第28話 交渉が決裂しました! +1000pt
ドワーフたちが立てこもったという、地下坑道にやって来ている。
「改めて思うんだが、もしかして俺達は便利に使われているのではないか」
「そうかも知れませんね。でも、デリアが紹介してくれるお仕事は、どれもポイントの実入りがいいみたいですよ。ギルドで聞いたら一回の仕事で相場は一人500とか700とかだそうですし」
「毎月の貢献ポイントを考えたら、十日に一回は仕事しないといけないわけかあ。冒険者も大変だ」
なお、オーガ同胞団制圧は一回で2500ポイントくらい稼げた。
確かに実入りがいい!
「貢献ポイントとは言え、ポイントが増えるのは心が豊かになる。じゃあ俺達も仕事にかかろうか」
「はい! 行きましょう!」
まずは先導するポチョに、坑道を照らす照明ユニットを装着する。
ガシャーン。
『ピポピー!』
「最近どんどん新しい装備が増えて、ポチョが喜んでる」
「ポポーっ」
そんなポチョの上に、当たり前みたいな顔して乗っかるヨルカなのだ。
お腹の羽毛で照明が隠れない、絶妙な位置に鎮座している。
「彼女って魔女だそうですけど、白い飛べない鳥に変身しただけで、他に何ができるのかさっぱり分かりませんね」
「まあ食費もそんなに掛からないしいいんじゃないかな……」
夜は普通に床で寝てたし。
四脚を装着し直したポチョが、ヨルカを乗せたままトコトコ歩いていく。
こちらからは、明るくなった通路とヨルカのお尻しか見えないなあ。
「狭いところでは、ショット薙刀では取り回しづらいかも知れませんね。何か新しい武器は無いでしょうか」
「よし、じゃあ短めの武器を探そうか」
マキナから受け取った薙刀をストレージにしまって、俺はお買い物サービスを検索した。
お値段は3000pt付近で……。
あった!
「これはどう? ドリルショートランス」
「手を覆う形の短槍ですか! いいですねー。それに先端が太くなっててぐるぐる回るの、楽しそうです」
では購入!
なお、このドリル部分はやっぱりワイヤーで射出できる。
握り手の横から突き出したハンドルを回すと、回収できるぞ。
このお買い物サービス、変な武器が多いな……。
改めて、冒険スタートだ。
坑道を二人と一台と一羽で行く。
『ウグワーッ! 地下探検を始めました! 実績・落盤とかに注意してね解除! 500pt獲得!』
実績名で注意喚起してくるんだ。
坑道には幾つか、ドワーフが仕掛けた罠があった。
これらはThe探索に追加した罠感知アプリでどうにかなる。
効果範囲を避けていけばいいだけだからね。
「ミアンの指示でちょっと不思議な動きをしてますけど。壁に張り付いたりとか、妙に身をかがめて移動したりとか、ジャンプしたりとか。何も起きないですねー」
「さっきから全部の罠を避けていっているからね。アプリで全部分かるんだ。ほら」
「すごーい! でも、あちこち見える範囲が光ってて、私には何がなんだか……」
「そこはまあ、こういうゲームにも慣れてる俺が強いと思うね」
罠が発動する場所と、効果を現す場所。
全てを回避しながら、俺達は奥へ奥へと進んでいるのだ。
一切、何一つ罠を発動させることなく。
さらに迷うことすらなく、俺達は坑道の奥にあるドワーフ集落に到着した。
「と、と、止まれ!! なんだ!? なんで入口で確認した冒険者が、こんなに早く集落までやってくるんだあ!?」
俺の胸元くらいまでの背丈で、横に倍くらい太い髭面の男が驚愕している。
そこは大きく開けた空間で、床や壁や天井、あちこちに家が突き出している。
ドワーフの集落って立体的なんだなあ。
『ウグワーッ! ドワーフと遭遇しました! ウィークリー実績・第一村人と遭遇解除! 200pt獲得!』
「どうして迷わなかった!? 暗視ができぬ種族を惑わすように道を作り変えておいたはずだ! どうして罠に掛からなかった!? 腕利きの盗賊でもいるのか!?」
混乱してらっしゃる。
他のドワーフたちも出てきて、ワイワイと騒ぎ出す。
「色々あって、俺は迷路や罠にとても強いので最短で攻略してきたわけです。えー、皆さん。貢献ポイント……払いましょう!」
「い、嫌だー!!」
ドワーフたちが声を揃える!
な、なんだってー!!
「どうしてですか。俺達同様、ケスタイン王国に間借りさせてもらってるわけですし、払うものは払いましょうよ」
「いやだ! 毎月毎月、永遠に貢献ポイントを払い続けるんだぞ!? 十年大人しく払えば永住できる!? 何の事故も、奴らのルールでの犯罪もせず十年!! 子供が増えればその分納めるポイントも増える! 苦しい……! 十年なんて永遠みたいなもんだ! やってられるか!!」
わあわあ騒ぐドワーフたちなのだった。
「先に壁を作って、そこに閉じこもることに成功しただけだろうが! ケスタインの連中は運が良かっただけだ! それがそんなに偉いのか!」
「いや、世の中は運が八割で、あとは準備みたいなもんなんで……」
前世でそれを嫌と言うほど思い知ったぞ。
そしてこっちに来た俺はポイントプログラムと出会い、後悔なくポイ活して人生をやり直すべく、前に前に進んでいる。
「皆さんって、坑道で鉱石掘ったりして暮らしてるんでしょう? 国からしても重要なポジションだと思いますし、悪いようにはされないと思うから、頑張って十年働きましょうよ」
「他の坑道の連中はそれでやってるかも知れんが、わしらはいやなんじゃーっ!!」
「もっと面白おかしく暮らせると思っていたのだ!」
「壁の中の生活がこんなにがんじがらめで、何も自由にできないとは思ってなかった!」
うおーっ、嫌だ嫌だばっかりだぞーっ。
この様子に、後ろで見ていたマキナが進み出た。
「これは……力ずくしかないみたいですねえ」
彼女の角の間がバリバリ光り始める。
やる気だ!
俺はスッと後ろに下がった。
「ええい、やはり冒険者には話が通じん! ゴーレムを出せーっ!!」
ゴーレムだって!?
ドワーフたちが道を開けると、集落の奥からガシャーン!ガシャーン!と足音を立てて、大きな人影がやって来る。
金属で作られた3m近い巨人だ!
っていうか、ロボットじゃないかこれ!?
「ちょうどいいです。ミアンに買ってもらったドリルショートランスの威力も試せますし!」
マキナはやる気なのだ!
『ウグワーッ! 交渉が決裂しました! 実績・それもまた経験解除! 1000pt獲得!』
◎現在のポイント:15280pt
貢献ポイント :1055ポイント
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




