! 見つけたよー!」


 俊坊が尻尾が黄色の兎を持って走って来た。

 

 

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