きっぷよく買う客はカモですか?
令和七年二月十一日(火)
はじめて所有した車はスズキのアルト。廃車寸前の車をバイト先の先輩から5万円で譲ってもらった。そのポンコツを結婚する寸前まで乗っていた。僕は車に疎い。というよりまるで興味が無い。どれぐらい興味がないかというと、例えばあなたがバイクやサーフィンやギターに興味が無いとして、それを周囲が知ってて当然という前提でペチャクチャ話してくると大変迷惑するでしょう? だいたいそんな感じで興味が無い。二台目は三菱のパジェロミニ。結婚前に妻がボチボチ車を買い替えてほしいと言うので、二人で中古車屋に行き入店して10分で購入をした。それから子供を授かったのを機に、妻がもう少し大きな車が必要だよねと断言するので買い替えることに。もう二度とあんたには車は選定させませんからねとか何とか言いながら妻がホンダのスパイクを購入した。「野ざらし車両のような男と結婚をして、まさか普通車に乗れる日が来るとは感慨無量だわ」と妻は購入日に涙を流していた。
そんで七年前に『Qちゃん、聞いて。今まで黙っていたけれど、アタシはあんたのように感性の一部が削いだように欠落した人間ではなくて、ごく普通に車に興味があるの。て言うか女性としては車にすごく興味があるほうだと思うの。だからアタシがずっと憧れていた車を四の五の言わずに買ってちょうだい」と妻にカミングアウトをされ「いいよ。ただし外車が欲しいとか無理は言わないでね。あはは」と僕は答え、そんなこんなで現在は外車を所有している。なお外車といってもいわゆる高級外車ではなくオシャレ系に属するものだと思われる。ちなみに、妻は車を二台所有したいというが、駐車場も狭いし、とにかく邪魔くさいので、僕の判断で我が家はずっと車一台。妻が車を使用する日は、僕は徒歩か自転車で通勤をしている。
んで、ここからが本題。
上記のように僕は少ないながらも三度車を購入した経験があるのだけれど、車を購入する際にいつも引っかかるのは販売店の店員さんの態度である。僕は買うと決めたらきっぷよく買いたいので値切り交渉はほとんどしない。僕が浅ましい値引き交渉をしないのは、自分の美意識にお金を払っているからだ。パジェロミニの時はしなかった。スパイクの時もしなかった。外車の時に妻が「お願いだから値切るポーズだけでもしてちょうだい」と言うので「僕は今日ここで車を買います。他のお店ではなくここで買うのは、あなたというディーラーから買いたいと思ったからです。つまり僕はあなたを買うわけです。さて、購入に際して一度だけ値切り交渉をします。見え見えの出来レースは時間の無駄です。一回で出来る限りのお値引きをお願いします。僕は次にあなたが提示した金額で必ず購入をします。ですからどうか一回でマックスのお値引きをお願いします」と言って人生初めての値引き交渉をした。そんで結局「あ、このディーラーちょっと保険かけやがったな」とは思いつつ、約束通り提示され金額で購入をした。
僕とは対照的な買い方をする者もいる。例えば僕の義理の弟は車がすごく好きで、購入する際は最低3件は見積もりを取り、買うと決めた店では何時間も値切り交渉、あるいは出来る限りオプションを無料で付けてもらい、相手からかすめ取るようにして買うらしい。
でね。僕のようにきっぷよく買う客と、僕の義弟のような難儀な客、販売店のディーラーがどちらを慎重に丁寧に扱うかというと、悲しいかな、明らかに義弟のようなタイプの客なのよね。すべてのディーラーがそうとは言わないが、僕みたいな客に対して雑な人が多いと思う。車に疎い者とか、女性とか、老人に対し、不遜な態度が端々に垣間見える。逆に、クレーマーまがいのマニアには、冷や汗タラタラ、頭ペコペコ。こちらのことはほったらかしで何時間も何を話しとるのか知らんけど。まったく嘆かわしい。
文句も言わんときっぷよく買う客と、クレーマーまがいのマニア、お客様は平等だという前提はあるにせよ、本当に有難い客、本当に大切に扱わなければならない客は前者ではないかと僕なんかは思うのだが、現状において前者はカモ扱いである。購入後の車検やメンテナンスも舐め腐った対応をされることがしばしばである。
不遜な扱いを受けないように警戒するには、いっそ自分も面倒臭い客になるしかない。はじめにバチコーンとブチかまして一筋縄ではいかない客アピールをしなければならない。言うのはタダ。ごねたもん勝ち。このような買い手の意識がカスハラへと繋がるのではないだろうか。あ、もちろん諸説あり。
日頃、衛生器具などをエンドユーザーに販売する者として、胸に手を当てて考え、ああ自分も気を付けなければならないなあと、抜けるような真冬の空を仰ぐのである。




