第95話 第二目標地点に到達しました! +1500pt
本日は、色街の拡張に勤しむ。
というのも、娼婦の皆さんのストレス解消のため、遊べる広場を用意しているのだ。
なお、これらは将来的には第三目標地点あたりが定位置になる。
今日作る広場も加え、色街そのものが移動できるようにしてある。
「ほえー、凄いことになってますね。どういう仕組なんですか?」
「街の下に車輪がついてるんだよ。だから移動させられる。ここで決まり、という場所に行ったら、車輪を取り外せばいい」
街を移動式にしてしまっているわけだ。
そこそこポイントは使ったが、それでも四桁ポイントなので全然大したことがない。
「皆さーん、希望はありますかー」
ずらり並んだ娼婦の皆さん。
彼女たちは、広場に何を用意してもらうかぺちゃくちゃ話し合い始めた。
「ミアンさん! はい! はい!」
「はい、そこの人」
小柄で癖っ毛の女の人だ。
多分、ハーフリングの因子が混じってる。
「やっぱり、夜だけじゃなく昼間も体を動かしたいんですよね。だから体を動かせる遊びがいいです!」
「なるほど! じゃあ例えば……サッカーみたいなのはどう?」
俺はポイントでサッカーボールを購入し、実際にやってみせた。
転生前は活動的な方ではなかったが、見様見真似で再現くらいはできる。
やってて良かった、高校時代の体育の授業。
娼婦の皆さんから「おおー」と感嘆の声が上がった。
「ここのポイントに蹴り入れたら点が入るっていうところを決めて、チームを分けて球を取り合うんですね? 手を使ったらダメ……。なるほどなるほど……」「あんまり高く蹴って顔に当たったら、商売道具に傷がついちゃいそう」「高く蹴るの禁止にする?」
色々な意見が飛び交う。
ここで、デリアが「私にいい考えがある」と挙手した。
「なんだい」
「武装すればいい。ヘルメットと肩、胸アーマーに膝当てをするんだ」
「サッカーなのに格好がアメフトに!!」
だが確かに安全だねということで、採用された。
取り付けるのが楽な武装にするため、被って紐でゆわえるだけのスポンジ製ヘルメットとフェイスガード、野球のキャッチャーが付けてるプロテクターの二種で対応することにした。
「異様な光景が誕生した」
俺の眼の前では、娼婦の皆さんがキャッキャしながらボールを追いかけて蹴り合っている。
ボーンと飛んだボールが、ヘルメットに当たる。
やわらか素材ヘルメットがこれをボイーンと跳ね返す。
安全だが、野球の審判かキャッチャーみたいな人がわちゃわちゃ走り回る不思議な球技になった。
その他、ブランコや、乗るとバネでグラグラ揺れる遊具を用意する。
バッチリだ。
『ウグワーッ! 娯楽環境を用意しました! 実績・体を動かすとストレス解消できますよね、解除! 1000pt獲得!』
「これで遊具類分のポイント全部戻ってきちゃってお釣りまで来たよ」
「楽しそうですねえ。私もちょっと参加を……」
「み、みんな気をつけろー! うちの奥さんが参戦したぞー!」
「マキナさんが来た!」「みんなでチームになって迎え撃つわよ!」「うおー、やらせないわよー!!」
娼婦の皆さん軍団VSマキナの、プロテクターサッカーが始まった。
なんだこれ。
スライディングとか禁止なので、みんなボールを蹴りあってわちゃわちゃする。
これは楽しい。
「ああー、私も子供産んだら絶対参加する!」
娼館の主であるドンナが羨ましそうにしているのだった。
そうこうしていたら、色街の入口からジュドクが走ってくる。
「おーい! おーいミアン!」
「なんだい」
「第二目標地点到達だぜ。とりあえず蓋してある」
「な、なんだってー!」
想定よりも早い!!
本日は、インビンシブル号に乗ったヨルカとポチョの二人に現場の安全管理を任せてあったのだ。
最近はデスワームがちょろちょろしていて、それを恐れたシェイプシフターも近づいてこない。
比較的現場は安全になっていたのだが……。
それはそれとして、どうして予定よりも二日くらい早いんだ……?
いや、なんか進みが凄いなあと思っていたけれど、色街の強化に力を入れていてそちらを見ていなかった。
「そりゃあミアン、あんたが作業員のモチベーションを高める施策ばっかりやるからだよ。みんなすげえやる気になって仕事したんだぜ」
「俺がみんなを強化しすぎたのか……」
「的確に欲しいものを設置してくれたからな。俺だって毎晩シャロンとラブラブしている」
「家賃を払ってまでペア宿舎に住む価値があったか……!!」
作業員の中には、家族を呼び寄せてペア宿舎に住んでる者までいる。
で、家族はお店で働いているわけだ。
一家総出でポイントまで稼げて、毎日お風呂も入れてお得!
さらには、娼婦にガチ恋した作業員は必死にポイントを溜め、彼女たちをお迎えしようと考えているとか。
「よーし、では様子を見に行きます」
「ミアンが行くんですか? よし、じゃあ私がおんぶしてあげますよ!」
「なんだってー! うーわー」
「マキナさんがミアンさんをおんぶした!」「私達全員を相手に圧倒してたのに!」「あれだけ動いてまだ動ける!」「あれが強い女というものか……」「いってらっしゃーい!」
「私はここで待ってるからな……。朝も走ったからもう走りたくない」
デリアが横着している。
さて、マキナが時速40kmくらいで疾走していくのだが、人竜族って人間が短距離走で世界記録出すくらいの速度を数キロ維持できるんだなあ。
本当にフィジカルに優れた種族だ。
「ミアンをおぶってなければもうちょっと速いですよ!」
「凄すぎる」
第二目標地点まで約3km。
時速40km/hなら、5分足らず……!!
見えてきた!
速い速い!!
「ここで止まりますね! おりゃあー!!」
マキナの尻尾が地面を叩いた。
なるほどー!
跳躍すれば地面の加速がジャンプの飛距離になり、止まりやすく……なるのかあ!?
俺が背中にいるんですけどーっ!!
「うおーっ! マキナさんが俺達の頭上を飛び越えていく!!」「あれが妊婦の動きかよぉ!」「やっぱあの人すげえわ……」
作業員たちの感嘆の声を聞きつつ、マキナは第二目標地点にキックを入れて停止。
そこから壁面をパタパタ駆け下りてきた。
「お待たせしました! ミアンを連れてきましたよ!」
「あー、皆さんどうもどうも! なんかフラフラするけど気にしないで」
「マキナさんに背負われてたんじゃフラフラするのも当然だよな」「立ってるだけで偉い」「ミアンさん無理しないでくれー」
作業員たちが優しい。
俺はちょっと三半規管を落ち着けてから、咳払い。
「皆さん! 第二目標地点到達おめでとうございます! かなり頑張りました! 第三目標地点は、アーチがないので平坦になる予定です。ここで作業も折り返しなんで、頑張って行きましょー!!」
うおーっ!!と応える作業員達。
後からやってきたジュドクも、それに混じって楽しげに声をあげるのだった。
『第二目標地点に到達しました! 実績・進捗率35%、解除! 2000pt獲得!』
◎現在のポイント:129420pt
貢献ポイント :155755ポイント
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