第92話 ファールディアの歴史を聞きました! +500pt
荷馬車が幾つも連なってやって来た。
なんだなんだと思ったら、大量のベッドや化粧台が運び込まれるではないか。
その後に続いて、女性陣がワーッと出てくる。
みんな俺のところで立ち止まり、
「あなたが新しいマスターさんなんですね?」「よろしくーマスター」「全部の部屋にお風呂あるってマジ?」
おお、賑やか賑やか。
大きい子や小さい子、人間型やエルフ、ドライアドまでいる。
『ウグワーッ! 新しい従業員と挨拶しました! 実績・ようこそ、新しい仲間たち解除! 1000pt獲得!』
後からドンナがやって来て、
「びっくりしたでしょう? いろんな子たちが働いているんです。主に移民の女の子が多いかも。後は色々あって自活しなきゃいけなくなった子とか、お客の中から旦那さんを探そうとしてる子とか……」
「目標が色々なんだなあ……」
「まずですね、移民の子は子供が生まれても、働けない身内がいても、その分の税は軽減されないんです。だから少しでも稼ぎの大きい仕事をして、永住権を得られるまで頑張らないといけないんですね」
「なるほどなるほど。このお仕事は実入りが多いわけだ」
「はい。一般的なお仕事よりは多めです。その分、体を使いますから大変なことも多いですけど、男爵夫人がそこは続けられるようにって色々仕組みを用意してくださってますから」
ドンナがくるりと俺を振り返り、手をぎゅっと握りしめた。
「だから私、ミアンさんが素晴らしい環境でお仕事できるようにしてくださるって言うの、とっても嬉しいんです! ありがとうございます、ミアンさん!! この子たちに働きやすい職場を作ってくださって!」
「いえいえ、どういたしまして!」
後ろでドンナの旦那さんもうんうん頷いている。
無口な人だ。
そしてベッドをまとめて二つ抱えている。
あなた、マキナ以上のパワーですね?
おお、ドンナと二人で新しい職場に向かっていった。
従業員たちの前ではいちゃいちゃは見せないんだな。
なんか訓示をしてる。
「そうじゃなあ。そりゃあ、多くの者たちの生命線になっている場所を潰そうとする者は、国外追放されるのう。この世界は随分、その辺りがスッキリしたんじゃなあ」
「ヨルカ、もしやスッキリしてない世界を知っている」
「わしが生まれた世界はあの災厄めに滅ぼされたが、きれいなもんじゃったらしいぞ? 歴史上は色々と存在していたが、それらを全て消し去って清浄な世界にしておったそうじゃな。で、清浄な世界で暮らせないものはどうするか? 見えないことにして野垂れ死にさせておったんじゃ。そこも災厄に利用されたらしいのう」
「らしいと言いますと」
「わしが生まれた段階で、過去の世界の九割が滅んでおった。災厄が直接手を下したわけではない。奴は世界のあらゆる場所にいた、清浄の名のもとに虐げられたり、悪ということで透明化された連中に手を貸したんじゃ。世界中で、いなかったはずの者たちの声が大きくなった。世界の仕組みは上手く行かなくなった。世界中の治安が悪くなり、よくないものが蔓延し、体制側が武力で鎮圧を始め……」
「うわーうわーうわー」
「というのが世界中で同時に起こった。どこもかしこも、他国に手を貸すどころではなくなったのじゃ。で、悪くなった世界は若いものを一番先に蝕んだ。世界にはきれいなものしかなかったからの。ガス抜きも出来ず、世界はどんどんその先に突き進んでいき……。なんと五十年掛かって、世界の何もかもがボロボロになって、文明すら失って原始人以下の生活になり、最後の一人の人間が絶望しながら野垂れ死に、ファールディアは滅んだんじゃ。この四十八年目辺りにわしが生まれた。最後に残されてた技術でどうにか作れたようでな」
『ウグワーッ! ファールディアの歴史を聞きました! 実績・びっくり!歴史を紐解けば! 解除! 500pt獲得!』
ノリが軽いなあ!
というかポイントやっす!
チャットボット、一つの文明の滅亡の扱いがめちゃくちゃ軽いな。
「なるほどなー。ケスタインの貴族たちがそれを知ってるから、こうも管理社会を敷くんだろうなあ」
人間の善性を全く信じていないシステムが組まれている。
「ミアンはAIに近いから問題なかろう」
「それはなかなかライン越えな発言だぞ!?」
おっと、ヨルカとお喋りしてたら、マキナがベッドの運び込みを手伝っている。
我が家の妊婦さんはとにかく力仕事をやりたがるのだ……。
人竜族の特徴として、力仕事をしてもお腹に障るということがないのが幸い。
ドンナと、妊婦としての先輩後輩みたいな話をしている。
マキナにとっても貴重な出会いかも知れない。
そうこうしていると、夕方だ。
作業員たちがワイワイと宿泊所に戻ってきた。
さてひとっ風呂……となった彼らは、新たに設けられた通路に気づくのだった。
「ミアンさん、なんですかい、ここは?」
「ふふふ、よくぞ聞いてくれた。ここはね、みんなのために用意した歓楽街だ。明日からオープンだが、まだ娼館しかない」
「ななな、なんだってー!!」
作業員に激震走る!!
「おいみんな、大変だ! あつまれー!!」
ワーッと集う作業員!!
汗臭い男たちがわんさかいる。
「ミアンさんが俺達のために、娼館をここに作って下さったそうだ」
「「「「「「「「「「ななな、なんだってー!!」」」」」」」」」」
作業員たちに激震走る!!
ざわざわした後、彼らはちょっとだけ静かになり……。
「ばんざーい!!」「イヤッホーウ!!」「ポイント使いまくるわ!」「嬉しい! 嬉しい!」「うおおおおお!!」「仕事をする活力が湧いてきたぜええええ!!」
凄まじいテンションになるのだった。
『ウグワーッ! 作業員にスペシャルプレゼントをしました! 実績・みんなのテンション爆上がり、解除! 1000pt獲得!』
「……なんでこやつらはこうも喜んでおるのじゃ?」
「女性であるヨルカには分かりにくいかも知れないが、男というのは半分性欲で動いているのだ」
「な、なるほどのう……。こりゃあ、娼館は成功しそうじゃわい」
間違いなく、大成功することだろう。
作業員たちは今日から体を綺麗にするべく、みんな一斉に大風呂へと向かっていくのだった。
「いやあ、娼館初めてだなあ! 楽しみだなあ」
「彼女ありのジュドクまで嬉々として……!!」
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