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65・王子少女は読み上げたい!

『ボクたちも『雪』を再開発しようと思っていた

 我が国の中で『雪』だけ出遅れてしまっているからね』

ある程度、地域ごとの差異が出るのはしょうがないにしても

この領地は…せめて食べれるようにはするべきだろう


『そして、その開発の中心となるのは、キミだ』

アワユキさんを指差して、その後にっこりと笑いかけた

彼女は目をまん丸くして驚いている


「国家予算の一割を任せようと思うわ…どうかしら?」

「お、おお…それだけあれば『雪』を立て直せるかもですわ…」

ミソラさんからそう提案され、ちょっと興奮気味に、アワユキさんは答える


……


『…いや、二割だね、二割にしよう』

「お、王子?!」

『『かも』じゃ困るんだ、絶対成功させないと』

「ほ…本気で言ってますの?!」

『そうだ』


(ちょ、ちょっとセッカちゃん?!

 事前に言ってたでしょう、二割は限界ギリギリで、一割から交渉しようって…)

ミソラさんから、久しぶりの『グループチャット』が飛んできた


(…ここを下手に出し惜しみしてしまうと、将来的に良くないと思うんです)

(ううーん……あたしもそれは、薄々思ってたけれど……他の事業全部にしわ寄せが…)

リスクを考えるミソラさん

けれど、リスクを恐れた動き方じゃ、『雪』の人々は納得させられない


(……わかったわ!それでいきましょう!)

(ありがとうございます!)

事前相談無しで言ったのは悪かったけど…

アワユキさんの反応を見るに、倍くらいの投資は必要だと思った


「そ、そんなに援助して、他の領地の方々が怒りませんの?」

『君の叔父上の脅威が、逆に周りの目を覚まさせた

 彼を挿げ替えられるならば、援助は惜しまないだろう』

特に『花』は、かなりの嫌がらせを受けてるし、他も多かれ少なかれ圧迫されている


『人材も中央から呼び集めてもいい』

中央は平地が多く、真っ先に開発が進んでいる

彼らに頼んで『雪』に行ってもらうのもいいだろう


「…た、たいへん嬉しい申し出なのですが…

 わたくしでは領民は、ついてきてくれませんわ」

しょんぼりと俯くアワユキさん

熱心に勉強してきて、かなりの成果が上がってはいるが

…それでも、人がついてくるだけのカリスマが足りないと


『…キミ、子供は好きかい?』

「…え?い、いやまあ、好きですけれど……」

アワユキさんは顔を赤くしてもじもじしだした

…ちょっと言い方が悪かったかな?


『『雪』の聖女様、キミももちろん知ってるよね?』

「え、ええ、彼女の噂はいつも耳にしていますわ」

『彼女だったら、領民もついてきてくれるんじゃないかな?』

「そ、それは…」

「いや、それじゃあ、元雪王家だからついてくる、って領民は納得しないわよ」

『だから、二人を合わせるんだ』

「???」

何を言っているかわからないアワユキさんに、わかりやすく伝える


『彼女を、キミの娘にしてしまおう』

「は…?え、いや……え?!」

『彼女を養子にして、二人で『雪』を運営するんだ』

「ええええええええ?!」

お互いに足りないものがあるのならば、協力し合えばいい

何もかも足りない私が、なんとか王子様の偽物をやっていけてるのも、皆が手伝ってくれるから


『養子でなくても、彼女を味方に引き入れた事が、皆にわかればいい

 そうすれば、キミに足りないものは全て揃う』

彼女の手を両手で握り、真っすぐに顔を見る


「そ、そんな…聖女様をこちらになんて、上手くいくはずが……」

『説得はボクたちが行く、キミはただ待っていればいい』

「……」

まだ決心がつかないのか、迷っている彼女

私から目をそらし、部屋の片隅を見つめて…


その目線の先にあるものは……さっき見た『アレ』だった


……ここは、ひとつやってみるか……



『…『闇は何のためにあるのか』』


私はそっと、『アレ』の一文を呟いた


「あ…」

ミソラさんは、私の呟きを聞いて、即座に言葉を続ける


「『それは、民という星を輝かせるために』」


私はアワユキさんの顔を見つめ、その続きを呟く


『『何のために商売を始めたのか』』


「…!」

…もうわかったらしい


「そ…『それは、ただお客さんの笑顔が、見たかったから』」


彼女は、私の言った言葉をさらに続ける

ダークブラウンの瞳を潤ませ、震える声で…



「あ、あの…今のは?」

今まで喋らずに待機していた執事さんだったが

どういう状況なのかわからず、説明を求めてきた

…確かに、知らなかったら誰でも戸惑うと思う


『『ひかやみ』でね、そういうセリフがあるんだよ

 闇の軍師と武器商人…同じ時期に初心を思い出し、闇王に反旗を翻す』

「な、なるほど…」

「お二人とも『ひかやみ』を読んでいたとは…」

あの時見た毛色の違う本、というのはつまり…『ひかやみ』だったのだ

外伝まで含めて、全部置いてあるし、好きなんだろうなーというのがわかった

それはそうと…


『いや、気づかないかな?彼女の格好で』

「え…?」

ミソラさんの黒水着は、わかりやすいと思うんだけどなぁ


「あ、いや、スケベな格好した人だな、とは思いましたけれど

 …まさか『みーさん』のコスプレですの?!」

「そ、そーよ!悪いかしら?!」

アワユキさんにとっても、やはりこれはスケベな格好らしい

…ミソラさんがあまりに堂々としているので、たまに忘れがちになるけど

やっぱりこれ恥ずかしい衣装ですよね?!


『…キミも同じだと思ったんだ

 物語に憧れ…努力して、ここまできたんだろう?』

彼女の瞳を見つめなおす


『ボクたちの目的は、皆同じだと信じている

 ただただ、あの物語のように、民の平和を、幸せを守りたいんだ』

私の言葉を聞き、アワユキさんはそっと目を伏せる

そして…


「……わかりましたわ、王子様に協力いたします」


にっこりと、笑いながらそう答えてくれた


「お、叔父上からは守ってくださいましね?!あの方とっても怖いので!」

その直後、とたんに涙目になるアワユキさん

…忙しい人だなぁ、ほんとに


その慌てぶりに、ちょっと笑みがこぼれてしまう私たちなのだった

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