第93話 男爵夫人を案内しました! +1000pt
「なにーっ、ミアン通路街だって!?」
「何を驚いているんだ。王国では既にそう呼ばれているぞ」
「ほほー。ミアンの名がそこまで広まっているのは大したものじゃな!」
「つまりいつかは私達の名前も……!」
「ないない」
という色っぽくない話をしているが、ピロートークなのだ。
三人相手は無理だ!!
弾数はスキルツリーで用意できるが、本体の体力が持たない。
『ウグワーッ! 初の三連戦!! 実績・なお実はヨルカさんは本日デビュー、解除! 2500pt獲得!』
多いなー。
「というかヨルカは本当にこんなので良かったのか? 俺は全く動けてなかった気がするのだが……」
「いや、わしの番の時はミアンがバテてて、ちょうどいいくらいのスローペースじゃった。わしは体力も耐久力も全く自信が無いからのう。スローくらいでちょうどいい……」
「それはどうも……」
「ミアン、いつも現場の指揮ばっかりですからね。よし、明日は私と一緒に走り込みましょう!」
「この中で妊婦が一番元気なんだよな」
「まあ、私としてもあれだ。ミアンがマキナで力を使ってくれると、その後が大変腰に優しくて助かる……」
うちの奥さん達、なんだか枯れてない?
よく考えたら体力の八割はマキナに持っていかれているな?
「ということで、風呂に行ってくるぞ。私は下のベッドで寝るからな……。私物もそこにあるし。ああ、それから……」
デリアがお風呂に行く前に、一言告げた。
「男爵夫人が視察にいらっしゃるそうだ。失礼のないようにな……」
「あの人、外に出る人だったんだ」
こうして夜が明ける。
ドンナが運営する娼館は、『道端の花壇亭』と言う。
そこから、ツヤツヤになった作業員たちがわいわい出てきて、娼婦たちにお見送りされているではないか。
「うおおおおおおお今日も仕事するぞおおおおおお!!」「がんばってねー!」「がんばるぞー!!」「頼もしいー!」
すごく……すごくいい感じになっている。
仕事が終わり、飯を食い、ひとっ風呂浴びてから娼館で励み、そして爆睡する。
食欲、性欲、睡眠欲全てを解消した男たちは素晴らしい仕事ぶりを発揮しているのだ。
そして娼婦の皆さんも仕事環境が極めて快適なので、楽しくやっているそうだ。
「この仕事場のお客さん達、みんな紳士的でやりやすいって評判なんですよ。きっと食べ物とお風呂がいいんですね」
男爵夫人を迎えるため、外に出てきた花壇亭女主人のドンナ。
二人でお喋りなどするのだ。
「やっぱり、全てが満たされると人は優しくなるからね。あとはうちの労働環境もいいのかも知れない」
「ありそうです! いざとなれば、ミアンさんの奥様が守ってくれるんでしょう?」
「うん、猛烈に強いからね……!」
おっと、話をしていたら向こうから豪華な馬車が到着だ。
赤い車体に金色の縁取りがされており、馬車の上には謎の機械が取り付けられている。
扉が開き……いや、開くことはなく、機械がピカピカ光ると、そこにハーレクイン男爵夫人が現れた。
動きやすそうな男装だが、まるで狩りにでも行くような姿だ。
なお、胸元が大きく開いていて大変大きな胸がよく見える。
『出迎えご苦労さま。ほんと、ここまで来るの大変だったわよ』
彼女は俺達を見回したあと、ため息をついた。
「もしかしてアバターは国の中じゃないと使えない的な?」
『その通りよ。唯一、侯爵だけは実体化しているアバターを使っているのよ。他は立体映像に重・斥力ビームを組み合わせているだけ。一応あの人、王族や貴族の実体化を助ける機能も持っているから、殿下はここに来られたと思うのだけど』
なーるほど。
王太子殿下は、侯爵がいないと来れなかったわけか。
なお、侯爵のみが実体化できる理由は、彼が人間担当の貴族だからだ。
移民を見るために国外まで出てくるので、実体化ボディを持っているというわけ。
で、男爵夫人は自力でここに来るため、馬車の上に中継装置を積んできたらしい。
『これも、もう少し離れると怪しいわよ。ミアン、あなた早く都市を完成させなさいな。それで中継装置を設置して。ほんともう、ここまで来るのが大変で大変で……』
ぶつくさ言っていた男爵夫人だが、道端の花壇亭を見ると顔をほころばせた。
『あら! まあ! なあにこれ! 凄いじゃない!』
「お褒めに与り、その、ありがとうございます!」
ドンナがペコペコしている。
『本当の事を言ってるだけよ。こんなしっかりとした設備が辺境に建てられるなんて。現場の作りを気にしてたけど、これなら問題なさそうね。じゃあ、中を見せてもらうわ』
「は、はい! 案内します!」
ドンナがガチガチになりながら男爵夫人の先に立つ。
さっきまで見送りをしていた娼婦たちも、なんだか直立不動みたいな姿勢になって迎えるのだ。
「みんな緊張し過ぎでは……?」
「あ、あたしらの頂点みたいな人なんで……!!」「雲の上のお人ですよ~!」「目に見えないところでもたくさん助けていただいてるんで……!!」
ケスタイン王国の娯楽産業に関わる人間は、全員が男爵夫人に頭が上がらないらしい。
なるほどー、尊敬されてるなあ!
実体化装置をドンナの旦那に持たせ。
そして仕事場を見て回る男爵夫人なのだ。
『一部屋に一つずつお風呂があるの!? 浴室と部屋が一体になってるのは不思議だけど……。なるほど、湯気は換気される仕組みになっているのね。これは常に清潔に保てるわ。壁の中の技術では再現不可能だけど……。ミアン、あなたやったわね』
「ハハハ」
『まあいいでしょう。通路街でのみ、この無法を見逃してあげる。なるほど、ミアン通路街の花街はとんでもないことになるわね……。ひょっとすると、ケスタイン王国一の歓楽街になるかも』
全ての部屋を見て回り、最後には寝坊している作業員と娼婦を見て、『いつまで寝ているの! 起きなさい!!』と発破をかけた男爵夫人。
大慌てで飛び出していく作業員と、恐縮して五体投地して謝る娼婦なのだった。
『うんうん、いい職場じゃない。これからさらに館を増やしていくつもりでしょう? 励みなさいよ。また視察に来るから。……あー、ほんとここって来るの大変なんだけどなー』
ぶつくさ言いながらも、楽しげに去っていく男爵夫人。
「面倒見いい人だなあ」
「でしょう? 私達、男爵夫人大好きなんです」
笑うドンナなのだった。
『ウグワーッ! 男爵夫人を案内しました! 実績・色街見学第一弾解除! 1000pt獲得!』
◎現在のポイント:125720pt
貢献ポイント :155755ポイント(男爵夫人からのボーナス)
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




